All You Need Is Kill


『All You Need Is Kill』(桜坂洋著/集英社スーパーダッシュ文庫)★★★★★

All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫)
All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫)

トム・クルーズ主演映画の原作で、公開されたので読んでみました。
ほんとは去年の10月に買っていたんですが、積読本の山に埋もれて・・・・・・そういう本が何冊あるのか数えたくない。
映画を観に行くつもりで先に原作を読んだのですが、読んでみると原作のあまりの素晴らしさに逆に映画版を見るのが怖くなったという・・・・・・予告見たけど、けっこう違ってるっぽいし・・・何より主人公が予想よりトムっぽくない!いや、でも、観に行こう。こういうのは劇場で見た方が絶対面白いはずだし!

「ギタイ」と呼ばれる異星からの飛来物の襲撃に対して戦い続ける世界。初めて戦場に立った主人公は、そこでなぜか「その1日」を繰り返すという現象に巻き込まれます。繰り返す戦いから抜け出すために、彼は何を決意するのか、その先に何を見るのか。新米兵士だった主人公が、ループの中で強くなっていく姿に爽快感を覚えつつも、終末的で絶望が漂う世界観に没頭してしまう作品でした。

☆あらすじ☆
「出撃なんて、実力試験みたいなもんじゃない?」
敵弾が体を貫いた瞬間、キリヤ・ケイジは出撃前日に戻っていた。トーキョーのはるか南方、コトイウシと呼ばれる島の激戦区。寄せ集め部隊は敗北必至の激戦を繰り返す。出撃。戦死。出撃。戦死―
死すら日常になる毎日。ループが百五十八回を数えたとき、煙たなびく戦場でケイジはひとりの女性と再会する…。
期待の新鋭が放つ、切なく不思議なSFアクション。はたして、絶望的な戦況を覆し、まだ見ぬ明日へ脱出することはできるのか。

以下、ネタバレありの感想です。

 

 

「ギタイ」という謎の化け物と戦いに明け暮れる世界。主人公キリヤは初めての戦場で戦死してしまいます。しかし、目覚めた彼は「出撃の前日」になぜか戻っており、以後出撃直前から戦死までの時間をループするという謎の現象に陥ってしまいます。

 

ループの原因が不明なまま、戦場から逃避しても死んでしまうことに気づき、早々にキリヤはループを利用して経験値を積み、強くなることを選択。100を超えるループの中でキリヤは試行錯誤し、「初出撃の初年兵」でありながら「歴戦の古兵」のような強さを誇るようになります。

 

キリヤがあれこれと考えながら強くなっていく描写は、ループ物でありながらもテンポが良く、爽快感もあるのですが、逆に言えば100回繰り返してもやはり死んでしまうという結果が重く積み上がっていくようでした。どれだけ頑張れば終わるのか、もしかしたらどれだけ強くなってもループを抜けられずに死に続けるしかないんじゃないか、と考えるほど、読みながら気持ちが暗くなっていくのを感じました。

 

そんな中、冒頭からキリヤに対して様々な影響を見せていた「戦場の牝犬」と呼ばれる最強の女兵士リタがキリヤと同じループ経験者であることが分かり、物語が大きく転換していきます。

 

キリヤはリタに接触し、協力してループを脱出しようとはかります。
ここからがとても切なかった。
誰とも共有できない孤独を分かち合える相手とやっと出会えたリタとキリヤ。彼らが惹かれ合っていくのは当然の流れだったのでしょう。それだけに、ギタイの性質がそのまま彼らを蝕み、殺し合いをしなければループが終わらないという結末が重かったです。 中盤であっさり明かされたループの仕組みが終盤への伏線だったとは。

 

この結末の何が辛いかって、結局、リタが死んでもリタの役割をキリヤが引き継いだだけで、キリヤもいずれはリタのように死んでしまうかもしれないことなんですよね。ループを繰り返せば繰り返すだけギタイのアンテナと同じものになっていくキリヤ。一体どれだけのギタイを屠ればこの戦いは終わるのかは誰にもわからない。絶望的な世界観はどこまでも救いは見えず、キリヤの戦いが続いていくというところで物語は終わってしまいます。

 

でも、それがまた物語の統一性を損なわなくて良かったんじゃないでしょうか。ここで下手にハッピーエンドにするのではなく、あえて余韻を持たせて物語を閉じることでこの作品は素晴らしいものに仕上がっているのだと思います。

 

・・・・・・映画版、どうしようかな。読メでさらっと映画版のネタバレを見てしまったんですよね・・・うう・・・。
もし見たら、このブログで感想書くと思います。

 

スポンサーリンク
 
0

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。