なりゆき斎王の入内1 この婚姻、陰謀なりけり


『なりゆき斎王の入内 この婚姻、陰謀なりけり』(小田菜摘著/ビーズログ文庫)★★★☆☆

なりゆき斎王の入内 ~この婚姻、陰謀なりけり~ (ビーズログ文庫)
なりゆき斎王の入内 ~この婚姻、陰謀なりけり~ (ビーズログ文庫)

東宮妃として入内することになったお姫様が、そのきっかけとなった呪詛事件の真相を探る、という平安ミステリーもの。
もと斎王という立場が活かされていたのかはちょっと疑問ですが、神話に見立ててキャラ造形されていたのは面白かったです。神話ネタ的蘊蓄も多かったし。
もうちょい糖分あれば文句なかったんですけどね。

☆あらすじ☆
血筋だけは皇族の塔子は、熊野育ちの元気いっぱいの少女。しかし突然父・左大臣の命で伊勢の斎王に就任させられ、なりゆきで神に仕える日々を送っていた――のだが、父が東宮に呪詛事件を起こしたことが発覚!これで斎王の任が解けると喜ぶ塔子だったが、事態は急転。政敵であり、男色の噂もある東宮への塔子の入内が決定したのだ!!この婚姻には、裏がある――!?
胸騒ぎの平安恋絵巻開宴!

以下、ネタバレありの感想です。

 

初めて読んだ作家さんですが、最後の参考文献のラノベらしからぬ多さに驚愕しました。その情熱に比例するかのように、神話や熊野絡みの蘊蓄や、平安時代の小物など割と細かく書かれているのが印象的でした。

 

「なりゆき斎王の入内」というタイトル通り、主人公の塔子は皇族の父をもつ庶子で、人材不足という理由で斎王に就任していた少女です。そして、その父が東宮呪詛という嫌疑をかけられた後に病死した後、なんやかんやよく分からないうちに次期東宮妃として宮廷にあがることになります。

 

この作品は、塔子が、どうにも疑わしい呪詛事件の真相を探っていく、というストーリーとなっています。
彼女の協力者がヒーローのなわけなんですが、彼の正体は最初からバレバレでしたね。
あまりにも露骨すぎてひとひねりくるかとも思ったんですが、ストレートに東宮さまでした。

 

塔子と暁が呪詛事件の調査をしていく過程で、やたらと神話が出てくるのが印象的でした。 塔子は暁や五の宮をたとえる度に神話の神様を引用してくるんですが、あてはめる神様が多すぎて少し混乱してしまいました。キャラ造形に神話をベースにするのは興味深かったし面白くもあったんですが、もうちょい絞って欲しかったように思います。

 

事件の真相はけっこう意外でした。塔子たち同様、私もてっきり右近衛大将が黒幕だと思っていたので。
まさか9歳の子どもが義母を失脚させるつもりでやったことだったとは。
真相解明シーンでの五の宮の無邪気で残酷な面が空恐ろしかったです。自分が何やったのか、わかっているけど理解してないというか。怖い、子ども怖い。

 

ストーリーもキャラも悪くはなかったし、小ネタも面白かったです。
糖分がもうちょっと多ければ言うことなしでした。 でも、塔子と暁の距離感はこそばゆくて素敵だったし、入内を嫌がって熊野に帰りたがる塔子をやきもきしながら見守る暁の姿はかわいくて良かったです。
結局、暁の正体を塔子は気づきもせずに終わってしまいましたが、これは続編ありきということなんでしょうか。もしここで終わりなら消化不良な感じが半端ないですけど。

 

最近の少女小説はシリーズ化するのかしないのかわからないことが多くなりました。その影響なのか最近の流行なのかは分かりませんが、1巻ラストで両想いになる作品がかなり増えたように感じます。
「伯爵と妖精」とか一昔前の少女小説はくっつくかくっつかないのか微妙な加減でシリーズが続いていくものでしたが、近頃では難しいやり方なのかもしれません。「なりゆき斎王」がじれったい恋模様を巻数重ねつつ描いていくシリーズになるのなら、それはそれで期待したいです。

 

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