『白竜の花嫁 隻眼の黒竜と永遠を望むもの』(永野水貴著/一迅社文庫アイリス)★★★★★
白竜の花嫁 隻眼の黒竜と永遠を望むもの (一迅社文庫アイリス)
糖度が!糖度が・・・っ!!!と悶える前半。
そして、涙なくして読めない後半の落差が半端ないです。
イラストも内容も世界観もなにもかもが美しすぎるシリーズの第3弾。
シュトラール様の学習能力の高さに驚愕します。おそろしい子!
いよいよ「竜の永久」にまつわる異種族婚の問題に踏み込んでいきます。切ない・・・・・・。
☆あらすじ☆
竜の“花嫁”として捧げられた山城国の姫、澄白とその夫となった白竜のシュトラール。奪われた始種の骨を取り返すため、黒竜の領地に向かった澄白たちは、略奪者たちが既に離反していたことを知る。その帰路、突如現われた隻眼の黒竜に澄白は攫われてしまい…。孤高の竜と彼を伴侶に選んだ女性との出会いが、澄白に竜を愛すること、その永久となることを意識させて―。
以下、ネタバレ感想です。
前回の伝染病騒動で奮闘した澄白は、ゴルドの他の竜達にも受け入れられるようになりました。
徐々にゴルドの世界になじんでいく澄白。しかし、前回の連続キスの衝撃でシュトラールとはぎくしゃくしてしまいます。
逃げる澄白と追うシュトラール。
同衾までの流れが糖度高すぎてめまいがしそうです。
直接的な表現とか何もないしそもそもそういうシーンじゃないんだけど、色気がすごい!!ムンムン!
それはともかく、奪われた始種奪還のため、シュトラールと澄白は〈フェッダ〉の領地へ赴くこととなります。
道中がまるでデートですね。海上できゃっきゃうふふ・・・(塩くれ)
しかし、訪れた〈フェッダ〉 の領地で知らされたのは、サルグ・アーセファ達がすでに離反者であったこと、行方は分からないということでした。
仕方なく帰還するところを謎の黒竜によってさらわれてしまう澄白。
追ってきたシュトラールとともに澄白たちが出会ったのは隻眼の黒竜アクダルと、彼の〈永久〉であり人間の沙久羅でした。
アクダルは病身の沙久羅のため、謎の薬師集団である〈払暁の一族〉の特徴を備えていた澄白をさらったのであり、事情をきいた澄白は沙久羅の治療を請け負います。
澄白の母深緋の素性が少し明らかになりましたね。
〈払暁の一族〉についての詳細は今後出てくるのかな?
アクダルと沙久羅の関係を傍で見ているうちに、澄白もいつになくシュトラールを意識するように。
しかし、回復する兆しの見えない病状、ザラームの謀略により人間に奪われてしまったためにかかった負荷は容赦なく沙久羅を襲い、結果として、澄白は「人間が竜の永久となることの結末」を見てしまうことになります。
人間が竜よりも短命である以上、必ず伴侶を遺してしまうこと。
そうして遺された竜がどんな風になってしまうのか。
切ないです・・・・・・。
花見のシーンとかほんとに辛かったです。沙久羅が気丈に明るく振る舞い、アクダルとの思い出話にたわむれる姿とか見ながら涙が止まりませんでした。
失意のうちにアクダルは更に悲惨なことに・・・・・・。
どこまでも悲しいお話でした。だけど、アクダルと沙久羅の恋は悲恋ではなかったと思いたい。
読みながら、散りゆく桜吹雪と漆黒の竜のコントラストが頭に浮かんで、その幻想的な風景が印象に残りました。
口絵がまさにぴったり当てはまります。ほんとこのシリーズはイラストと内容の調和が見事すぎる。
アクダルと沙久羅という「竜と人間の永久」の一例を見た澄白とシュトラール。
ふたりがどういう関係になっていくのかが気になります。