白竜の花嫁1 紅の忌み姫と天の覇者


『白竜の花嫁 紅の忌み姫と天の覇者』(永野水貴著/一迅社文庫アイリス)★★★★☆

白竜の花嫁 紅の忌み姫と天の覇者 (一迅社文庫アイリス)
白竜の花嫁 紅の忌み姫と天の覇者 (一迅社文庫アイリス)

イラストがすごく素敵です。それに相応しく、物語もおとぎ話か神話のような「綺麗」な雰囲気があります。内容は陰鬱な要素が割とあるのですが。
和風ファンタジー、ということになるのかな。人間側は中世(?)日本ぽいけど、竜側は西洋のイメージなので、折衷的かも。
赤い瞳のために「忌み姫」と呼ばれて不遇の身にあった澄白と、彼女が生け贄同然の花嫁として嫁いだ竜のシュトラールの物語。
かなり終盤まで悲壮感たっぷりなのですが、ラストはとても良かったです。じんわり感動するタイプのラノベ。

☆あらすじ☆
「君は綺麗だ。その紅い瞳も、肌も…」
婚礼を控え幸福の中にいた小国の姫、澄白は、国を護るため、竜に捧げられる“花嫁”に選ばれてしまう。異なる形で国を護ろうとする兄の計略に従い、竜を殺すための呪をその身に刻み、嫁いだ澄白。しかし夫となった竜、シュトラールの優しさに触れ、次第に決心が揺らいでいく。竜を殺し許婚のもとに戻るか、竜を救うか―。美しい竜の青年に出会い、澄白が選んだ運命とは―。

以下、ネタバレありの感想です。

 

この物語は終始雰囲気が暗かったです。

主人公である澄白に悲劇のヒロイン的要素をこれでもかと詰め込まれているので、もしかしたら悲恋物?と不安になりつつ読み進めました(シリーズ化しているのは知っていたので、少なくとも死にはしないと思っていましたが)

 

赤い瞳を持っているというだけで「忌み姫」と嫌悪されてきた山城国の末姫である澄白は、婚約者の辰彌や幼なじみの詞菜と引き離され、村を襲撃する〈御使い〉から竜族の加護を得る代償として選ばれます

 

緋炎から竜を殺すよう命を受け、自らの身に呪詛を刻みつけた澄白が嫁いだ相手は、白竜のシュトラール。彼は、地上で捜し物をする媒体として人間である澄白を必要としていました。

 

竜の弱点である逆鱗を探るため、澄白はシュトラールとの交流を図ろうとするのですが、ここらへんの描写が本当に穏やかでした。徐々に距離を縮めていくシュトラールと澄白の関係が恋愛というよりも親愛に近いものだったからかもしれません。

 

人間とは違って自分を偏見の目で見ないシュトラールの優しさに触れながら、のんびりとした時間の流れる竜達の領域での生活になじんでいく澄白。
ずっと人間から虐げられてきた澄白がシュトラールや〈隣人〉たちに受け入れられるほど、シュトラールを殺さなければならないことへの戸惑いと葛藤が深くなっていきます。

 

物語は進むにつれて悲壮感を増していき、小さい頃から慕ってきた辰彌と詞菜の祝言を見てしまい、自分が彼らの枷でしかなかったと知ったことや、シュトラールを殺すことも彼の目となりきれることもできない自分への失望から、ついに澄白は自殺未遂まで図ります。

 

もう中盤を越えたあたりから澄白を見ているのが辛くて仕方なかったです。どこまでかわいそうな目にあうのか、悪い意味でドキドキしました。
しかも、シュトラールは優しいんだけど竜だから人間味に欠けていて、澄白の孤独感を薄めるのにあまり役に立たないんですよね。まぁ、澄白の役目も影響しているのですが。

 

緋炎の目的が竜の制圧であることや、〈御使い〉が暴走した原因が彼が始種の骨を悪用したことであることが明かされ、自らの呪詛で兄を止めようとした澄白がほんとうに健気でいたたまれませんでした。もう身も心もボロボロ。
シュトラールを騙した報いを自分に科そうとする澄白の悲痛な決意が苦しかったです。

 

ほんと、助かって良かった・・・・・・!

 

澄白というキャラは儚げで悲壮感を背負い込んでいるのですが、芯の強い部分も併せ持っていて、そのバランスがとてもちょうど良く感じました。詞菜や辰彌への執着を自覚したらへんをピークに澄白というキャラに同情しすぎて泣きそうだった・・・。ここから幸せになっていってくれるといいな。

 

彼女の夫となったシュトラールも、中盤までは非人間的なキャラだったのですが、澄白に惹かれるようになってからは徐々に感情を出すようになってきて、その配分もかなり良かったと思います。
突然人間的にならないのが良い。あくまで異種族な感じをラストまで維持して、でも澄白への想いはちゃんと親愛から恋愛に変化したようにみえました。
・・・・・・ラストのキスは恋愛感情だよね? もしかして違う?

 

この作品、シリーズ化しているのですが、ここからどう進んでいくのか気になります。
結局、澄白はこのまま人間界とは訣別しちゃうのかな?恋愛なのか親愛なのか微妙なラインのシュトラールとの関係もどうなるのか。

とにかく早く続きが読みたいです。良い作品でした。

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