紫陽花茶房へようこそ1 ふたりのための英国式魔法茶


『紫陽花茶房へようこそ ふたりのための英国式魔法茶』(かたやま和華著/コバルト文庫)★★★★★

紫陽花茶房へようこそ ~ふたりのための英国式魔法茶~ (集英社コバルト文庫)
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2013年11月刊。
とても私好みの小説でした。ほんともっと早く読んでおけば良かった!
文明開化後、大正ロマンを感じさせる日本が舞台。
女学生月子が働く紫陽花茶房へ訪れるお客さんたちが抱えた事情を、「魔女の孫」である紫苑が魔法の紅茶で解きほぐすお話。短編集で3本収録されているんですが、どの話もほんのりと心を温かくしてくれる日常ミステリーで、とても素敵でした。
月子と紫苑の関係もドキドキして見所。紫苑のスキンシップ過多なところが良い。とても良い。
2巻の発売も決定しているそうです。嬉しいな(*´∇`*)

☆あらすじ☆
銀座の路地裏に建つレンガ造りの洋館、紫陽花茶房。帝都一おいしい紅茶で客人をもてなす青い瞳の店主・紫音は英国伯爵家の御曹司で、自称“魔女の孫”。紫音の淹れる“魔法茶”はワケありの客人たちを一夜の夢に誘って…?「深夜十二時、夜のお茶会を開きましょう」。ちょっと不思議な青い瞳の店主と給仕のハイカラ女学生・月子が出会う、香り豊かな英国式魔法茶をめぐるハートフル・ストーリー。

以下、ネタバレありの感想です。

 

一杯目 春告げるペルセポネ

成金の家の娘でありハイカラな小鳥遊月子が働く「紫陽花茶房」。
そのオーナーは英国貴族の血を引く紫音・イシャーウッド。 彼の淹れる英国式の紅茶は絶品ですが、商売けがまるでないため紫陽花茶房はいつも閑古鳥が鳴いている状態です。

 

そんな紫陽花茶房に訪れたのは、少し古風な比呂子
ふらりと訪れ、気付けばいなくなっている比呂子の正体は幽霊かと思ってたんですが、生き霊でした(ああ、こう書いてしまうと情緒がない・・・)

 

魔女の孫であり、「ウィッチクラフト」という魔女の術を使って比呂子の事情を垣間見る、というのは面白い設定だと思います。まるで妖精のように小さくなって、比呂子を見守る月子と紫音の姿が童話的でとても素敵でした。こういうの好きです。
でも目玉入りの紅茶は、美青年の口移しでも飲みたくないな・・・

 

身分違いの恋って、今では想像もつかないほど厳しい時代だったのでしょうね。早世した恋人に操を立てた老婦人の想いがとても印象的。それを桜の隆盛に重ねる表現もとても情緒があって良かったです。

 

二杯目 秘密の恋

当時で考えるとものすごく変わってる子だよなー、と一杯目で思っていた月子は、やはり女学校でもとても浮いた存在だったようです。
そんな月子に友達ができるお話。

 

今回のお客様である藤倉美玲は家柄よし、成績良し、器量よしの完璧なお嬢様。
月子が一生懸命彼女と友達になろうと奮闘する姿がとても微笑ましかったです。お弁当一緒に食べるシーンは、頑張ったね!て心の中で褒めました。

 

美玲が抱える事情は血の繋がらない兄への恋
一杯目といい、悲恋が続くか!?と身構えていたら意外にハッピーエンドを匂わせる終わり方で安心しました。うんうん、こっちのほうが全然良いです。

 

そして今回も月子は目玉入り紅茶を紫音から口移しで飲まされています(そしてまたそれを忘れる)。
毎回こうなのか・・・月子を大切に想っている様子の紫音が哀れです。
というか紫音はスキンシップ過剰ですよね。だがそれが良い。やけどで焦る紫音にニヤニヤが止まらんかった・・・。

 

三杯目 五月の猫

一杯目からずっと出てきていた黒猫北斎のお話。
このお話が一番感動しました。

 

昔慕っていた書生と同じ「死の匂い」をかぎとって、少しでも幸運を運ぼうとした北斎。
自分の愛する者が次々いなくなっていくなんて、辛すぎて、想像するだけでも涙が出そうです。

 

この話、北斎の話であると同時に、紫音の事情も明かされました。
日本人とイギリス人のハーフであり、魔女の孫でもある紫音。異端視されていたにもかかわらず、伯爵家の跡取りになるかもしれないとなった途端に手のひらを返してきた周囲に嫌気がさして日本に来たのでしょうか。

 

「止まり木」と「渡り鳥」という言葉に重みを感じます。

 

紫音が理想とする紫陽花茶房のスタンスというだけでなく、拒絶をおそれて人に立ち入れない紫音の弱気を表した言葉でもあったんですね。
最後、月子に対して一歩踏み出した紫音はとても格好良かったです。
月子は海を渡るのが夢なんだから、紫音と結婚してイギリス行けばいいんじゃないですか!?(飛躍)

 

初恋もまだな月子に対して、紫音がどういうアプローチをしていくのか気になってしかたないです。
2巻も発売されるそうだし、無事にシリーズ化してほしいですね。

 

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