灰と幻想のグリムガル1 ささやき、詠唱、祈り、目覚めよ


『灰と幻想のグリムガル level.1 ささやき、詠唱、祈り、目覚めよ』(十文字青著/オーバーラップ文庫)★★★★☆

灰と幻想のグリムガル level.1 ささやき、詠唱、祈り、目覚めよ (オーバーラップ文庫)
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2013年6月刊。
大好きな薔薇マリの十文字青さんの新作(といってもあと数日で2巻が刊行されますが)。
薔薇マリのように、読んでる人間の心を抉ってくるような心理描写を期待して買いました。評判も良いみたいですし。
心理描写そのものは薔薇マリほどきつくはなかったものの、とても丁寧かつ繊細に描かれています。さすがすぎる。他の十文字青作品も買います!
「突然RPGな世界に放り込まれました」といった感じの主人公たちが右も左も分からず、その日を生きていくためにとりあえず戦って行くお話。お金の話がやけに世知辛いのは薔薇マリも同じでしたね(笑)
薔薇マリではマリア以外のZOOメンバーは最初からハイレベルでしたが、グリムガルは全員がレベル1。そのためか、けっこう雰囲気が違います。RPGの序盤をプレイしているときのようなハラハラした感じがたまりません。やばい、やばいって、全滅しそう、やばっ!みたいな。
とても面白かったので2巻以降も期待できそう!

☆あらすじ☆
そこには幻想は無く、伝説も無い。十文字青が描く「等身大」の冒険譚がいま始まる!
おれたち、なんでこんなことやってるんだ……?ハルヒロは気がつくと暗闇の中にいた。何故こんなところにいるのか、ここがどこなのか、わからないまま。周囲には同じように名前くらいしか覚えていない男女、そして地下から出た先に待ち受けていた「まるでゲームのような」世界。
生きるため、ハルヒロは同じ境遇の仲間たちとパーティを組み、スキルを習い、義勇兵見習いとしてこの世界「グリムガル」への一歩を踏み出していく。その先に、何が待つのかも知らないまま……。
これは、灰の中から生まれる冒険譚。

以下、ネタバレありの感想です。

 

ハルヒロたちが目覚めると、そこはグリムガルというRPGぽい世界。
ハルヒロたちは自分の名前以外何も覚えておらず、思い出せそうにもない。
わけのわからないまま義勇兵としてモンスターを倒して稼ぐしかなくなり、右も左もわからない状態で見習いがスタートする、というところから物語が始まります。

 

このグリムガルの面白いところは色々あるのですが、序盤の流れからすでに異色な雰囲気が漂っているんですよね。

まず、グリムガルに主人公ハルヒロとやってきたのは12人。
そのメンバーの中で行動力のある者はさっさと自分のやるべきことを決め、出来そうなメンバーを選び、行動を開始しますが、状況に適応しきれないハルヒロたちはおいて行かれます。
残ったあぶれ者が主人公パーティー。
当然、飛び抜けてデキる者などほぼおらず、これからどうしよう、と一緒に呆然とするだけの関係。ここらへんの流れがやけにリアル。修学旅行の班決めみたいです。

 

そんなハルヒロのパーティーですが、唯一デキる雰囲気を醸し出すマナトに助けられ、何とかカタチになっていくのです。

ギルド入って神官やら戦士やら魔法使いになったり、スキルを少しずつ覚えていくのがまさにRPGぽく、何をやるにも金金金なとこはやたらとリアル。
ちっちゃい動物にも翻弄され、どう考えても雑魚なモンスターにも大苦戦する主人公PT。
実力不足のもどかしい感じは本当にRPG序盤を思わせてハラハラさせられます。

それでも主人公たちは仲間うちの信頼関係を築いていき、ほんの少しずつ、自分ができることを増やしていきます。
風呂場のシーンはやたら笑いましたが、そんな等身大の少年少女が成長する姿は良いものです。

 

そんな主人公パーティーに突然起こる悲劇。
マナトのあまりにも早すぎる死は、読んでるこちらにも衝撃を走らせるものでした。
デキるオーラを振りまいていた彼のことは、これは裏切りフラグか死亡フラグ!とか思ってはいましたが・・・・・・。
それまでのマナトの行動・言動によって思い入れができてただけに、この結末はとても辛かったです。
ハルヒロたちに仲間と思ってもらえるような人間じゃない気がする、と言っていた彼の正体(過去?)は何だったのでしょうか。これから明かされるといいのですが。

 

マナトの死により、今までRPGをプレイしているような感覚だった割とお気楽な雰囲気が一変し、「死ねば終わり」の現実が目の前につきつけられることになるのです。
ゲームならできるリプレイは不可。
悲嘆する主人公たちは、それでも今日を生き抜くために、戦って行かなければなりません。

 

マナトの死とメリィの加入を機に、ハルヒロは自分がどうすべきかを自分の頭で考え始めるようになります。
今までマナトに任せきりだった情報収集などを自分たちでやってみたり、ギクシャクした仲間関係を再構築したり。何にお金を使うべきか、どう使えば自分たちへの投資になるか、を考えたりしているところも成長が感じられます。

メリィとの関係を改善していくところも良かった。壁を作っているのは彼女だけじゃなく、自分たちもなんじゃないか、と考える姿勢はとても好感がもてます。良い仲間になってきているなぁ。

 

メリィの過去を知り、彼女を受け入れ、マナトの死をゴブリンを倒すことで弔った主人公たち。
やっと見習いを卒業した彼らはまだスタート地点にようやく立てた段階だし、同期との差は開いたまま。でも、これからの成長がとても楽しみです。

 

そして、ストーリー自体も巻末の「プロローグ」という章タイトルにあるように序章の序章が終わったばかりの様子。グリムガルという世界の謎、なぜ主人公たちが記憶を失ってグリムガルにいるのか。

ソウマのクラン結成を契機に、次巻以降で物語がようやく動き出しそうです。
2巻も楽しみだ!

 

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「灰と幻想のグリムガル1 ささやき、詠唱、祈り、目覚めよ」への4件のフィードバック

  1. こんばんは。アニメをご覧になってるかは分かりませんが、アニメでは弱冠恋愛模様ぽいものも描かれてますが、原作ではどんな感じですか?
    まあ、アニメも原作も雰囲気(リアルさ?)とかは同じらしいので安心ですが(汗)

    1. ひもじいさん、コメントありがとうございます。

      アニメ見てますよ!BS組なのでまだ2話までですが。

      原作グリムガルでは恋愛模様も少しずつ描かれていきます。
      生活や戦いの描写と同じく、くよくよ悩んだり迷ったりの連続で、いかにも青くさい恋って感じです。
      ただ、原作はハルヒロ視点に固定されていて、シリーズ序盤はハルヒロが恋愛どころじゃないので恋愛描写はそこまで多くないです。

      アニメではどこまで描かれるか分かりませんが、原作のようにハルヒロ視点固定ではないので恋愛面は原作とは違った描かれ方をしていくかもしれません。期待ですね!

      1. なるほど!
        詳しくありがとうございます!原作とアニメを見比べる?のも醍醐味ですね(笑)

        1. ですです!
          特にハルヒロ以外のメンバーについて、ハルヒロの目を通さないと見えてこない原作と、客観的に描かれるアニメとで、どういう風に描かれ方が変わってくるのか楽しみです!

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