『薔薇のマリア Ver2 この歌よ届けとばかりに僕らは歌っていた』(十文字青著/角川スニーカー文庫)★★★☆☆
薔薇のマリアVer2 この歌よ届けとばかりに僕らは歌っていた (角川スニーカー文庫)
薔薇のマリア短編集。トマトクン、ピンパーネル、カタリ、マリアローズの過去のお話。なかなかにハードな鬱展開です。
☆あらすじ☆
マリアが悩み、カタリが恋し、トマトが苦悩し、ピンプが涙する―様々な冒険を経て、結束を強くしてきたクランZOO。明るい笑顔の裏に隠してきたあの記憶。仲間に囲まれ、いつしか思い出すこともなくなったあのメロディー―ZOOがまだZOOでないころ、自分のためだけに歌っていたあのころ、あのときがあるから、今、僕はここにいるんだ―マリアローズをはじめ、知られざるZOOの過去を描く、書き下ろしを加えた珠玉の短編集。
以下、ネタバレありの感想です。
the 1st song 賢者が愚者に捧ぐダージュ
トマトクンの過去のお話。きゅーとの出会いの話でもあるのかな?
最初どういう状況なのかわからなくて混乱。トマトクン視点って初めて(?)だったけど、人間ぽくない人物でした。彼の正体って、一体??本編以上に感情がないように思えた(本編もちょっと非人間くさいとこあるけど)
この短編だけだとトマトクンの正体も過去もさっぱり分からないです。うーん。キング・グッダーと同類ってどういうこっちゃ。
あ、つぼコロ1に出てきたロム・フォウがいます。つぼコロの時より少し若い印象。
the 2nd song 月下砂界夜曲
ピンプがアッサシンだった頃の話。この短編集でダントツの鬱展開です。暗い、重い、血なまぐさい・・・悲しい。
the 3rd song 男が背中で歌うブルーズ
カタリがZOOに入る直前のお話。カタリはいつも通りです。いつも通り良いやつ。お人好しだけど、ここまでくるとむしろ格好いい。泣いちゃっても格好いい。いつか報われるといいね。
the 4th song 小さな恋と裏切りのエレジー
マリアローズが変態子爵から解放された後、エルデンに行くまでの間の話。盲目の魔術師のところでメイドさんやってたんですね。おしとやかに振る舞うマリアローズが新鮮(内心悪態つきまくってるとこは相変わらず)。
ヴィンセントの雰囲気が結構好きなんですが、本編に登場しますかね?変態三角関係に波風たてたとたんに殺されそうですが。
ヴィンセントとの別れ際のマリアローズが切ないです。誰のことも好きにならず、自分が一番嫌いで、はやく1人にならなきゃいけないのに孤独が怖い。ZOOに出会った今のマリアならヴィンセントの好意にも少しは寛容になれたんでしょうか?好意を向けられると怖くなるって辛い。
a coda
4話目のマリアのトラウマに悲しい気持ちになっていただけに、ZOOのいつものやりとりにほっとしました。トマトクンも人間ぽくなってるし、ピンプも物静かだけど明るいし、カタリもいつも通りだし。やっぱりZOOは仲間が揃っているときが最高です。
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