エスケヱプ・スピヰド1


『エスケヱプ・スピヰド』(九岡望著/電撃文庫)★★★☆☆

エスケヱプ・スピヰド<エスケヱプ・スピヰド> (電撃文庫)
エスケヱプ・スピヰド<エスケヱプ・スピヰド> (電撃文庫)

第18回電撃小説大賞“大賞”受賞作。昭和的雰囲気のボーイ・ミーツ・ガールものでした。

☆あらすじ☆
昭和101年、夏。暴走した戦闘兵器に襲われた叶葉は、棺で眠る奇妙な少年に助けを求める。それが、二人が主従の契約を結んだ瞬間だった。少年は自らを軍最強の兵器《鬼虫》だと名乗り!?

以下、ネタバレありの感想です。

 

昭和的な雰囲気といっても、物語は日本ではなく架空の国「八洲(やしま)」の一都市である「尽天(じんてん)」を舞台とします。
この国は大きな戦争により壊滅状態にあり、ヒロインの叶葉は戦後20年の冷凍睡眠から目覚めるのですが、激戦区であった尽天の生き残りはごく少数。
どうにか尽天の外にいるであろう生き残りと連絡を取れないかと探索中、叶葉は九曜と出会うことになります。

 

この九曜。見た目は少年なのですが、「鬼虫」と呼ばれる最強兵器であり、「機械」として扱われています。
でも、素材となっているのは生身の人間で、かなりの機械化がなされている一方で感情が見え隠れしていることもあって、私の受ける印象はサイボーグでした。

 

九曜は叶葉と一時的に主従関係に立つことになるのですが、この二人の関係がとてもかわいらしくて良かった。
機械的思考の九曜だけでなく、叶葉もなんだかずれたところがあり、かみ合わないけどほのぼのした二人の会話が面白かったです。

 

身寄りがないため現状の変化に怯える叶葉と、機械としての生存意義である「戦い」が終わってしまった後を考えて戸惑う九曜は、蜻蛉との戦いを経て、精神的な成長を見せます。
叶葉は現状にとどまらず外の世界を見て回りたいと考え、九曜は自分の意思で叶葉を守ることを決意します。
ラストの二人がトラックで旅立つシーンは、常に「いってらっしゃい」と言い続ける側だった叶葉が「いってきます」を言う側になったシーンでもあり、彼女の変化を示しているようで、なんだか感動してしまいました。

 

中盤までは世界観や地の文に戸惑ってしまい、少し読みづらかったのですが、蜻蛉さま降臨後は怒濤の展開が面白く一気に読むことができました。
二人の旅路の行く末も気になるので、続刊にも手を出してみようと思います。

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