空の中


『空の中』(有川浩著/角川文庫)★★★★★

空の中 (角川文庫)
空の中 (角川文庫)

自衛隊三部作の2作目。「塩の街」「海の底」に引き続き、読んでみました。今回は航空自衛隊が絡むお話。
「塩の街」はライトノベルSF、「海の底」は特撮もの(私的見解です)。では、今度の話はどんなのかなぁとワクワクしながら読んでみたら、なんと『E.T.』でした(?)。

☆あらすじ☆
200X年、謎の航空機事故が相次ぎ、メーカーの担当者と生き残った自衛隊パイロットは調査のために高空へ飛んだ。高度2万、事故に共通するその空域で彼らが見つけた秘密とは?一方地上では、子供たちが海辺で不思議な生物を拾う。大人と子供が見つけた2つの秘密が出会うとき、日本に、人類に降りかかる前代未聞の奇妙な危機とは――すべての本読みが胸躍らせる、未曾有のスペクタクルエンタイテインメント!!

以下、ネタバレありの感想です。

 

主人公は宮じい!!!!!

 

違うけれど。主人公は春名高己と斉木瞬くんです。分かっていても言いたくなる。

 

2件の航空機事故をきっかけに、高巳と美稀は「ディック」と、瞬と佳江は「フェイク」とそれぞれが名付けた未知の生物と遭遇することになります。
物語は別の場所で未知の生物と遭遇した2組に交互に焦点を当てつつ進んでいきます。

 

「未知との遭遇」というテーマはいってみればありふれたもののようにも感じるのですが、「空の中」の面白いところは、未知の生物と遭遇した2組を対照的に描いたところにあるんじゃないかと思います。

 

高巳&美稀は自衛隊や政府の窓口組織としての対策本部のメンバーであり、その立場ゆえに「ディック」とは非常に冷静かつ理性的に共存の道を探っていきます。
彼らと対峙する「ディック」もとても理知的。この両者の交渉過程は、とても読み応えがありました。

 

あと、ところどころ突っ込まれる高巳と美稀のラブコメも良かった。
大人組なんだけど全然洗練されていない二人の恋模様はニヤニヤが止まりませんでした。
美稀さん不器用すぎてかわいすぎる。そして高巳は美稀さんにかわいい言い過ぎでしょう。
高巳は一目惚れなんだろうか?
初対面からあんなに自分の内面を的確にフォローしてくれる人がいたら、いくら難攻不落の美稀さんでも落ちますよね。いいなぁ。

 

対する瞬&佳江は、高校生なだけあってまだまだ未熟。
彼らが遭遇した「フェイク」も「ディック」に比べれば子供といえる成熟度であったこともあって、かれらの交流は線引きを心得た大人組に比べて非常に危なげで拙いものでした。
特に瞬は、お父さんの死により不安定になった精神状態のためにフェイクと共依存の関係に陥ってしまいます。
そんな瞬を近くで見ながらどうしたらいいのかわからない佳江が不憫でした。
彼らの青い恋は大人組と違って「恋」と認識されるまでに時間がかかりますが、それだけに単純化されて美しい想いにみえました。

 

それはともかく(?)子ども組で特筆すべきは、やはり宮じいの存在でしょう!
善良かつ良識のある宮じいの言葉は、迷い戸惑う子どもたちを優しく導いてくれます。あんなじいちゃん欲しかった!(いや、うちのじいちゃんも最高ですが)
でも、宮じいの存在に癒やされていたら、最後の特別書き下ろしで泣かされました。あんなの卑怯です。
もう、この本のメインストーリーは「仁淀の神様」で決まりですね。

 

最後の最後に一気に存在感をかき消した大人組は「クジラの彼」という短編集にちらっと登場するという話を耳にしたので、さっそく書店にゲットしに行こうと思います。

空の中 (角川文庫)
有川 浩
角川グループパブリッシング
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