ジャナ研の憂鬱な事件簿/酒井田寛太郎


ジャナ研の憂鬱な事件簿 (ガガガ文庫)
ジャナ研の憂鬱な事件簿 (ガガガ文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2017年5月刊。
第11回小学館ライトノベル大賞「優秀賞」受賞作。
学生新聞を発行するジャーナリズム研究会の編集長である主人公が、ある美人の先輩と知り合ったことから、日常の様々な謎に遭遇していくという青春ミステリー。
論理的に推理する主人公と、直感的に違和感を訴えるヒロインのコンビがなかなか魅力的で良かったです。
人の秘密を暴くことに対するエゴと、それを押しても真実を知ることの意味を問いかけるような内容だったのかな。
ほろ苦いエピソードが多いなか、なにげに救いだったのは主人公と親友2人の関係性でしたw

☆あらすじ☆
新鋭作家が織りなす日常系ミステリー!
海新高校2年生の工藤啓介は、他人との接触をできるだけ断つために、部員が啓介一人しかいないジャーナリズム研究会に属している。中学時代からの親友である大地と良太郎とだけと親交を保ち、余計なトラブルに巻き込まれないように平穏な学園生活を送ろうとしているのだ。ある日、学内でも評判の美人の先輩白鳥真冬と関わり合ってしまったことによって、少しずつ学内の事件やトラブルに巻き込まれていくことになっていく。
高校生活の中で起きるちょっとした事件を次々と解決していくことになっていく啓介。真冬もまた、その完璧さ故に学内でも疎外感を感じていたのだが、啓介たちと触れあうことで少しずつ本来の自分を取り戻していく……。

以下、ネタバレありの感想です。

 

学生新聞を発行するジャーナリズム研究会(ジャナ研)の唯一の部員であり編集長である高校生・工藤啓介
ある出来事から一つ上の先輩・白鳥真冬と関わることになった啓介は、真冬が持ち込む様々な事件に関わっていくことになる――というのが本作のストーリー。

 

連作短編形式につづられる日常ミステリーものですね。
他の方からよく「氷菓っぽい」と聞いていたのだけど、恥ずかしながら氷菓(古典部シリーズ)に触ったことがないのでそのへんは当然何も感じるものはなく、普通に日常ミステリー作品として楽しめました。

 

物語は、啓介と真冬が出会い、二人で役割分担しながら様々な事件の謎を解き明かしていく形で進んでいきます。
「もやもやする」という真冬の違和感に啓介が触発されて推理し、あるいは、啓介の推理の穴を真冬が「もやもやする」といって指摘する。
そうやって二人三脚(+友人たちのフォロー)で事件の謎を少しずつ紐解いていくのだけど、そこに隠されていたものを知ると「これは本当に暴くべき秘密だったのか?」と感じることが多々あるのが印象的でした。

 

「ジャーナリズムとは何だ?」「エゴイズムです」
という最初の水村と啓介の問答が物語のテーマのひとつだったのかな・・・・・・

悪事や人が隠そうとする秘密を部外者が暴き立てること。
それはただのエゴイズムでしかないのか。それとも、他にも何か意味を持つ行為となれるのか。

その真実を暴くことに意味はあったのか?と思えばエゴだなぁと感じるくだりもあるし、エゴを押し通して真実を暴くことで相手へのより深い理解に繋がることもある。
真実を暴くことの良し悪しどちらも描いていくところが良いですね。
もう少し後味の苦さに対して啓介の葛藤があると好みだったかも(ちょっとうまく言えない感覚だけれど・・・)

 

個人的には、第1話『ノート消失事件』と第二話『聞こえない声を聞かせて』の後味の苦さは複雑な気持ちになりました。
真冬のもやもやは解消されたかもしれないけれど、私はちょっともやもやしちゃったよ・・・・・・

逆に、第3話『負けた理由』と第4話『さようなら、血まみれの悪魔』は真実を暴いたことで、相手への理解と絆が深まるエピソード。
この2つのエピソードは「もやもや」を残したままでは、みんな次に進めなかったんじゃないかな。
特に啓介と大地の絆を強めて爽やかに締めた第3話は良かったし、第4話も届かなかった(届けなかった)想いを真冬が受け取ったことにこそ意味があると思えたエピソードでした。
どちらも、苦味はあるけれど、前向きになれるお話だったと思います。こういうのは好き。

 

そんな感じで啓介が様々な謎を解いていく姿を見ていると、真実を暴くことを本当にエゴだと切り捨てていいのか?という疑問がむくむくとこみ上げるわけです。

真実を暴くことが本当に良いことなのか?と迷っていても、その先に思わず踏み込んでしまうのは啓介自身が知ることの意味を(無意識に?)理解しているからなんじゃないかな。
「苦境に立つ人の心に寄り添うまなざしが、俺には決定的に欠けています」と啓介は言うけれど、果たしてどこまで本当なのか。
彼としては本音なのだろうけれど・・・・・・ううむ、そこまで啓介が自分を卑下する原因となった過去が気になるところ。
そのへんは続刊があれば明かされるのでしょうか?

 

キャラも良かったし(3バカの雰囲気、すごく好きw)、続刊に期待しています。

 

スポンサーリンク
 
0

「ジャナ研の憂鬱な事件簿/酒井田寛太郎」への2件のフィードバック

    1. 茶一こりんさん、コメントありがとうございます。

      私も好きです〜!
      透明感があって可愛らしい素敵な絵柄ですよね(*^^*)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。