明治あやかし新聞 怠惰な記者の裏稼業/さとみ桜


明治あやかし新聞 怠惰な記者の裏稼業 (メディアワークス文庫)
明治あやかし新聞 怠惰な記者の裏稼業 (メディアワークス文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2017年3月刊。
第23回電撃小説大賞「銀賞」受賞作。
古い時代と新しい時代が混ざり合う明治九年の東京を舞台に、妖怪にまつわる記事を書く新聞記者と、彼を見返すために裏稼業の手伝いを名乗り出た少女が、様々なトラブルを妖怪のせいにしながら解決していく物語です。
新しさを取り入れていく時代でありながら、迷信深さの残る人々のアンバランスさが面白い作品でした。
キャラもなかなか立っていてよかったし、シリーズ化するなら続きも読みたいと思います。

☆あらすじ☆
ぞわっとして、ほろりと出来る。 怠惰な記者のあやかし謎解き譚。
日がな一日サロンで惰眠を貪る日陽新聞社の記者、久馬。そんな彼も好奇心が疼けば記事を書く。傍に用意するのは、怪談奇談に妖怪本。彼が書く記事は全て妖怪にまつわるものなのだ。ある春の日、少女が新聞社へ乗り込んできた。彼女の名は香澄。久馬の記事が原因で、友人が奉公先を追い出されたのだという。冷たい対応の久馬に代わり香澄に声を掛けたのは、妖美な男・艶煙。曰く、むしろ妖怪記事は人助けになっており、友人は貞操の危機を免れたのだというが!?

以下、ネタバレありの感想です。

 

物語の舞台となるのは、欧米化の波に浮かれつつも、古い日本文化が根強く残っている明治9年。

主人公・井上香澄は、友人が新聞の妖怪記事によって奉公先を追い出されたと聞き、怒り心頭のままに新聞社に殴り込みをかける。
そこで出会ったのは妖怪記事を書く記者・内藤久馬と、彼の「裏稼業」を手伝う役者・芝浦艶煙

彼らの「裏稼業」とは、妖怪騒動をでっち上げて困っている人々を救うこと。

香澄の友人も奉公先の主人の毒牙にかかる寸前に久馬たちによって救われたことを知り、香澄は彼らの裏稼業を手伝うことになる―― というのが本作のストーリーです。

 

近代化しつつある一方で旧時代の名残もあるという時代設定が秀逸な作品だと思います。

女癖の悪い大店の主人を幽霊画で脅したり、素行の悪い華族の子息に女の怨念がこもった(ように信じ込ませた)髪をまとわりつかせたり。
あるいは、死してなお不憫な扱いを受ける少女の無念を晴らしたり、少女の幸せのために神隠しを起こした男を解放してあげたり。

関係者がみんなあまりにも都合よく妖怪の仕業と信じてくれるので、昔の人は純粋だったんだなぁとか少し思ったりもしましたけどねw
世の中は着々と新しい時代へ向かっているのに、人々の迷信深さはそんなに変わるものじゃないのでしょう。
そのアンバランスな感じがなんだかおかしくて、ちょっとだけかわいい。
明治9年という時代設定が、とても良い塩梅だと思える作品でした。

 

また、キャラクターも魅力的。
猪突猛進で勢い任せの香澄は、この時代さぞ異質だったろうなぁというお転婆ぶり。
家族の理解が半端ないから助かっているけれど、場合によってはかなり生きづらい性格だったのではないでしょうか。あの時代的に。
お節介な性分だから時にうざったくも感じるのだけど、情に厚い女の子だと思います。
最終話なんかは、彼女のお節介が良い結果を生んでいますしね。
自分の信じた方向に全力投球するのは好ましいことだと思います。
でも誰かに手綱をとられる必要はありそう。

 

そんな香澄とコンビを組む久馬。
イケメンで、過去に影があって、お金にならない人助けを頑張っていて、女の子に優しいけれど言動は不器用で・・・・・・ という設定の盛りっぷり。
少女漫画かな? 好物ですよ??
久馬のわかりにくい優しさはキュンとせずにいられません。
あと好き勝手やってる香澄のフォロー(家族への説明とか)がそつなさすぎて「おとなぁ・・・!」と震えました。

 

香澄&久馬の協力者である艶煙も良キャラ。
「役者崩れって言ってたやん!」と私も思いました。
艶煙と久馬のツーショットに萌える女性ファンたちの気持ちはちょっとわかる。

 

色んな騒動を経て、久馬の過去の闇も解き明かし、1冊で綺麗に物語は円満着地。
でも続けようと思えば続けられそうです。
帯には「恋もよう」と書いてあったけれど、まだそこまで恋愛色ないような?
香澄と久馬の関係がどうなるのか気になるので、シリーズ化に期待します。

 

スポンサーリンク
 
0

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。