初恋彗星/綾崎隼


初恋彗星 (メディアワークス文庫)
初恋彗星 (メディアワークス文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

前作の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2010年5月刊。
花鳥風月シリーズ第2弾。といっても各巻独立した読み切り作品です。
今回は、星と初恋と秘密の物語。
純粋だけど歪んでいて、悲しいまでに一途な恋のお話です。
4人の幼なじみの間に隠された秘密と、それを知って選ばれた未来が重く切なくて、これをハッピーエンドと思うことは私にはできない・・・・・・。
それでも不思議とあたたかい読後感に、なんだか泣けてくる作品でした。

☆あらすじ☆
ある夜、逢坂柚希は幼馴染の紗雪と共に、重大な罪を犯そうとしていた舞原星乃叶を助ける。彼女は紗雪の家で居候を始め、やがて、導かれるように柚希に惹かれていった。それから一年。星乃叶が引っ越すことになり、次の彗星を一緒に見ようと、固い約束を三人は交わす。しかし、星乃叶と紗雪には、決して柚希に明かすことが出来ない哀しい秘密があって…。精緻な構成で描かれた、狂おしいまでのすれ違いが引き起こす、『星』の青春恋愛ミステリー。

以下、ネタバレありの感想です。

 

父子家庭で隣の美蔵家のお世話になりながら育った少年・逢坂柚希
柚希と兄妹同然に育った幼なじみの少女・美蔵紗雪
義母から虐待を受け、柚希と紗雪に救われた少女・舞原星乃叶
柚希の友達で、星乃叶に片想いをする少年・嶌本琉生

 

物語は4人の少年少女が出会い、76年後の彗星を一緒に見ようと約束し、それぞれの恋を抱えながら生きていく姿を描いていきます。

 

小学生の頃に芽生えた恋心を成長しても大事にできる人って、一体どれくらい存在するのでしょうか。
「初恋に一途である」と言えばなんとも美しいけれど、この物語で描かれる一途な初恋をみていると、純粋さは時に狂気を生むのかもしれないと思わずにいられません。
ただ、誰かひとりをこんなにも強く純粋に思い続けることができるのは少し羨ましくもあって。まぁ自分がこんな恋をしたいかと言われると否定するしかないけれど・・・・・・。

 

会えない恋人を想い続ける柚希、想い人と親友のために自分を殺し続ける紗雪、恋のために共犯者になる琉生。
柚希と星乃叶の初々しい恋の物語は、いなくなった星乃叶の秘密を通して変質し、やがて予想もしていなかった結末へと進んでいくことに。
星乃叶の行方に関しては察するものがあったのだけど(ある意味すれ違い系の王道的な話だったので)、真相発覚から結末に至るまでの展開がとても衝撃的で目を奪われてしまいました。

 

こんな形で三角関係が落ち着くことは、幸せなのか不幸なのか。
柚希の一途な恋心を思えばハッピーエンドとは言いにくいけれど、紗雪の狂気的なまでに健気な恋心を思えばこれもまた一つの幸せの形なのでしょう。

 

個人的には頑張れるところまで頑張って、あとはきっぱり諦めた琉生の生き方が一番好きでした。
彼は良い男だと思う。幸せになってほしい。

 

ラストのお手紙が本当に素敵でした。涙腺が・・・・・・。
悲しい物語だったけれど、不思議とあたたかい余韻で胸がいっぱいになる作品でした。

 

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