長崎・オランダ坂の洋館カフェ シュガーロードと秘密の本/江本マシメサ


長崎・オランダ坂の洋館カフェ シュガーロードと秘密の本 (宝島社文庫)
長崎・オランダ坂の洋館カフェ シュガーロードと秘密の本 (宝島社文庫)

評価:★★★★☆
2017年4月刊。
面白かったー!
長崎を舞台にした地元グルメ(甘味多め)満載の恋愛小説。
雨の夜にしか営業しない不思議な洋館カフェと謎めいたオーナーに出会った女子大生が、長崎の様々な魅力に触れていく物語です。
著者の江本マシメサさんが長崎県出身なだけあって、郷土愛にあふれていて実に良いです。読めば長崎旅行に行きたくなること間違いなし。食い倒れしたい・・・!
一年を通して長崎の魅力的な顔を色んな角度からたくさん紹介してくれるのも楽しいし、なにより、頑張り屋の主人公と挙動不審系ツンデレオーナーの距離感が!最高!!

☆あらすじ☆
長崎の女子大学に入学した東京出身の乙女は、オランダ坂の外れに一軒の洋館カフェを見つけ、バイトをすることに。クラシカルで雰囲気たっぷりのカフェのメニューは、一日一品のデザートセットのみ。不機嫌顔のイケメンオーナーは、本業不明でやる気ゼロ。その上、雨降る夜にしか開店しないという謎システム。乙女は怪しすぎるバイトをやめようかと思うが、提供される極上スイーツに攻略され、徐々にカフェと長崎の歴史に夢中になって…。

以下、ネタバレありの感想です。

 

東京から長崎の女子大に進学した主人公・日高乙女
雨の日に偶然みつけたオランダ坂の洋館カフェ「Cafe 小夜時雨」に入った乙女は、そこでオーナーの向井潤と出会い、アルバイトとして雇われることになる。
雨の夜にしか営業しない不思議なカフェと、そんな利益の出ないカフェを経営する謎めくオーナーを気にかけつつ、乙女は長崎の様々な魅力を知っていくことになるのです。

 

長崎といえば九州っ子の修学旅行定番コースではないでしょうか。私は小学校のときに行ったなぁ。その後も何回か行ってるけれど。
しかし自分は長崎の魅力を全く分かっていなかった・・・! と本作を読んで戦慄しました。そして長崎県民の甘党っぷりを甘くみていた・・・!(シャレじゃない)

 

オーナーと乙女が雨夜だけ営む「小夜時雨」で提供されるのは1セットだけの日替わりメニュー。
「長崎といえば?」ときけば8割方「カステラ!」と返ってくるだろう県の顔(私見)・カステラ(正確には五三焼き)を皮切りに、次々と美味しそうな長崎スイーツが登場するのです。
カステラ美味しいですよね。小学校の修学旅行でなけなしのお小遣いで和泉屋のカステラをお土産に買って帰ったら「地元の百貨店に普通に売ってるのに?」と家族に言われたことを思い出しました。忘れられない絶許な思い出・・・・・・。
ちなみに私は長崎に行ったら松翁軒のチョコラーテを買います。あれはマジで美味い。

 

名物カステラだけではなく、長崎人の舌、大丈夫か?と心配になるほど劇甘なお菓子がたくさん登場するので、読んでいると甘味がほしくなる作品でした。
長崎という場所と歴史が生んだ様々な南蛮菓子を由来や逸話を交えて紹介されるため、ふむふむと雑学を増やせるのも楽しかったです。
なかでも衝撃だったのはカスドース。これは全く知らなかった。
カステラを卵黄にくぐらせて、糖蜜の中で煮込み(!?)、最後にグラニュー糖をまぶした(!?!?)お菓子らしく、きっと想像を絶する甘さのはず。なぜカステラを更に甘くしようとしたのか・・・・・・ 今度ちょっと買ってきますね。

 

作中では甘味以外の長崎郷土料理も紹介されていて(乙女ちゃんとオーナーがグルメデートしてるのめっちゃ良い・・・)、そんな食い道楽なところも楽しかったです。
しかし長崎皿うどんにソースをかけるって一般常識じゃなかったんですね。リンガー●ットではソース普通にかけないっけ?
あと角煮まんじゅう!長崎行ったら絶対食べるしかないですよね!めっちゃ食べたくなった!
たぶんメジャーだけど岩崎本舗の角煮まんじゅうが死ぬほど好きです。

 

グルメだけでなく、東京出身の乙女が長崎の観光地を巡ったり、長崎の地元民と交流したりして、四季を通じて長崎の様々な魅力に触れていくのも楽しい本作。
これは長崎旅行に出かけたくなる・・・と思いつつ、九州民である私としては作中で乙女ちゃんがはてなマークを乱舞する方言にもクスクスと笑ってしまいましたw
終盤で乙女ちゃんがオーナーに「わからない方言使用頻度ベスト3」を発表していたけれど、あれって「九州民が九州外の人に通じないことに衝撃を受ける方言ベスト3」と言っても良いと思う。
いや九州全県で使う方言なのか分からないけど。少なくとも私は使ってる。そしてよその人に通じなくてめちゃめちゃ衝撃を受けました。
「ぬくめる」って、普通は言わないの・・・?(震)

 

そんな感じで長崎の魅力を堪能できる一方、ニヨニヨと楽しめるのは乙女とオーナーの甘酸っぱい微妙な距離感。
オーナーの正体については最初からヒントだらけでバレバレなのだけど、そのバレバレな正体を踏まえてオーナーの挙動に注目するのがすごく楽しかったですw
うっかりミスが多い上に焦るあまり挙動不審になるオーナー、いい年して可愛すぎじゃないだろうか。
基本仕様がツンデレなくせに隠し事が下手な長崎男児にきゅんとしてしまいました。乙女ちゃんが鈍い子で助かったねw

 

乙女ちゃんも頑張り屋で一生懸命に物事に取り組む姿勢が気持ちの良い主人公。
中盤で恋を自覚してからの乙女っぷり(名前ではなく)も可愛かった〜。
肉食女子に牽制をかけるために告白して、それを後悔するシーンがすごく印象に残っています。自分の想いに誠実な子だなぁって。

 

素っ気なく優しいツンデレのオーナーと、どんどんオーナーに惹かれていく乙女ちゃんの恋がどうなるのか楽しく読めた作品でした。
素敵な結末にも満足。明かされた繋がりがロマンチックでときめきます。こういうところ、江本マシメサ作品らしくてやっぱり好きだなぁ。

 

読んでいてとても楽しい作品でした。
もしシリーズ化してくれたら絶対読む!

 

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