傍観者の恋/ナツ


傍観者の恋 (フェアリーキス)
傍観者の恋 (フェアリーキス)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★★
2017年3月刊。
想い人と契約結婚をすることになった主人公の、切ない片思いを描いたラブロマンス。
報われない恋心を必死に隠し通そうとする主人公の葛藤がとても辛く、友情と恋心の間で揺れ動く想いに胸がぎゅっと締め付けられる物語でした。
互いについた嘘のせいですれ違いの時間が長くてやきもさせられたけれど、結末はとても気持ちの良いもの。
丁寧な心理描写によって情緒豊かに綴られる物語は本当に素晴らしかったです。

☆あらすじ☆
レイチェルは、病弱な大親友アリシアのそばにいるために、そして何より片思いをしている彼女の弟、ノアと別れたくないために、ノアにかりそめの結婚を持ちかける。ノアが姉、アリシアに密かに想いを寄せていることを知りながら。友情と嘘と罪悪感に満ちた3人の生活。契約結婚で手に入れたのは、目のくらむような幸せと消えることのない胸の痛み……。しかし次第にノアの一見、愛情に満ちた言葉と態度にレイチェルの心は激しく揺れて……「君は俺の妻だ。かりそめだろうが何だろうが、俺の一番大事な人だ」罪悪感と共に嘘を吐き、すれ違う。抗えない恋情を募らせる二人の恋は――!?
「君が倒れたと聞いて、息が止まるかと思った。同情でも友情でもいい。少しでも俺を思ってくれるなら、そばにいることを許して欲しい」

以下、ネタバレありの感想です。

 

幼い頃に出会ったノアに恋をし、彼と結婚することになった主人公レイチェル
しかしその結婚は、ノアと彼の姉アリシアに対する恋の傍観者でいようと決めたレイチェルが、ノア以外と結婚せずに二人のそばにいたいという願いが生んだ仮初のもの。
こうして始まった契約結婚生活のなかで、本作はレイチェルが抱く様々な感情をとても丁寧に描いていくのです。

 

愛してる人が愛してる人を、自分もまた愛している。
ノアが想うアリシアは、レイチェルにとっても大切な人で、アリシアもまたレイチェルを大切に想っている。
三角関係ではあるけれど三人とも互いを心から思い合っていて、それがすごく幸福で、すごく切なく感じる物語でした。

 

もっと真正面から嫉妬や憎悪をぶつけられる関係だったなら、話は簡単だったのかもしれない。
ノアとアリシアの恋を傍で見守るレイチェルの感情は、苦悩、葛藤、嫉妬などの暗い感情が渦巻くこともあれば、二人のそばにいられることに幸せを感じることもある。その一方で、その幸福が自分の後ろめたい嘘の上に成り立っていることに罪悪感も覚えてたりして、なんとも複雑で息苦しい心に苛まれ続けるのです。

 

どんなに苦しくて辛くても、ノアに恋することをやめられないレイチェル。
ノアに気づかれないように、必死に恋心を隠し続けるレイチェルの姿は本当に切ないものでした。
ノアに優しくされると舞い上がってしまい、必死に抑えても濃い心は募るばかり。そんな一方通行の恋の切なさがとても真に迫っているのです。
親友のアリシアを心から大切に想っているのに、嫉妬心の弾みで彼女の死を願ってしまい、そんな自分を嫌悪するシーンなんて胸が引き裂かれそうでした。
自分を偽善者だと責め立てるレイチェルの悲嘆が辛くて、繊細に描かれるゆえに感情移入しやすい心の揺れ動きに目が離せなくて・・・・・・。
どうにか彼女の恋が報われないだろうかと、願わずにいられませんでした。

 

一方のノアについても丁寧に描かれていて、姉への恋からレイチェルへの愛へと変わっていく姿がとてもロマンチック。
レイチェルの「男嫌い」という嘘があったせいで、互いの想いがなかなか届かないのにはやきもきしましたけどね。
レイチェルにとって「安全な男」でいようとするけれど、彼女にどんどん惹かれて不意に想いが溢れちゃうところも良い。
どうせ自分の恋は実らないと心を閉じているレイチェルに悪戦苦闘させられつつ、まっすぐに優しく想いを伝えようとするラストのノアに感動しました。

 

ノアとレイチェルの関係を繋ぐ存在でありつつ、彼らの恋のハードルとなっていたアリシアも二人に負けず劣らず魅力的。
とても辛い三角関係だったけれど、アリシアの朗らかで温かい存在感に救われている部分が大きいのは少し意外でした。もっとドロドロするのかと・・・・・・。
アリシアが優しい人だからこそレイチェルの心は罪悪感で引き裂かれるのだけど、それでもレイチェルとアリシアの友情は最後まで美しいものだったと思います。ラストの手紙はグッときた。
まさに美人薄命な人生ではあったものの、ノアとレイチェルの中で永遠になったと思えば心が慰められる気がします・・・・・・でもやっぱり哀しい。

 

最後の最後までレイチェルの切ない片思いと、焦れったいすれ違いにやきもきさせられる物語でした。
ノアとレイチェルの恋も素敵だったけれど、予想以上に友情の物語として読み応えがあったのは嬉しかったです。

読むのが辛くなることも多かった本編とは打って変わり、番外編は振り切れたように糖分大増量だったのも良かったw
甘くて幸せな読後感にとても満足です。

 

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