白翼のポラリス/阿部藍樹


白翼のポラリス (講談社ラノベ文庫)
白翼のポラリス (講談社ラノベ文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2017年4月刊。
第6回講談社ラノベ文庫新人賞「佳作」受賞作。
こういうの好きだなぁ。
陸地のほとんどが海に沈んだ世界で、人々を繋ぐ飛行機乗りの少年とワケあり少女のボーイ・ミーツ・ガール。
二人の出会いは、やがて彼らの「小さな世界」を救う冒険へとつながっていくのです。
ヒロインとの甘酸っぱい距離感も良かったけれど、主人公自身の成長譚としても素敵な作品でした。
戦闘機との戦いもなかなか激しくて良し。やっぱり後座の女の子には銃把を握ってほしいですよね・・・・・・ロマン・・・・・・。
物語は綺麗に終わっているけれど、もしシリーズ化するならぜひ読みたいです。

☆あらすじ☆
はるか昔に陸地のほとんどを失った蒼き世界、ノア。人々は巨大な船に都市国家を作り、わずかな資源を争って暮らしていた。飛行機乗りの少年・シエルは、そんな“船国”を行き来し、荷物を運ぶ“スワロー”。愛機は父の遺した白い水上機“ポラリス”。彼は無人島に流れ着いた少女・ステラを助ける。素性も何も語らない彼女の依頼で、シエルはステラを乗せて飛び立つことに。その先には、世界の危機と巨大な陰謀が待ち受けていた。

以下、ネタバレありの感想です。

 

物語の舞台は、陸地のほとんどが水の底に沈み、空と海しかない世界「ノア」
人々は巨大な人工の浮島でできた「船国」で暮らし、海流に乗って移動する船国間の人々をスワローと呼ばれる運び屋の飛行機乗りが繋いでいく――そんな、ちょっと不便そうではあるけれどロマンを感じる世界でした。

 

そんな世界で父からスワロー「白翼」の名を受け継いだ主人公シエルは、ある日ワケありの少女・ステラを拾い、バトーという船国に連れていってほしいという彼女の依頼を引き受けることに。
しかし、その依頼の裏にはシエルたちが暮らすヴェセルとバトーの二つの船国の危機に関わる問題が存在しており、シエルは自分たちの住む小さな世界の命運をかけた冒険を挑むことになるのです。

 

神話のノアが方舟から降りられずにそのまま船上で繁栄した世界、っていう感じの設定がなかなか面白かったです。
飛行機などのオーバーテクノロジーが旧文明には存在したようだし、そういうディストピア的な背景がちらちらと見え隠れするのも楽しい。こういう世界観、大好物です。

 

舞台背景はさておき、物語の本質はシエルとステラのボーイ・ミーツ・ガール
偶然の出会いから始まり、シエル的にはあまり気乗りしない形で依頼を引き受け、そうして始まったのはビジネスライクな付き合い。しかし目的地を目指す二人きりの時間は、少しずつ互いの距離を縮めていくのです。はぁ、良い・・・・・・。
秘密はあるけれど天真爛漫なステラに、少し影があるシエルが惹かれていくのもなんか分かるよなぁ、と二人の甘酸っぱい距離感にニヨニヨしてしまいました。

 

あと、後座に乗せた女の子に銃撃を任せるって良いですよね。文字通り背中を任せる感じがロマンある。
最初はただそこに居るから任せただけって感じだったからこそ、ラストの「パートナーとして、僕の背中を預かってくれますか?」の言葉にグッとくる・・・!

 

二人の関係性の変化も良かったけれど、同じくらい印象的だったのはシエル自身の変化。
空を飛びたいという思いしかなくて「スワロー」という仕事は手段でしかなかったシエル。
表面上の愛想はよくても、内側はずっと冷めていて、どこか人と距離を起きたがっているような雰囲気があった少年でした。
彼の心に影をさすのは父親の存在だったり自分の目標がないことだったり色々あるのだろうけれど、それがステラとの出会いと彼女との冒険を経てどんどん変わっていき、最後はなんとも熱い男になったなぁと。器が大きくなった感じが素晴らしい。
そして「彼」から及第点をもらえたラストシーンには胸がいっぱいになりました。本当に良い成長譚だ。

 

二つの国を揺るがす問題を描いた今回のストーリーは綺麗に終わっているけれど、続きはあるのかなぁ?
ローマの休日風に終わるのかと思いきや、続刊もできそうな終わり方なのでちょっと期待してしまいます。
二人のその後がもっと読みたいな!

 

スポンサーリンク
 
0

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。