私の心を刺し続ける『菜の花の彼 ―ナノカノカレ―』という漫画について


菜の花の彼―ナノカノカレ― 1 (マーガレットコミックスDIGITAL)
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私が今一番楽しみにしている漫画に「菜の花の彼ーナノカノカレー」という作品があります。
新刊を読むたびに刺さりすぎて悶え、続きが気になって情緒不安定になるほど好きな作品です。

高校生の三角関係恋愛を描いたストーリーで、刺さる人には狂わんばかりに刺さる繊細で丁寧な心理描写が持ち味の作品だと思います。

ただし、キラキラした爽やかな恋愛だけを楽しめるわけではなく、どちらかというとドロドロとした重い作風。
話が進むほどに物語が暗く病んでいくクセの強い漫画なので、人によっては合う合わないが激しい部類かもしれません。

ですが、もしも興味があれば、とりあえず2巻(できれば第1部が完結する7巻)まで読んでみてほしい・・・!

※2017年4月27日から5月10日まで各電子書籍ストアで1〜3巻の期間限定無料版が配信されています。

 

この物語を好きになってくれる人が増えることを願いつつ、『菜の花の彼 ―ナノカノカレ―』という作品について紹介していきたいと思います。

 

無料電子版につられて、軽い気持ちで手に取ったら深い沼に落ちていました。
2巻まで読ませてくれたのが良い戦略だったと思うのです。
1巻だけだと高校生の可愛くて一生懸命な恋の物語なのだけど、2巻で「あれ、これ、そういうキレイなだけの話じゃないぞ?」ってなるんです。

というのも、「菜の花の彼」という作品の真価が垣間見えてくるのは2巻からなのです。

私は2巻で心を刺し貫かれ、あれ?あれれ??と思ってるうちに当時の既刊8巻までを大人買いしていました。

『菜の花の彼―ナノカノカレ―』第1話の試し読みはこちらから

 

物語は、過去の恋で傷ついた心を抱える女子高生・菜乃花が、自分の心を救ってくれる言葉をこぼした少年・隼太と出会い、彼に恋をするところから始まります。

菜乃花と隼太の恋はキラキラとした青春の輝きに満ちていて、時に重く苦しい問題を抱えつつも、それを乗り越えて更に絆を強くしていく。
隼太への想いが菜乃花を強くし、菜乃花に惹かれることで隼太もまた成長する。
そんな、高校生の恋愛モノの王道をいく素敵な恋を育んでいくのです。
菜の花の彼―ナノカノカレ― 9 (マーガレットコミックスDIGITAL)

 

しかし彼らの関係に常に影を落とすのは、菜乃花の元カレ・鷹人の存在。
中学時代の菜乃花と鷹人の恋はすれ違いと誤解によって壊れたものであるため、鷹人は今も菜乃花のことが諦められないままなのです(そもそも彼は終わったつもりがない)
菜の花の彼―ナノカノカレ― 6 (マーガレットコミックスDIGITAL)

 

この鷹人が登場するのが1巻終盤。
彼の物語上の立ち位置が明らかになるのが2巻。
そして4巻で起こる事件をきっかけに、菜乃花、隼太、鷹人の三角関係が動き出していくことになります。

この三角関係の行方を中心として、爽やかに、かつ、ドロドロに、彼らの傷だらけでがむしゃらな恋を描いていくのが『菜の花の彼』という作品なのです。

心理描写がとても丁寧で、キャラの細やかな表情の変化も素晴らしい。
感情を揺さぶるモノローグには引き込まれずにいられません。
ストーリー構成も緻密なので、読めば読むほど深みを感じる作品だと思っています。

 

そういうわけで、主人公・菜乃花を挟んだ三角関係モノなのだけど、徹底的に正反対な存在として描かれていくのが二大ヒーローの隼太と鷹人。

菜乃花の今カレと元カレという立ち位置ゆえに、彼ら二人は作中で幾度も衝突するのだけど、その都度二人の性格の違いが浮き彫りになり、これがまた新たなドラマを呼んで面白いのです。
菜の花の彼―ナノカノカレ― 10 (マーガレットコミックスDIGITAL)

 

まず、菜乃花と真っ直ぐな恋をしていく隼太は、明るく爽やかで優しい正統派ヒーロー。
見知らぬ相手からの突然の告白に戸惑いながらも、時間をかけて菜乃花を知るうちに少しずつ彼女に惹かれていく隼太。実は年下の中学3年生だったりします。

菜の花の彼―ナノカノカレ― 3 (マーガレットコミックスDIGITAL)

隼太はとても性格が良く、気配り上手で穏やかな気質のスポーツ少年。
彼の言葉はどれも芯からぽかぽかと心を温めてくれるかのように優しく、過去の恋にトラウマを持つ菜乃花を包み込むように癒やしていくのです。

その一方で、恋敵である鷹人の存在に刺激され、優しいだけでいられた少年時代から急速に成長していくことになる隼太。
表情の変化が特にすごいんですよ。
いつもは笑顔が可愛い柔和な雰囲気の少年なのに、初めて覚える苦しみに涙を零したり、追い詰められ鬼気迫る顔に迫力をみせたり、感情を押し殺した切ない笑顔を浮かべたり。

菜乃花との恋、鷹人との対立は、隼太を朗らかなだけではない深みのある人間へと変えていくのです。

 

一方で、菜乃花への想いをこじらせ歪ませ病んでいく鷹人は、まさに性癖持ちホイホイの異端派ヒーローといえるでしょう。
中学時代は菜乃花に対する強烈な感情を持て余し、その正体も分からないまま彼女との関係を壊してしまった鷹人。
今なお狂おしいほどに菜乃花を想い、どんどん思い詰めていく彼のダークな魅力は筆舌に尽くしがたいものがあります。
菜の花の彼―ナノカノカレ― 2 (マーガレットコミックスDIGITAL)

優しく包むような隼太の恋とは違い、鷹人の恋はあまりにも激しくてエゴが強いもの。
自分に振り向かない菜乃花を傷つけてでも縛り付けたい。
そんな風に暴走するほど強い想いを抑えられず、自分自身も苦しみながら、それでも鷹人は菜乃花を想うことをやめられないのです。

不器用で、歪んでいて、色んなことを間違えてしまう鷹人の恋。
しかしその想いの一途さだけは本当に綺麗で、「好きになってほしい」という願いの切実さが胸を打ちます。

ヤンデレ属性のある私の性癖をいつもめった刺しにするのはコイツです。鷹人が私を沼に沈めた。

 

物語が進むにつれて、鷹人はもう一人の主人公のようになっていきます。
8巻から始まる第2部からは特にその傾向が顕著です。

この『菜の花の彼』という作品は、菜乃花の恋を描く物語であると同時に、鷹人の恋を描く物語でもあるのです。

ちなみに、鷹人の恋は全くキラキラしておらず、彼に感情移入すると真っ暗な深淵をのぞき込む気分になること間違いなし。
私はその目に優しい感じがとても好きです。

当て馬な鷹人はいつも日陰の男というわけでもなくて、ごく稀に良いこともあるんだけど、だいたいその後に地獄が待ってる。
そんな鷹人ジェットコースターが楽しくなってきたら、完全に鷹人沼に沈んだと思っていいでしょう。

 

どれだけ鷹人が好きでも鷹人単体だときついものがあるけれど、隼太がその重苦しさを適度に和らげてくれます。
この作品はWヒーローが綺麗に役割分担してくれているんですよね。
隼太と鷹人のそれぞれの魅力がお互いの存在によって相乗効果的に引き立つのです。

 

男性陣のキャラが強いけれど、それに振り回されず、自分の想いを貫く菜乃花もまた魅力的な主人公。
透明感のある独特な雰囲気を持った少女なのだけど、泣いたり笑ったりと表情をくるくると変えながら、まっすぐな瞳で初めての恋を実らせようと頑張る彼女から目が離せません。
菜の花の彼―ナノカノカレ― 4 (マーガレットコミックスDIGITAL)
隼太へ想いを届けるために、臆病で内気だった自分を変えていく菜乃花。
その変化は、中学時代はうまく会話もできなかった鷹人との関係をも変えていくことになります。
しかし、今の菜乃花の目には恋しい隼太しか見えておらず、そのひたむきな想いは、同時に、鷹人の心に振り下ろされる鋭い刃となるのです。


どれだけ鷹人が菜乃花を振り向かせようと頑張っても、菜乃花は鷹人に振り返らないし目もくれない。
彼女の隼太への想いはとても強く美しくて、そうであるほどに残酷だといえるのかもしれません。

誰かを想うことが、誰かを傷つけることになる。
三者三様の「好き」という感情がぶつかり合い、傷つけ合う。

そんな痛々しいほどに必死な恋の描き方がとても繊細で、彼らの三角関係を通して「好きという気持ち」の様々な面が徹底的に描かれていくのです。

 

『菜の花の彼』という作品は、とにかく癖が強い漫画だと思います。

菜乃花と隼太の可愛らしい恋が好きな人には、鷹人の存在が煩わしく感じるかもしれない。
強烈にキャラの濃い鷹人に萌える人にとっては、あまりにも報われない不憫な当て馬っぷりが辛い。

本当に、一体どこの層にすすめればいいのかわかりません。
しかしこの三人の関係性から生まれるドラマにこそ注目してほしい作品なのです。

ただ、2部以降は鷹人が主人公然としてくるので、鷹人が合わないなら読むのがつらくなる漫画だとは思います。彼の性格や行動は本当に強烈なので苦手な人も多いかも。ヤンデレですし。

恋を捨てられずに苦しむ鷹人から私は目が離せないのだけど、菜乃花と隼太の恋だけを見ていたいという方もいるでしょう。
鷹人の存在によって菜乃花と隼太も傷つきますしね。
それが二人の絆の成長にもつながるのだけど、「鷹人の悪足掻きを見守れるか、許せるか」というのは本作を楽しむ上で大きな要素だと思います。

話が進むほどに鷹人が病んでいき、それに伴い暗く重くなっていくストレスフルな物語性にも要注意です。

あと、割とぶっ飛んだ展開をすることがあるのだけど、そこらへんはぜひとも広い心で受け入れてほしいところ。
かなり挑戦的な作品だと思うので、その変化球から生まれるドラマに私は期待しています。

積極的にオススメして誰彼構わず「読んで!ねぇ読んで!」と叫ぶのは怖いのだけど、誰かが自主的に沼に沈んでくれるのを心の底からお待ちしております。
おいでませナノカレ沼!

 

 

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