英国幻視の少年たち4 ウィール・オブ・フォーチュン/深沢仁


(P[ふ]4-4)英国幻視の少年たち4: ウィール・オブ・フォーチュン (ポプラ文庫ピュアフル)
(P[ふ]4-4)英国幻視の少年たち4: ウィール・オブ・フォーチュン (ポプラ文庫ピュアフル)

前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2017年3月刊。
マリコやエドの過去がわかる前日譚で構成された短編集的第4巻。
元々透明感があるために幻想的なシリーズだったけれど、過去の話もやっぱり透明すぎてなんだか儚い気持ちになるものでした。特にマリコとグレン。

☆あらすじ☆
「幽霊が見える」中学生の鞠子は、ある老女との出会いをきっかけにイギリスへの憧れを募らせ、二十歳でとうとう渡英する。妖精を探した果てに見つけたのはグレンという名の青年。二人の運命は大きく変わる―。ほか、英国特別幻想取締報告局の幹部ハイド氏のパートナーであり、浮世離れした美貌を持つエルフ・エドワードの過去、幼少期のランスとの関係なども描かれ、少しずつ謎が解き明かされてゆく人気シリーズ第4弾!

以下、ネタバレありの感想です。

 

鞠子が初めてイギリスへやってきた頃のエピソード。

本編から十数年前ということで、鞠子は20歳。
本編の鞠子よりも儚げで今にも折れそうな姿に少し驚きました。最初から強い人だと思ってた・・・・・・。
第二の目を持つ日本人であるため、どこにも居場所がない鞠子。
ああ彼女は迷子だったんですね。だからイギリスに来たのか。

というか最初は妖精に避けられていた? あれ? カイは最初から見えてなかったっけ??
ウィッツバリーが特殊な地なのでしょうか。

それはともかく、マリコと例の妖精国にいた青年グレンの出会いと関係性についても描かれていくのだけど、これがまたなんとも切ない。
なぜグレンが妖精女王に連れ去られたのか、っていう理由が愛情ゆえのことだというのがやりきれないんですよね。

体は寄り添っているのに心はすれ違っている二人の距離感が寂しくて、でも、ちょっと綺麗だなって思っていたのに・・・・・・。

 

エルフの森を追われたエドとハイド氏の出会いを描くエピソード。

なぜかエドは年齢三桁だと思い込んでいました。予想より全然若かった・・・・・・ていうかまだ20代!?あれ、そうだったけ!?

エルフの世界から人間の雑多な世界に連れてこられて瀕死になるエドを見るのは辛かったです・・・・・・乗り物酔いが延々続くようなものなのでしょう? 地獄すぎない?

そんなエドがいかにしてジジコン、じゃなかったファザコン、じゃなくてハイド氏至上主義になったのか。その経緯も判明。
これは確かに懐くよなぁ。ハイド氏の人格者っぷりが半端ないですもん。

でもこんなに優しい人ならもう少し鞠子に寄り添ってあげてくれたら・・・・・・と思ったけれど、ハイド氏はあれで十分寄り添っていたのかもしれません。
鞠子の望む言葉じゃなかっただけで。

 

第1章直後の、妖精の世界に連れ去られたグレンの話。

彼はマリコと同じ世界がみたかっただけなのに。たしかに独占欲が強すぎた願いだったのかもしれないけれど、どうしてこんなことになってしまったのだろう。

妖精の恐ろしさにゾクリとしつつも、グレンがひとりぼっちじゃなかったのは救いだったのかもしれません。

ああでも最後の展開はまた悲しい。
同時に、どこかおとぎ話的に哀しいロマンスなのもグレンとマリコの物語に似合っているかもしれません。ラストはハッピーエンドだといいのだけど。

しかしあの状況で妖精女王に「あなたの出る幕はないわ」ってケンカ売る鞠子はやっぱり鞠子ですね。かっこいいなぁ。

 

ハイド氏とエドと一緒に暮らしていた時期のランスの話。

孤独をこじらせた子供だったことは本編でも何度も語られていたけれど、これは周囲の人間はやきもきしただろうなぁと改めて思いました。
そして今以上に消えて無くなりそうな儚い雰囲気が強い。
すぐ死にそうっていうか、生きることへの執着がこの頃からほとんどなかったんだなぁ。

対して、エドはこの時点でだいぶ雰囲気変わっていますね。
あれだけ人やにおいに酔って吐きまくっていた少年が、ランスを助けるために濁った川に飛び込むんだものなぁ。エルフも成長するんですね。
今回の短編集を読んで、作中の誰よりもエドのことが好きになった気がします。

 

ここで物語は本編に戻ってくる、と。
この物語、とりあえずの目標はマリコとグレンの再会になるのかな?

 

シリーズはまだ続くそうなので、続きも楽しみです。

 

スポンサーリンク
 
0

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。