魔法使いの婚約者2・3/中村朱里


魔法使いの婚約者2 秘密の花嫁と覚めない悪夢 (アイリスNEO)
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1巻の感想はこちらから


総評:★★★★☆
2巻「秘密の花嫁と覚めない悪夢」2016年4月刊、3巻「偽りの騎士に誓いの花冠を」2016年9月刊。

異世界に転生し、魔王討伐パーティの最強魔法使いの婚約者となった貴族令嬢の物語。
1巻はダイジェストっぽい短編集的な構成がやや不満だったのだけど、2巻からはきちんと長編で主人公たちの物語が描かれています。
ちなみに、タイトルは変わらないけれどここから結婚編。

精神年齢○歳をモノローグでよく意識しているだけに、主人公がとても落ち着いて老成した雰囲気なのが印象的。
ただ、その精神年齢ゆえに遠慮が先にたち、他者に頼らず自分でなんとかしようと気負いすぎているところが不安になったりも。
そんな主人公の思考回路を丁寧に描かれているので、迂闊なところにすら思わず感情移入しちゃうんですけどね。この作家さんの心情描写すごく好きだなぁ。

幼なじみの魔法使いとのロマンスも、二人の不器用さが可愛くてニヨニヨしてしまいました。
「仕方のない人」と夫に微笑みかける落ち着いた妻と、「もっと頼れよ」ってふてくされる口下手夫の関係が良い・・・!
精神年齢のせいで姉さん女房っぽい感じのある夫婦でした。

続きもとても楽しみです。

☆2巻あらすじ☆
剣と魔法の世界に転生してしまった私、フィリミナの婚約者は、愛想はないが強大な魔力を持つ、美しき王宮筆頭の魔法使い・エギエディルズだった。主役級フラグを立てまくりの彼と晴れて結婚したけれど、最近見るのは原因不明の悪夢ばかり。さらに、結婚を周囲に明かしていない旦那様エディには、可愛らしい貴族の娘が急接近して…!?注目度急上昇! 第一回アイリス恋愛ファンタジー大賞金賞受賞作の続編が登場!!

以下、2・3巻まとめてネタバレありの感想です。

 

 

新婚生活早々に悩まされる悪夢と、そこから始まるゴタゴタを描いた第2巻。
1巻で不満だった点が大幅に解消されつつ、良かったところはさらに良くなっていてとても面白かったです。

とはいえ、序盤はフェリミナの頑なさに閉口しましたが。
思うところはあるにせよ、せっかく最強魔法使いが旦那なんだから意固地にならずに頼りなさいよって言いたくなります。呪いかもって思うならなおのこと。

 

しかし中盤で吐露されるのは、彼女の行動に隠された愛情深さと矜持。

隠されるのは守るため。守られるのは弱いから。

だから自分のことは自分でやれるって証明したかったのかもしれません。何よりも自分に対して。
ハイスペックな夫との釣り合いをとても気にしているフェリミナだけに、自分で対処できるかもしれないことで泣きつくのが嫌だったんだろうな・・・・・・。
前世の記憶があるゆえに夫婦関係は対等なものでありたいと思ってしまうのだろうし、それはそのまま彼女のプライドでもあるのでしょう。
だとすると意固地になったことにも思わず共感してしまいます。むしろ同情に近いかも。
まぁ結果的には悪手だったんだけど、あれだけ老成した女性が夫の仕事を私事で邪魔するのを厭う気持ちもわかる。

 

このへんも含め、心情描写が本当に丁寧で良かったと思います。
フェリミナがとった行動は軽率だったと思うけれど、それでも自分で解決したいって思った彼女の気持ちを私は責められない。

むしろ作中でもさんざん貶されていたけれど、責められるべきはエディでしょ。
ハイスペックなスペシャリストのくせに。
そうでなくても夫なんだから、呪いには気づかなくても体調不良には気付こうよ!

・・・・・・念願の新婚生活に浮かれていたのか・・・・・・そっか、それなら仕方ないw

 

フェリミナの悪夢から始まった物語は二転三転とする展開が最後までハラハラとさせてとても面白かったです。
間男と悪女が出てきたなぁと思ってたら・・・・・・。間男くんは最後ちょっと切なくてホロリとしてしまいました。

 

前巻でやや不満だったフェリミナの転生設定についてもフォロー。
ただ、私の理解力が足りてないだけかもしれないけれど、『死に恐怖するかつての私』を受け入れる前と後の変化がもうちょっと分かりやすい形で描いてほしかったかな。
深層心理の世界で欠けてる自分を見つけ出すっていう展開自体は好きなんだけど。

 

 

☆あらすじ☆
花祭りに王都が浮き足立つある日。フィリミナはひょんなことから、王弟・クランウェン殿下に気に入られ、侍女として彼の世話役を担うことになってしまう。当然、旦那様で美しき王宮筆頭魔法使いのエギエディルズがそれを許すはずもなく、彼も騎士に扮して一緒に殿下に仕えることになったのだけれど……? 「小説家になろう」でも大人気シリーズ、書籍完全書き下ろしの第3巻!!

神官の王弟・クランウェンに絡まれて護衛と世話役をすることになった主人公夫婦。

殿下がなかなか煽りスキル高くて夫婦をおもちゃにしてるなぁ、と思っていたのだけど、ラストで明かされた真相がもっと酷くてなんだかなぁって感じです。
殴ってもよかったんじゃないでしょうか? ・・・・・・だめか。王族だもんね。

 

栞のことはもっと早くエディに打ち明けてもよかったと思うけど、エディに相談する→キレる→王族相手にトラブル勃発の流れが容易に想像できるあたり、慎重派のフィリミナが黙ってしまうのもわからなくもない。身分社会って面倒くさいですね。

 

この巻はクラン殿下に散々仲を邪魔されてる割に、ちょっとしたシーンの糖度が高くて素敵だったと思います。
フィリミナもエディもお互いを好きすぎて可愛いなぁ。
何かとすぐに遠慮するフィリミナの行動は相変わらずもどかしいこともあるけれど、ラストでエディの側で働けたことを楽しいって言う彼女にほっこりしました。いつもはお屋敷でひとりお留守番ですもんね。直接話すことはできなくてもエディが視界にいるだけで嬉しかったのかもしれない。

 

そういえば、2巻で不満だった「欠けた自分を取り戻したことの変化」について、3巻で結構触れられていたので良かったです。
いのちだいじに。
まぁ、クラン殿下の投げやりな生き方について掘り下げがちょっと浅かったかなと思うけれど。結局最後まで腹の底が読めない御仁でした。

 

巻末番外編は幼少期のフィリミナとエディの花冠交換のエピソード。
かわいすぎかな?幼少期の話はすごく好きなので、こういう形でちょっとずつ語られていくとうれしいです。

 

 

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