ひとくいマンイーター/大澤めぐみ


ひとくいマンイーター (角川スニーカー文庫)
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前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2017年3月刊。
「おにぎりスタッバー」の前日譚であり、魔法少女サワメグが主人公の物語。
今回も面白かったです。文章は前巻よりもマトモ(?)になっているのだけど、それは全てサワメグのおかげ。しかし前巻とは打って変わって哲学的というか形而上学的というか、考えれば考えるほどに深みにはまっていきそうな雰囲気をこじらせてるのもサワメグのおかげ。
歪で凄惨でわけわからん物語が繰り広げられていくのは相変わらずで、それが爽やかな青春ストーリーとして綺麗に着地するのも相変わらず。お見事でした。

☆あらすじ☆
「わたしは魔法少女。敵は連続殺人鬼」――世界と戦う、孤高の青春エンタメ。
「あ、目が覚めたんだ」見知らぬ天井。咽せるような血の臭い。「こんな場所で何してたの?」思い出せない。ここはどこだ。なぜわたしは倒れている。「とにかく気を付けなよ、人食いマンに」巷で噂の美少女専門の連続殺人鬼?「攫われて殺されてバラバラにされて食べられちゃうんだよー」そうだ、わたしはそいつを必ず見つけて
――「この手で殺さないといけないんだった」
サワメグとアズの出会いを語る「おにぎりスタッバー」前日譚。

以下、ネタバレありの感想です。ネタバレ強めなので未読の方は要注意です。

 

まずしみじみ思ったのは、前巻の自由奔放すぎる文章は全て語り手である梓の責任だったんだなぁということ。
改行しない、場面転換がシームレスすぎる、思考があっちこっちに飛びまくる、唐突に不思議ワールドへ落っこちるなどなど、1巻を読んだときはこんな小説がアリなんか!と驚いたものですが(それで読みやすいのがすごいよね)、サワメグにバトンタッチした今回はそういう特異な雰囲気がだいぶ薄れているように感じられました。
これは全てサワメグの思考回路がマトモなことに由来しているのでしょう。こういう書き分けって面白いな。

 

さて、そんなサワメグが語り手となる前日譚。
「魔法少女サワメグ」がいかにして生まれたのかを、連続猟奇殺人事件の謎を追うミステリー形式で描かれていくのです。

 

憧れと嫉妬の対象だった魔法少女・廻沢小梅を殺した殺人鬼「人食いマン」を追うなかで、なぜか欠落した記憶とジャメヴに戸惑う「わたし」。

 

梓との交流や、イマジナリーフレンドとの語らい、炎の魔女との共闘など、時系列がわかりづらい構成に惑わされるけれど、「わたし」と「恵」は徹底的に一人称を書き分けられているんですよね。これはどういう意味があるんだろうと気になっていたんです。
で、終盤の展開まで読んで、ああ、またか・・・・・・と思いました。

 

ふたりの少女が死んで、このわたしが生まれた。これはそういう物語だ。

 

ってまさにそれという。また比喩っぽく綴ってストレートな意味だったパターンか!
前巻もそうでした。
学習しない私はまたも普通に気づかなかった。

 

サワメグの語りを含め、全体の雰囲気がやたら哲学的だったのはこの真実につなぐための布石だったんですね。
スワンプマンかー。こういうアイデンティティを揺さぶる系の思考実験をガチでやられると、不安定で落ち着かない気持ちになるのでやめてほしい(でも楽しい)

 

とはいえ、真実を経て生まれた梓とサワメグの友情はとても美しく、過去へのケジメもついて物語の読後感は素晴らしく爽やか。
何人も人死がでた悲劇的な物語だったのに、前向きな気持になれる青春小説としての満足度が半端ないのです。
このシリーズのこういうところ、本当にクセになります。

 

今回も面白かったです。3巻でるかなー?期待しています!

 

余談ですが、帯にコメントが載りました。わーい!

 

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「ひとくいマンイーター/大澤めぐみ」への2件のフィードバック

  1. コメント載ってるの凄い!おめでとうです!✨✨

    これって前巻はラブコメですか?

    1. ちゃーこりんさん、コメントありがとうございます。

      コメント載りました!ありがとうございます〜〜!

      前巻はラブコメといえばラブコメ・・・・・・いやでもラブコメでオススメしていいのかは悩ましいです。
      かなり変な作品なので、ジャンルを考えずにノリと勢いで手を出してほしい感じです(*´∀`)

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