『イレーナの帰還』『最果てのイレーナ』(スタディ三部作2・3)/マリア・V・スナイダー


イレーナの帰還 (ハーパーBOOKS)
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第1作の感想はこちらから


総評:★★★★★
「イレーナの帰還」2016年3月刊、「最果てのイレーナ」2016年7月刊。
元死刑囚の少女が過酷な運命を生き抜くファンタジー三部作。最後まで最高に面白かったです。

下手を打てば死ぬだろうピリピリとした緊張感のなか、身体的にも精神的にも強くなっていくイレーナの成長から目が離せません。
強情なまでに自分の選択をやり遂げようとするイレーナの姿はとても格好良かった。イレーナが戦いの中でどんどんスキルアップさせていく魔法戦にもすごくワクワクしました。

彼女の周囲の人々も魅力的かつ躍動的に物語を盛り上げてくれていて、個人的にはイレーナのロマンスのお相手がすごくお気に入り。こちらもイレーナに負けず劣らず格好良くて、ふたりの信頼関係にニヨニヨが止まりませんでしたw

また、「魔法を拒絶した国」と「魔法が根付いた国」という2つの国を中心とする世界観はとても読み応えがありました。
人が持つには大きすぎる「魔法」という力に対する考え方の違いや、対象的な両国の人々の価値観の違いなどによって、奥行きのある世界となっていたと思います。

そしてなにより、ジェットコースターのような波乱続きの展開がすごく楽しかった!
次から次にトラブルが降りかかり、一体どうやってこの窮地を切り抜けるのかと何度手に汗を握ったことか。身につけた技術と天性の機転で困難を乗り切っていくイレーナ。彼女の冒険は最高のエンターテイメントでした。

本当に楽しかったです。こういう作品があるからファンタジーはやめられない!

☆「イレーナの帰還」あらすじ☆
生きたいと願った死刑囚の少女、第2章――。14年ぶりの帰郷、両親との再会。そして明かされる生い立ちと、国を揺るがす陰謀。
死刑宣告を受けながらも生き延びたイレーナは、故郷シティアに14年ぶりに戻ってきた。両親は涙ながらに娘を迎えるも、兄を始めとする他の者たちは、敵対国で育ったイレーナをあからさまに嫌悪し、密偵に違いないと疑う。またも四面楚歌となったイレーナに、さらなる危機と試練が――明らかになる14年前の真実と、2つの国に蠢く陰謀、そしてイレーナが生まれ持つ宿命とは? 見逃せない、第2章。

以下、2巻・3巻のネタバレあり感想です。

 

2作目『イレーナの帰還』

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マリア・V スナイダー
ハーパーコリンズ・ ジャパン

 

14年ぶりに故郷へ戻るも、ここでもまた嫌悪され疎外され・・・とイレーナの苦労は続くことに。
もっとも、どんな逆境の中でも精神的にも物理的にも成長を続けるイレーナだけに、彼女ならどうにかなるはずだという頼もしい期待感は1巻よりも強まっていたと思います。

 

しかしまぁ強くなったことの弊害なのか。
誰に何を言われようとも自分のしたいことを貫くイレーナの頑固さにはとてもハラハラさせられました。
自分の選択に責任をもっているから彼女は格好いいんですけどね。
自身を委ねるほど人を信じることができないというのも、彼女の半生をかえりみれば当然なのかもしれませんし。哀れなことだけれど。

 

そんなイレーナが唯一信頼するのは、前巻で想いを通じ合わせたヴァレク。
彼との遠恋はどうなるのかと思っていたのだけど、中盤で再登場してくれて歓喜しましたw
遠くからでもイレーナを助けるヴァレクと、彼だけを自分の居場所とするイレーナの関係が最高すぎる。当て馬カーヒルとか全く敵じゃなかった・・・・・・。
それにしても、窮地にタイミング良く現れ絶妙なアシストをしてキザなセリフを残して去っていくヴァレクをみていると、某美少女戦士を助けるタキシードを着た仮面の人を思い出す・・・w

 

魔術師としてのイレーナの才能もどんどん開花。
かなり使いこなして最強格になりつつある?
ただ、今までの流れ的に「霊魂の探しびと」って恐ろしい問題を内包してそうな気もするんですよね。怖いなぁ。

 

そして忘れてはいけないのは、イレーナの最高のパートナーである愛馬・キキ
ヴァレクはアシスト専門なので相棒としてはキキに一歩及ばないんですよね・・・・・・ていうかキキが頼もしすぎてやばい。馬なのに。

 

 

3作目『最果てのイレーナ』

最果てのイレーナ (ハーパーBOOKS)
マリア・V スナイダー
ハーパーコリンズ・ ジャパン

☆あらすじ☆
生きるためにもがき続けた少女が、最後に見つけたものは――3部作、堂々の完結。
敵対関係を深める2つの国、イクシアとシティア。その架け橋になれないかと望むイレーナだが、遙か昔、世界に恐怖をもたらした悪しき者と同じ力をイレーナが持っているのが判明し、人々は不信感を募らせる。それでも両国のためにひとり奮闘するが、願い虚しく、何者かの陰謀により事態はついに最悪の局面を迎え─。壮絶な日々に立ち向かい、懸命に生き抜いた少女を待ち受ける運命とは? 3部作最終話。

スタディ三部作完結巻。
イクシアとシティアのどちらにも大切な人がいて、どちらにも思い入れがあるからこそ、両国の架け橋になろうとするイレーナ。
しかし彼女の決意もむなしく、シティア内部で大きな陰謀劇が起こったことから、再び両国の緊張が高まってしまうのです。

 

この大きな難題に挑むなかで印象的に描かれていくのは、魔術師を徹底的に排除しようとするイクシアと、魔術師が政治の中枢に存在し尊敬を集めるシティアの違い。

「魔法」という便利な技術を否定し、自然に生まれてくる魔術師を殺し尽くそうとするイクシア最高司令官の姿勢はとても歪んだものに見える。
一方で、大きすぎる「魔法」の力に飲み込まれ翻弄されるシティアをみていると、こんなものはない方が良いんじゃないのかとも思える。
中立的な立場にあるイレーナはそのどちらにも理解を示すことができるものの、同時に彼女はあくまで魔術師である以上、自分のスタンスに悩まずにはいられない。

対照的な2つの国の在り方、それに対するイレーナの懊悩は、この物語の世界観を深く奥行きのあるものにしていて、それこそが読み応えのあるドラマを生みだしていたのだと思います。

 

また、シティア中枢に忍び寄る陰謀に対して足掻くイレーナの戦いも読み応えあり。
かなり終盤まで絶体絶命の窮地が続くため、本当にどうなることかと最後までハラハラさせられました。
途中のヴァレク死す!?な展開だけは、いやいやタキシー●仮面はしぶといから・・・と全然心配してなかったけれどw

 

そんな緊迫の展開から大逆転を決めての大団円にすごく満足しました。
イレーナが覚悟を決めて挑んだ最終決戦も、幻想的な雰囲気がこのファンタジーのラストを飾るに相応しかったのではないかと思います。

・・・・・・しかし黒幕にはびっくりしたなぁ。あそこまであからさまに怪しいとフェイントだと思うじゃないですか?
ストレートに黒幕かよ!?ってまんまと騙された気分・・・・・・

 

 

強情なイレーナにやきもきさせられるシリーズだったけれど、まるでジェットコースターみたいな展開の連続が本当に楽しい作品でした。
この三部作は綺麗に終わっているけれど、続編もある様子。こちらもぜひ翻訳してほしいなぁ!

 

 

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