おそれミミズク あるいは彼岸の渡し綱/オキシタケヒコ


おそれミミズク あるいは彼岸の渡し綱 (講談社タイガ)
おそれミミズク あるいは彼岸の渡し綱 (講談社タイガ)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2017年2月刊。
面白かったー!
『筺底のエルピス』のオキシタケヒコさんの新作。ジャンルレスと聞いていたけれど、たしかにちょっと一言で説明しづらい作品でした。
ホラーで、オカルトで、SFで、ボーイ・ミーツ・ガールで、それらが二重にも三重にも絡み合った不思議な物語。
怖がりな「ミミズク」が座敷牢の少女にせっせと怪談を運ぶ日々は、やがて彼を不思議な世界へと導いていくのです。
途中までほんとに怖かったし、世界観が凝っているぶん理解するまでが大変だったものの、最後まで読むと素晴らしい満足感に浸れる作品でした。

☆あらすじ☆
「ひさしや、ミミズク」今日も座敷牢の暗がりでツナは微笑む。山中の屋敷に住まう下半身不随の女の子が、ぼくの秘密の友達だ。彼女と会うには奇妙な条件があった。「怖い話」を聞かせるというその求めに応じるため、ぼくはもう十年、怪談蒐集に励んでいるのだが……。ツナとぼく(ミミズク)、夢と現(うつつ)、彼岸と此岸が恐怖によって繋がるとき、驚天動地のビジョンが“せかい”を変容させる――。

以下、ネタバレありの感想です。

 

主人公・逸見瑞樹が12歳の頃に出会ったのは、山奥の屋敷の座敷牢に閉じ込められた少女・ツナ
瑞樹をミミズクと呼び「こわい」を求めるツナのために、瑞樹は10年にもわたって怪談を集めて読み聞かせる日々を送るのです。

 

怪談を集めるだけでも嫌なのに、座敷牢を背に読み聞かせっていうシチュエーションがすでにホラー・・・・・・。
怪談を集める瑞樹がまた極度の怖がりであることも痛々しい。私も怖がりだから、瑞樹がビクビクとする様にひどく共感して辛かったです。
しかし慢性的な寝不足と胃潰瘍を患っても、10年も恐怖体験に身を沈めた瑞樹の献身はもはや狂気の域なのでは。いやまぁどこまで自発的な意思だったかはさておき。

 

さて、物語の前半はそんな瑞樹の恐怖が反映したホラー仕様。
瑞樹が収集する怪談話の後味悪さとか、ツナの置かれた環境の不気味さとか、瑞樹が夜な夜な見る奇怪な夢とか、ページをめくるごとに不可思議な世界が繰り広げられていく様子は、正直ちょっと読むのが大変でした。
設定がよくわからんっていうのもあるんだけど、普通に怪談がムリ・・・・・・
我慢して休み休み読んでいって、瑞樹の目がおかしなことになったあたりで「こわいわ!」って一回投げました。怖かったわ!

 

しかしその最こわパートを乗り越えると、物語は一気に色合いを変えていくのです。
瑞樹の恐怖を生み出していた仕掛け、瑞樹が見ていた夢の意味、そしてツナの正体。
どんどん繋がっていき、広がっていく、SF的オカルト世界に魅了されて後半は一気読みでした。
やっぱりオキシタケヒコさんの作り出す世界観は、馴染みのあるものを独自色に染め上げていて読み応えがあるなぁ。最初は面食らったけど、〈かすがみ〉の設定とかめちゃくちゃ面白いじゃないですか!
こういうオカルト現象を科学寄りに(科学的に、ではない。超常現象は超常現象のままという塩梅が大事なのです)解釈・説明していく作品って好きなんですよね。楽しかった〜!

 

こうしてホラーからオカルトSFへと転身した物語は、最後はボーイ・ミーツ・ガール的な爽やかさをもって着地。
ミミズクとツナのホラーみある出会いから始まった物語が、ふたりの幸せな笑顔で幕を閉じてくれて本当に良かったです。
それにしてもこのカップル可愛すぎじゃないか? なんかもう方言にすらきゅんきゅんする・・・・・・!

 

ホラー系ときいて身構えて読んだし、途中は本当に怖かったけれど、読後感の良い素敵な作品でした。
1冊で綺麗にまとまっているから単巻ものかな?
瑞樹たちの周囲の人々も魅力的だったし、なにより〈かすがみ〉の設定が面白かったからシリーズ化するならぜひ読みたいなぁ。

 

まぁでもオキシタケヒコさんにはぜひ一日も早く「筺底のエルピス」の新刊を出してほしいのだけど。いっそ両シリーズ同時進行とかどうだろう。待ってます!

 

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