宝石商リチャード氏の謎鑑定4 導きのラピスラズリ/辻村七子


宝石商リチャード氏の謎鑑定 導きのラピスラズリ (集英社オレンジ文庫)
宝石商リチャード氏の謎鑑定 導きのラピスラズリ (集英社オレンジ文庫)

前巻の感想はこちらから


評価:★★★★★
2017年2月刊。
ものすごく面白かった!
美貌の宝石商と迂闊な正義漢のコンビが、宝石にまつわる謎を解き明かすジュエルミステリー第4弾。
今回は衝撃の前巻ラストに続くお話で、リチャード氏の事情に深く切り込む初長編です。
いやぁ、やっぱり辻村先生の描く人間ドラマは素晴らしい!
デビュー作「螺旋時空のラビリンス」でハートを鷲掴みにされたことを思い出しました。
この世の地獄を見せるのに、軽やかな読後感で締めるところが最高すぎる。

☆あらすじ☆
銀座の店「エトランジェ」を閉め、正義の前から姿を消してしまったリチャード。新たな店主として現れたリチャードの師匠、シャウルから情報を得た正義はイギリスへと向かう。リチャードの秘密の原因となった何かがある国へ。旅の途上、リチャードの親族と名乗る男ジェフリーが正義に近づいてきて? 美しき宝石商を苦しめる過去の因縁と、「正義の味方」の決断は!?

以下、ネタバレありの感想です。

 

姿を消したリチャードが残した言葉にとらわれ、苦悩し、壮絶な地獄を味わうことになる正義。
そんな彼の前に現れたリチャードの師匠・シャウルは、正義の感情を「恋だ」と指摘するのです。

 

ええ〜〜っ、やっぱりBLにいっちゃうの!?とドキドキ。

 

1巻発売当時にBLタグが付いていたときからこの展開は予想できたものだった・・・・・・正義、ようやく自覚するのか・・・・・・リチャード氏おめでと・・・・・・

 

とか、思っていたのだけど。

 

なんだろうなぁ。

BLだとか友情だとか愛だとか恋だとか、そういう真っ先に連想しやすい馴染みの言葉に人間関係を当てはめてしまうのは違うのかもしれない。
正義が狂わんばかりにリチャードのことを考えるのも、鉄砲玉みたいにイギリスに飛び立っちゃうのも、イギリスでリチャードのために無茶をするのも、それは正義がリチャードを好きだからであって、正義がリチャードに恋しているかどうかなんて関係ないんですよね。
人が人を想う感情をカテゴライズすることに意味はなくて、ただそこにある絆だけを、あるがままに受け取ればいいのかなって。
今回の件を通して様々な角度で自分の感情を整理していく正義を見ていると、なんだかそんな風に思えてくるのです。

リチャードの家族の話にしたってそう。
人が持つ複雑な感情に名前をつけることは難しい。明解じゃないからこそ人間ドラマは面白いのです。

 

とはいえ、正義の直球にもほどがある「好き好き」連呼とリチャード氏のハグはニヤニヤしましたが! 正直萌え転がったけれど!!
あと前巻でリチャード氏の恋人の性別を明かさないことで相手が男だとミスリードしたのは意地悪だったと思うw

 

それはさておき。

 

今回はリチャードの過去と家族の因縁が明らかになるシリーズ初の長編ストーリー。
舞台はイギリスということで異国情緒を感じたり、意外にも明るい親族ジェフリーに拍子抜けしたり、そんな陽気な英国紳士が語る貴族の泥沼相続問題に絶句したり・・・・・・。

いやもう、ここは地獄ですか?って感じの悲哀とドン引き入り交じる愛憎劇でした。世代を超えて受け継がれてしまった憎悪の恐ろしさに震える。

 

リチャードを複雑に絡め取る問題に、さて正義の味方である正義はどんな答えを見つけるのだろうかとワクワクしていたし、実際に彼は愉快痛快な茶番劇でもってリチャードを救ってくれました。
・・・・・・が、まさかそこから更に正義自身の呪いに踏み込むとは。

 

うーん、良いなぁこの読み応えある人間ドラマ。
流石すぎる。素晴らしすぎるよ辻村先生・・・!

 

何が素晴らしいって、ここまで根深い愛憎劇を描ききったくせに、それら全てを胃もたれさせることなく完全に昇華させたこと。
なんだこの爽やかな読後感。苦笑いの大団円。
途中のにっちもさっちもいかない絶望的に閉塞した空気はどこへ消え去ってしまったのでしょうか。最高かな?大好き!

 

シリーズ最大の困難を乗り越え、もっと仲良くなった正義とリチャード。
エピローグの2人をみて、ようやく全てが元に戻ったのだとホッと安心しました。そして完全に最強格なお師匠様がとても良いキャラしてる。

 

なんかもう最終巻でも良いかも!ってくらい面白かったのだけど、最終巻ではないらしい。

ちゃんと続くようです。良かった! そして楽しみ!

 

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