魔術学園領域の拳王 黒焔姫秘約/下等妙人


魔術学園領域の拳王 黒焔姫秘約 (ファンタジア文庫)
魔術学園領域の拳王 黒焔姫秘約 (ファンタジア文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2017年1月刊。
第29回ファンタジア大賞「銀賞」受賞作
正統派と言えそうな感じの中二系学園バトルアクション。
最弱主人公が、文字通り血を吐く努力をして底辺から成り上がっていく物語です。
男同士の熱い衝突を描いていて、そのストーリー自体はすごく好み。表現力が追いついていないのが本当に残念だったけれど、この方向性は応援したい。
今後の躍進に期待しています。

☆あらすじ☆
自身の魂を武器に戦う現代の魔術師。その学園に通う立華柴闇は、異能もロクに使えない“欠陥品”だった。しかし、学園最強の美少女・黒鋼焔との出会いが、彼の力を開花させ──「ついてきな、キミを最強にしてやる」。
魔術ではなく体術を極め、実践に特化した“黒鋼流”。弟子入りした柴闇は、焔と家族同然の生活を送り、劇的な進化を遂げる!
「いい加減殺す気でやってくれよ」──魔術師の頂点を目指す戦いの中、生半可な覚悟で戦う敵を挑発。格上相手に下克上を続ける柴闇の姿は、周りの度肝を抜いていき!?
最強の少女と成り上がる、超弩級学園バトルアクション!

以下、ネタバレありの感想です。

 

上位存在の出現により、異能を所持する魔術師が生まれた世界。
魔術師を育成する学園に入学した主人公・立華紫闇は、大きな夢に反して欠陥品の規格外な能力しか持っていなかった。
入学早々、劣等感に心を折られた紫闇は、「阿修羅姫」と呼ばれる学園最強の少女・黒鋼焔に見出され、彼女の指導を仰ぐことになりーーというのが序盤の流れ。

 

ヒロインに鍛えられて最弱だったヒーローの才能が開花、という話なのだけど、面白いのは凡人が強さを手に入れるために狂気に落ちなくてはならないという点。
割とさくさく黒鋼流の技術を手に入れていくのに、実際に対人戦で勝つためには狂わなきゃいけない。超回復な反則技を駆使して、焔によって紫闇がボロボロのぐちゃぐちゃになり続ける修行風景はゾクゾクするものがありました。

 

ただ、うーん、実際に狂気を手に入れたという紫闇をみても「狂気?割と正気じゃない?」という感想が・・・・・・。
一生懸命ライバルを煽ってるシーンをみても、あんまり狂気を感じないんですよね。もうちょっと鬼気迫るような描写がほしかった。

 

この点もそうだけど、全体的に、書きたいことは伝わってくるけれど文章や表現がそれに追いついていないという印象のある作品でした。
様々な技が衝突するバトルシーンにしても、いまいちどういう風に体が動いているのかイメージしづらかったんですよね。
ちゃんと書けてるシーンもあるから、書こうと思えば書ける人だとは思うんだけどなぁ。

 

一方で、物語のテンションを盛り上げようとしているのか、祖父やクリスなどキャラがシャウトするシーンは異様に多い。
あまりにも同じノリを繰り返しすぎてバランスが悪く感じました。ちょっと読んでて疲れた。

 

ダメ出しの多い感想を書いておいてアレだけど、ストーリーそのものはとても好み。
最弱主人公が嫉妬と羨望をないまぜのまなざしで天才少年を見つめ続け、血を吐く努力の果てに同じリングにのぼる。相手もまた同じく嫉妬と羨望で心をドロドロに濁らせ、「彼にだけは負けたくない」と戦いに挑みーー。
ほんとすっごく好きなストーリーラインなんだよなぁ。これぞ好敵手って感じに、好対照な2人の少年を向き合わせる構造が最高すぎる。

ラストバトルなんか上述の不満点が吹き飛ぶくらい興奮しましたしね。この熱さは小手先の技術で生み出せないと思う。
こういう熱量を生み出せるならと、それだけで今後に期待してしまいます。

 

紫闇と焔の関係性も良かった。
焔の方が紫闇より狂人感がちゃんと出ているし、その一方でヒロインらしい可愛らしさがあったのも良い。
ラブコメパートはストッパージジイがいたけれど、そこを含めて盛り上げて落とすテンポが楽しかったです。

 

新人賞らしい粗さはあるけれど、光るものを感じる作品でした。
テンション的に過剰な部分を抑えて、バトル描写の足りない部分をあと少し改善するだけで一気に化けそう。次巻に期待しています。

 

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