天保院京花の葬送 フューネラル・マーチ/山口幸三郎


天保院京花の葬送 ~フューネラル・マーチ~ (メディアワークス文庫)
天保院京花の葬送 ~フューネラル・マーチ~ (メディアワークス文庫)

評価:★★★☆☆
2017年1月刊。
霊感女子高生、トラブルメーカー、若手熱血刑事、ナルシスト霊能力者の4人が廃墟で起こった殺人事件の真相を解き明かすオカルトミステリー。
幽霊ががっつりと事件に絡んでいく物語なのだけど、普通にミステリーとしても読み応えがあって面白かったです。
群像劇的な構成が若干テンポ悪く感じたものの、クセのあるキャラクターは魅力的。
心霊探偵系の作品が好きなら楽しめると思います。私は結構好みな内容だったので、シリーズ化に期待!

☆あらすじ☆
天保院京花には、俗に言う『第六感』が備わっている。でも実際は、人よりちょっとだけ、目がおかしくて、耳が変で、鼻が異常で、舌が特殊で、肌が異様なだけ――。廃墟の洋館で起きた殺人事件。現場に集まったのは、霊感女子高生の京花、トラブルメーカーな元女装少年の人理。不良出身の熱血刑事・竜弥、そして、麗しきナルシスト霊能者の行幸。喪服を纏った女子高生・京花が、おかしな奴らと『謎』に挑むとき、事件は意外な結末を迎えることに――!?

以下、ネタバレありの感想です。

 

「幽霊館」として有名な廃墟で、ひとりの男が殺された。その男の死には幽霊と生きている人間の両方が関わっていてーーという感じで始まるオカルトミステリー。

物語はそれぞれ重要な役割を担う4人に順次スポットを当てつつ、群像劇のような形で「幽霊館」を起点とする連続殺人事件の謎を解き明かしていきます。

 

正直、視点が切り替わる度に時系列が巻き戻り、「この時に彼(彼女)は○○をしていた」ということが繰り返される構成はちょっと読みづらく感じました。どこに巻き戻ったのか把握しづらくて戸惑うんですよね。なので、テンポはあまり良くなかったかなぁ。

 

とはいえ、少しずつ事件解明のヒントが掘り起こされ、予想以上に陰惨な真実が明らかになっていくストーリーそのものは面白かったです。身構えていた以上にエグくてげっそりしたけれど。
幽霊や霊能力者が存在し、がっつり事件に絡んでいくオカルトな話でありながら、怖い怖い人間の罪深さが引き起こすミステリーとしてもなかなかの読み応え。心霊探偵系が好きな私としては好みの部類のお話でした。

 

物語を動かしていくキャラクター陣もクセが強くて読んでいて楽しかったです。

全身真っ黒の喪服に身を包み、幽霊を煩わしく思いつつも見捨てられない美少女・天保院京花
京花に付き添うトラブルメーカーで、だいぶおかしな死生観をもつ葦原人理
事件を捜査する熱血正義漢でちょっぴり霊感もある刑事・桐生竜弥
有名芸能人だけど自信過剰でナルシストな天才霊能相談士・初ノ宮行幸

どれも興味深い人たちなのだけど、まぁまずは何より行幸くんが面白すぎでしたよねw
自惚れ屋っぷりが清々しいレベルで(実際に有能だからタチが悪い)、彼目線のときが一番楽しくストーリーを追いかけられていた気がします。

 

この4人の主要人物がそれぞれ事件に首を突っ込んで真相に迫っていくのだけど、その過程で4人それぞれの人物像についても深く掘り下げられていくことに。
これがメインストーリーのテンポを阻害しているように思える一方で、4人のキャラの濃さを面白くも感じたりして、うーん、なんとも一長一短だなぁと苦笑い。

 

今回の事件は綺麗に解決しているけれど、京花と人理の関係はまだ掘り下げる余地がありそう。
前述したように好みな部類の作品なのでシリーズ化に期待しています。

 

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