僕が恋したカフカな彼女/森晶麿


僕が恋したカフカな彼女 (富士見L文庫)
僕が恋したカフカな彼女 (富士見L文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2017年1月刊。
面白かった〜!
カフカ中毒のヘルメット女子に恋した元プレイボーイが、カフカっぽい奇妙な事件の謎を解いていく青春恋愛ミステリー。
ミステリーに絡めてカフカについて語られていくのが面白い作品でした。
ただ、一番面白いのはヒロインに恋してしまう主人公の挙動だったりして。恋の病とはなんて痛々しいものなのでしょうかw
某シリーズのあの人がゲスト出演(?)したりもする、楽しい作品でした。
シリーズ化を期待しています!

☆あらすじ☆
「君をカノジョにするチャンスをくれ」「なら──カフカにおなりなさい」
「何、この誤字脱字だらけのダブンは」架能風香への恋文は見事に散った。フランツ・カフカを敬愛する彼女にふさわしい男になるため、深海楓は急遽小説家を志す。そして彼女の洞察力を目の当たりにすることになる――

以下、ネタバレありの感想です。

 

中学時代は女に困ることがなかった百戦錬磨の冷血プレイボーイ(自称)・深海楓
高校入学と同時にモテないように天然キャラを演じていた楓は、ヘルメットを被った不思議なクラスメイト・架能風香に告白し、「カフカにおなりなさい」という彼女の要求に応えてカフカ風の小説を書き始める。その一方で、楓の周囲では不条理でカフカ的に奇妙な事件が起こり、風香と共に真相を推理することになる。

 

「カフカ」を中心においた高校生男女の恋愛小説であり、また、日常に起こる謎を解き明かす学園ミステリでもある本作。
最初は恋心なく風香にちょっかいをかけていただけの楓は、様々な謎をカフカに当てはめながら解き明かしていくうちに、やがて彼女への恋を芽生えさせるのです。嘘から出たまことってやつですね。

 

そんな本作において最も重要なキーワードとなるのが(当然だけど)「カフカ」。
青春、恋愛、ミステリーというお馴染みの3要素に「カフカ」を突っ込むことで、なんとも風変わりな味付けに仕上がっていたと思います。
登場する謎の多くに悪夢っぽい気味悪さがあって、読んでいると迷宮に迷い込むようなクラクラとする酩酊感があるんですよね。
私はカフカを読んだことがなくてイメージでしか語れないんだけど(ちゃんと読まなきゃなぁ)、そういう読み味は伝え聞くカフカ作品の雰囲気に通じるものがあるのではないでしょうか。
特に、第二話「元カノが芋虫になりまして」序盤の気持ち悪さはハンパなかったので・・・・・・ぞぞっとした〜・・・・・・

 

ミステリーとしては、割とすぐにオチを予想できたものと意表を突かれたものが半々な感じ。
個人的にはミステリーそのものよりも、それに絡めたカフカ作品の解説が面白くて(こういうところは黒猫シリーズを彷彿とさせる)、生き生きと語り出す風香を愛でるように読んでいました。

 

エピソードの中だと第四話「私の罪を教えてください」が結構好きだったかな。
楓くん、いつもクラスメイトに唇奪われてるなぁと引いてたところでコレかと。よくある手なんだけど、女好きが優しくしてるんだから・・・・・・という先入観のせいで不意打ちだったw

 

一方で、「ある火夫の恋の記録」については引っ張った割にいまひとつ盛り上げきれなかった感じがしてちょっと残念でした。登場人物少ないから割とすぐに真相を察せるし、真相発覚からの展開が呆気なかったかなぁと。

 

まぁでも個人的には恋愛メインに読んだ作品だし、恋愛小説として最後まで楽しめたから大満足。
楓と風香のキャラクターがとても魅力的で、ちょっと捻くれた恋を育む二人の姿にニヨニヨとしまくりでした。
まず「恋なんかしたことない」って嘯いていたのに、風香に振り回されるうちに恋の病を発症した楓くんが面白すぎなんですよね。
風香ホリックってなんだよw 恋わずらいが完全にビョーキのそれでした。なんと痛々しい。

 

楓も大概ヘンな人なんだけど、彼の想い人の風香も輪をかけてヘンな女の子。
まぁヘルメット常備な時点で・・・・・・あと興奮すると奇声を発するし・・・・・・。
風香って割と早い段階から楓のことを気に入ってたのかな?
しれっと変なコスプレして楓をストーカーしてるのに笑ってたのだけど、そういう奇人っぽいとこが印象的だっただけに最終話の弱っている姿にきゅんとしてしまいました。

 

最終話といえば、冒頭からずっと意味深に語られてきた風香の秘密と運命が明らかになっていくわけで、読ながらすごくドキドキしました。一応ハッピーエンドに落ち着いてくれて本当に良かった。
でも看護婦さんと兄は意地悪すぎじゃない? あれで勘違いした楓は悪くない・・・・・・。

 

とても楽しい作品でした!
作中、しれっと黒猫シリーズの主役カップルがいて「森さん、サービス精神旺盛ですね」ってニヤニヤしてたら、あとがきでがっつり黒猫氏が登場して吹きました。
出版社違うのにいいんですかこれ。
黒猫氏、「『僕が恋したカフカな彼女』読んだよ」とか言ってるんですけど。
キャラと作者の対談形式あとがきとか久々に読んだんですけど。

なんとも悪夢というか奇妙な夢っぽさのあるあとがきでした。
シリーズ化して恒例化してほしいな!w

 

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