後宮に星は宿る 金椛国春秋/篠原悠希


後宮に星は宿る 金椛国春秋 (角川文庫)
後宮に星は宿る 金椛国春秋 (角川文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2016年12月刊。
面白かった!
理不尽な法によって一族を奪われた少年が、生き延びるために女装して後宮に紛れ込むという中華風ファンタジー。
見つかれば殺される命がけの状況のなかでも、人への思いやりを忘れない優しい主人公にとても好感が持てます。
薬膳ものとしても面白いし、敵地のなかで正体がバレるか否かのハラハラ感も最高。
続きがありそうな終わり方だったので、シリーズ化が楽しみです。

☆あらすじ☆
大陸の強国、金椛(ジンファ)帝国。貴族である星家の公子、遊圭は、ひとり闇夜を逃げ惑っていた。皇帝が崩御し、叔母が皇后に選ばれ……。「天皇に外戚なし」の法のもとに、星家は一族すべて殉死を命じられたのだ。一家の療母(薬師)、胡娘(コジョウ)の助けにより、一人逃げ延びた遊圭は、町娘の明々に出会う。明々はかつて遊圭に救ってもらったことを恩に感じており、遊圭を匿ってくれた。その矢先、明々の後宮への出仕が決まる。再びの絶望的状況に、明々はからりと言う。「あんたも、一緒に来るといいのよ」――かくして、小柄で女子にも見える体躯を生かし、少年・遊圭は後宮へ出仕することに。しかし美貌の宦官・玄月に正体を疑われ……。つぎつぎと襲いかかる試練に、対抗できるのは己の知恵と仲間だけ。理不尽すぎる世の中で、少年は生き抜くことができるのか。傑作中華風ファンタジー!

以下、ネタバレありの感想です。

 

叔母が皇后になったことから、外戚排除の法により一族全てが先帝の死に殉じることになった星家。
そのただ一人の生き残りとなった次男坊・星遊圭は、自分を匿ってくれた少女・明々と共に女官として後宮に入ることを決意するのです。

 

中華風後宮で女装女官ってリスク高いなぁ(見つかったら死ぬのに・・・)、と思っていたのだけど、そもそもスタートの時点で命がけ。
遊圭を見つけて殺そうとする追っ手から逃れ、なんとか命を繋ぐために後宮に身を隠そうとする少年の物語なんですよね・・・・・・。

 

そんな危ない橋を渡る遊圭はとても好感の持てる主人公。
病弱で世間知らずな坊ちゃん気質なんだけど、仁義を貫く気概を自然体で見せるところが読んでいて気持ち良い。
「そんなに人のことばかり気にしてる場合か!?」とハラハラもするけれど、それでも人の思いに寄り添える遊圭はとても魅力のある少年だと思うのです。

 

遊圭と後宮で一緒に行動する明々や、遊圭に薬膳の知識を教える胡娘もまた素敵。
明るく強い女性陣の言動はとても爽快でした。明々は前向きにキュートだし、胡娘は頼りがいのあるお母さんって感じかな。
特に明々と遊圭の間にはラブコメの波動を感じ取ったので(思春期突入したばかりのもどかしさがたまらないw)、二人の今後の関係がとても楽しみです。

 

正体を隠して敵地のど真ん中で身を潜める遊圭にとって明々や胡娘は大切な味方。
しかし、完全な味方とは言いがたいものの、色んな思惑をもって手を結ぶことになる宦官・玄月も面白いポジションにいるキャラクターだと思います。
むしろこの巻は玄月との駆け引き的な部分が多くて、そのハラハラ感が一番楽しかった。いつ敵に回ってもおかしくなさそうな玄月の底知れなさにゾクゾクしましたw

 

病弱な自分自身のために身をつけた薬膳の知識や教養で他者を助け、それによって玄月に有用性を見出されて命拾いをする。
序盤の明々のことといい、遊圭の人生は「情けは人のためならず」を地で行ってるようなものなんですよねぇ。
保身よりも先に他者への思いやりがくる遊圭が、過酷で波乱の運命のなかでどんな未来を掴み取るのか。

とりあえずまずは叔母である皇妃を守れるのか、そして後宮を無事に脱出できるのかどうか、が問題ですね。その先に果たして星家再興の道があるのか。

 

これからどんな展開が待っているのか楽しみです。

 

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