おにぎりスタッバー/大澤めぐみ


おにぎりスタッバー (角川スニーカー文庫)
おにぎりスタッバー (角川スニーカー文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2017年1月刊。
うーむ、これはまた凄まじい作品でした。
普通の(?)女子高生の平和な(?)日常(?)をぽけ〜っと読んでいたはずなのに、ふと気づけば異次元に放り込まれて出口が見えずに迷子になってしまう感じ。何が出てくるか分からない闇鍋のような物語。なんだこれ変な話だな好き!
しかしネタバレ抜きには説明しにくいんですよね。文章表現も内容もアクが強いから好き嫌いがかなり分かれるタイプだと思うのだけど、「まぁまぁモノは試しに」ってニヤニヤしながら人に読ませてみたい気もする。でも責任は持てない。そんな感じの異色すぎる青春小説でした。

☆あらすじ☆
世界を巻き込む、自意識と恋。
中萱梓。愛称アズ。
見た目も成績も地味なのに「なんか援交だか売春だかをやっているらしい」という噂によって、クラス全員に避けられている。
彼女があの時男を連れ込んで、俺が台所にいて、まあいわゆる修羅場になったせいで、魔法少女やらおにぎりやらが出てくる奇怪な事件が始まったんだが、そんなのは些細な話だ。俺が誰かも気にしなくていい。
だけどどうか彼女の話を聞いてやってくれ。
《自意識持て余し気味のあなたへ捧げる、WEB発、危険な青春エンタメ》

以下、ネタバレありの感想です。

 

まず言いたいのは、この作品の文章表現がとても独特だっていうこと。
改行がほとんどないんです。みっちりぎっちりページに文字が詰まっている。
電子書籍で読むと画面いっぱいに文字が迫ってくるから「おお・・・!」って面食らってしまいました。
まぁでもこういうのは別に嫌いじゃない(十文字青作品とかでよく見るし)
ページ数の割に読むのに時間はかかってしまったけれどw

 

それよりも難儀したのは、場面展開がノータイムというか大雑把というか「え!?いつ場面が切り替わったの!?」ってなる瞬間が多いこと。
あまりにもサラッと切り替わりすぎて気を抜くと置いていかれてるんですよね・・・・・・さっきまでは先輩とデートしてたのに、いつの間にか友達とランチしながら回想してる態になってるよ、みたいな。
私があまり精読というか熟読するタイプではないから置いていかれちゃうのかな。せめて1行あけてくれたら・・・・・・いや、改行でもいいから・・・・・・。
まぁそのフルフラットな感じが独特な読み味にもなっていたのですが。これもまた難儀はするが嫌いじゃない。

 

そんな独特な表現を使う表紙ヒロインの一人称で語られる本作。
物語は、売春の噂がある女子高生・中萱梓が、女子から人気のある先輩・日下部穂高と偶然関わるようになり、親友・サワメグと二人きりだったベージュ色の高校生活が賑やかで騒がしいものに変わっていくーーという感じで進んでいきます。うん。だいたい合ってるはず。

 

・・・・・・まぁこの説明だと物語のシュールな部分の8割を拾えてないんですけど。

 

梓は「街で男漁りして食っちゃう女子高生」だし、サワメグは「世界のピンチと戦う魔法少女」だし、穂高センパイは「エクスカリバーを振り回すイケメン」だし、他にもヤクザ的な商売をしてるママとか、女の子なら誰でも使える魔法でカーストのトップになったおでこちゃんとか色々いて、なんていうか、ソレ全部比喩表現じゃないんですよねっていう。

 

第一章を読んだときは「うわぁマジで援交してるJKが主人公なのかー、最近のスニーカーは本当に攻めてるなぁ」とか思ってたのになぁ。穂高先輩が梓の家に遊びに来たあたりから異次元のドアが開いてそのまま放り込まれてしまいました。
おにぎりってそういう意味かよ!Stabって刺すって意味だもんねなるほどね!!

 

こういう作品をなんていうんでしたっけ。マジックリアリズム?
現実と非現実の境目が実に曖昧で、だけどそのどちらの要素もきちんと立っていて、ごちゃごちゃしているんだけどするっと読めちゃう不思議な感覚。しれっと意味のわからない話や設定が突っ込まれるのに、そういうものかとスルーさせられちゃうんですよね。巧いなって素直に思います。

 

あと、こんなにヘンな話なのにちゃんと青春小説しているのがすごく良い。
「クリスマスが降ってくる」なんてシュールな大騒ぎがある一方で、友達と海に遊びに行ったり、真面目に進路に迷ったり、家族関係に頭を抱えたり、誰かに惹かれたり恋したりするんだもの。
こんな非常識な世界で、規格外な彼らが、等身大な高校生をしているっていうのがたまらなくグッとくる。
普通じゃないようでいて普通な彼らの姿に、逆に青春の揺らぎとか煌めきがくっきり際立つというか。うーん、どう表現すればいいんだろう。とりあえず好き。好きです。こういうの。

 

どうしよう、すごく変な作品に魅入られた感がある。
しかもラストがまた悶えさせるような場面でぶった切ってくれたものだから、続きが気になって仕方ないのです。

 

それなのに次は前日譚なの!?
梓と穂高センパイはどうなるの!?!?

 

ああもう、続きがとても楽しみです!

 

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