運のいい日/バリー・ライガ


運のいい日 (創元推理文庫)
運のいい日 (創元推理文庫)

前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2016年12月刊。
「さよなら、シリアルキラー」シリーズ三部作の前日譚となる短編集。
すごく良かったです。
父親の呪縛に怯えつつも平穏な時間を過ごしていたジャズ、ジャズに惹かれる中で彼の境遇を知るコニー、本編よりもさらに内心が垣間見えるけれどブレないハウイー。やっぱりこの三人組が大好きだ!と改めて思いました。
そして表題作のG・ウィリアムの苦悩と足掻きもすごく読み応えあり。
期待以上に楽しめた短編集でした。このシリーズ、ほんとに最高!

☆あらすじ☆
21世紀最悪の連続殺人犯の息子、ジャズことジャズパー。父が捕まったのち、普通の高校生活を送っていたジャズと、ガールフレンド、コニー、ジャズの親友ハウィーそれぞれを主人公にした短編に、田舎町ロボズノッドで発生した若い女性の惨殺事件を解決すべく奔走する保安官G・ウィリアムズの物語「運のいい日」の四編を収録。センセーションを巻き起こした〈さよなら、シリアルキラー〉三部作の前日譚の、日本オリジナル短編集。

以下、ネタバレありの感想です。

 

「さよなら、シリアルキラー」が始まる前、ジャズとコニーの出会いをジャズ視点で描いたもの。
とても短い短編なのだけど、そのなかに、コニーに惹かれる思春期の少年らしさと、父親が自分に刻み込んだものから抗おうとするジャズ自身の内なる戦いがぎゅっと詰め込まれている感じ。まさに濃縮版。これぞ「さよなら、シリアルキラー」シリーズだと思いました。
ジャズが「ジャズ」という愛称を選んだ理由になんかぐっとくるんですよね。そこでも戦っていたのか、と。
そしてタイトルへの答えが、ああもう、なんかもう・・・・・・!!

 

ハウイーがジャズと一緒にハロウィン・パーティーに出向くエピソード。
血友病患者として腫れ物扱いされていることは本編にも頻繁に出てきた話だけど、そのことについてのハウイー自身の内面が深く切り込まれた感じ。
ハウイーは彼なりに、青春を謳歌するために必死に戦っていたんですね。
ジャズと事情は違うけれど、他の人よりも努力しなければ「普通の青春」を手に入れられないところに通じるものがある。大変な境遇に負けまいとするところも。
こういうところが、二人を親友として結びつけている理由のひとつなのかもしれません。良いコンビだ。

 

ジャズと付き合う直前のエピソードをコニー視点で描いたもの。
普通の女の子が何も知らずに「シリアルキラーの息子」と関わってしまった、さぁどうするか・・・・・・という展開に今さらながらドキドキしました。本編でコニーの性格と選択は分かっていても、やっぱりジャズに関わるのは勇気がいることだと思うんですよね。ジャズ自身を見ようとしていても彼の後ろに父親の影をみてしまうのは仕方ない。
それでもジャズを選んだコニーは素敵。なんでこんなに格好いいんだろう。彼女の情熱は本当に心地が良いです。

 

ビリー・デントはいかにして保安官G・ウィリアムズに捕まったのか。
本編では前提の話だったけれど、どうしてビリーみたいな怪物がG・ウィリアムズに捕まったのかが割と疑問だったんですよね。
でもこの短編を読んで結構スッキリしました。
余裕があって相手を舐めてかかっているビリーと、追い詰められ極限の精神状態で頭を回転させるG・ウィリアムズ。
ビリーはへたにG・ウィリアムズと関わりがあったからボロを出してしまったんだろうか。勝手知ったるホームという安心感もあったのかな。
そのボロを見逃さなかったG・ウィリアムズは確かに運が良かったのかもしれないけれど、彼の鬼気迫る執念に引きずられるようにして読んだ終盤は圧巻でした。めっちゃ面白かった!

 

シリーズの締めくくりに相応しい短編集だったと思います。
余談ですが、途中で語られた日本の謎知識に動揺しました。日本オリジナル短編集だからサービスだったんだろうか? もっと良いイメージの話はなかったのかな(泣)

 

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