境域のアルスマグナ 緋の龍王と恋する蛇女神/絵戸太郎


境域のアルスマグナ 緋の龍王と恋する蛇女神 (MF文庫J)
境域のアルスマグナ 緋の龍王と恋する蛇女神 (MF文庫J)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2016年12月刊。
第12回MF文庫Jライトノベル新人賞「最優秀賞」受賞作。
面白かったーヽ(*゚∀゚*)ノ
科学と魔法が混じり合い特異な発展を遂げた世界で、魔術的な利権をかけて競い合う「王」たち。
その「王」のひとりとなった少年と、彼の伴侶として力を与える蛇女神の物語です。
かなり気合いの入った世界観は荒削りながら読み応えがあったし、キャラ同士の掛け合いは勢いとノリの良さに何度吹き出したことか。
スピーディーな展開も素晴らしく、そしてなんといっても夫婦もの!
私の好きな要素が詰め込まれた楽しい1冊でした。
ヒロインがいちゃいちゃしようとすると勢い余って主人公が死にかけるんだけど、それもまた愛・・・!

☆あらすじ☆
鬼柳怜生・享年17歳。彼の生涯は双子の姪をかばって儚く幕を閉じた……はずだった。何故か生き返った怜生の前には、長い紅髪に豊かな胸の、見目麗しい蛇女……蛇女!? さらに、彼女は怜生の「妻」を名乗り、彼は「神霊と結ばれ、世に新たな魔法技術を生み出す<王>になったのだ」と告げられる。司るは――無から有を生み出し、死者蘇生すら可能な「命」の魔法則。かくして、世界を一変させる力を手に入れた少年の、全世界と数多の〈王〉を相手にした覇道が幕を開ける! 最強・最速・極悪の三拍子揃った凄絶過激な魔王の狂宴、堂々開幕!

以下、ネタバレありの感想です。

 

新人賞って、たまにすごく好みにハマる作品があるんですよね。
この作品も、ところどころ荒削りだし少し目が滑る箇所もあるんだけど、好みな方向に熱量がめちゃくちゃ高くて、正直すっごく面白かったです。

 

まず世界観がとても好み。

人間と妖魔の世界が結ばれ、異界の物理法則を解明した魔術が現代文明の柱となった世界。
そこでは、人間に姿を変えた妖魔が「妖精人」として移住し自治区をつくり、魔術経済界では魔術を創り出す〈王〉たちが利権をめぐって競い合うのです。

見慣れた現代の姿とは、似て非なる異世界的な日本。

「妖魔界からの移民」という背景はかなり重要で、そこから生じる様々なファクターが絡み合って紡がれる物語の壮大さにワクワクしました。

 

そんな世界で利権をめぐる〈王〉たちの衝突はマフィアの抗争っぽくもあり、経済戦争っぽくもあり、その信念のぶつかり合いに(善悪はさておき)胸を熱くせざるを得ません。

今回の敵役である「水葬の王」とか、対外的な言動は非道で無慈悲なのに、臣下を守ろうとする強い意志が普通に格好良かったですし。
「大図書館の主」も主人公の庇護者でありながら厳格に中立、新米への配慮をみせつつも利益はしっかり獲得するという強かさ。彼もまた格好いいキャラクターでした。

 

光る脇役に負けず劣らず、主人公である鬼柳怜生もまた、強い信念を持って新米の〈王〉としての道を進み始めた少年。
物語は、怜生の侶魔・花蓮が神霊の座に到達したことで怜生が〈王〉となり、彼らが生み出すかもしれない治癒魔術をめぐる騒動へと発展していく、という感じで進んでいきます。

 

この治癒魔術が本当に凄まじい。
半人半蛇の花蓮が怜生にじゃれるたびに起こるスプラッタも、治癒魔術のおかげで笑い話に済むレベルですから・・・(震)
ていうかヒロインとのいちゃいちゃが文字通り命がけなんだけど! でも大丈夫! 治るから!
それをおいても、バトル面でもかなりのアドバンテージだし(最後のアンパ●マン顔負けの再生は衝撃)、これは確かに先輩の〈王〉たちからしたら脅威でしょうねぇ。

 

先達にしてベテランの〈王〉たちを前に、たどたどしくも対等に立ち向かおうとする新米の〈王〉。
この構図がすでに熱いし、王道なんですよね。
バトル面も含め、鳴海VS怜央の戦いは緩急のつけかたがうまく、テンポの良いストーリーはとても面白かったです。
まぁ、交渉シーンはもうちょっと頑張って駆け引きを描いてほしかったけれど、そのへんは著者の成長に期待ということで。

 

ていうか、この作品って夫婦がたくさん登場するんですよ。なにこれ私得すぎない?
もちろん一番好きなのは怜生&花蓮のカップルですが。
あざとくも無邪気に怜央を慕う花蓮がほんと可愛い。下半身蛇だけど問題ないくらい可愛い。むしろ下半身蛇なのが可愛い。
怜央もなんだかんだ言って面倒見がよくてニヤニヤしましたw
鳴海&水神(唐突なロリ疑惑発言に笑ったw)や、史紀&詩乃(長年連れ添った老夫婦のような味わい深さ)といい、なんか良カップルが多くて楽しすぎるんだけど・・・!

 

それと、〈王〉の抗争の中で一際目立っていた姪っ子姉妹も魅力的なキャラクターでした。
怜生への容赦なさに逆に愛を感じるし、すごく懐いてるのが伝わってきてニヨニヨする。
花蓮と嫁・小姑戦争みたいになっていたのも楽しかったです。「人様の家系図に爬虫類の血を混ぜようとして!」にはめちゃくちゃ笑ったw

 

すごく楽しい作品でした。ぜひともシリーズ化してほしい!
ただ、怜生の再生能力がちょっとチートすぎるので、バトルの緊張感を仕事させるためにも、このへんはなにか工夫してほしいかな。たぶん、この作者さんなら下手なことはしないと思うけれど。

死への強い忌避感をもっていた怜生が掲げた理想は、それ自体がちょっと怖いものだと私は思うので、これを今後どう描いていくのかも注目したい。
利権争いはもちろん、物理法則どころか道徳観念すらも覆しそうな難しい問題を内包している気がするんですよね。怜生が歩む王道の行方が楽しみです。

 

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