カーリー1 黄金の尖塔の国とあひると小公女/高殿円


カーリー <1.黄金の尖塔の国とあひると小公女> (講談社文庫)
カーリー <1.黄金の尖塔の国とあひると小公女> (講談社文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2012年10月刊。初出はファミ通文庫2006年4月刊。
以前から気になっていた「カーリー」シリーズ。
いざ読んでみると、本当に素敵な少女小説として最高でした。
第二次世界大戦という波乱の時代を生きる少女達の、繊細で輝かしい青春を描いた作品。
英国文化とインド社会が混ざり合う不思議な異国情緒に心惹かれつつ、運命と出会った少女の恋と友情から目が離せません。
そして不意打ちで突っ込まれたスパイ&怪盗要素が堪らない・・・!

☆あらすじ☆
第二次世界大戦前夜、故郷ロンドンを離れ、英国統治下のインドへと渡った14歳のシャーロット。駐在英国人の子女が通うオルガ女学院の寄宿舎で出会ったのは、神秘的な美少女・カーリーガードと個性豊かな仲間たちだった。時代に翻弄されながらも懸命に生きる少女たちの姿を描き、熱狂的なファンを生んだシリーズ第一作。

以下、ネタバレありの感想です。

 

物語の舞台となるのは、第二次世界大戦直前、イギリスの支配下にあるインド。
その藩王国のひとつにある女学校に入学したイギリス人の少女シャーロットは、まるで100年前から時間を止めたような古くさい全寮制の学校で、神秘的な美少女カーリーガードとルームメイトとして出会うのです。

時代遅れの慣習に閉口したり、高飛車な同級生と衝突して嫌がらせを受けたり、気の合う友人と一緒に真夜中のお茶会を開いたり。
大変なことも楽しいこともあるシャーロットの学校生活はとても賑やかで、まさしく青春の学生時代という感じ。喜怒哀楽をめいっぱい表現してくるから、全力で生きているのが伝わるんですよね。そういう、少女のパワーを感じる物語でした。

 

しかし、その裏で蠢く世界情勢はとてもきな臭く、インド国内では分裂の気配。
自分の生きる世界のことを何も知らなかったシャーロットは、友人たちに触発されるかたちで、必死にインドや世界のことを知っていこうとするのです。
国を超えて大人たちが賢しらに利権を争い、暗い時代の幕開けを予感させるなかで、シャーロットが自分なりに世界を捉えようとする姿をとても頼もしい。
子どもだからといって無知でいていいわけじゃない。大人が子ども扱いして何も教えてくれなくても、自分が知りたいことを知り、自分の決めたいことを決めようとするシャーロットの在り方はとてもしなやかで格好いいものでした。
これは少女の成長物語なんですよね。知識を蓄え自分で考えるクセをつけたシャーロットがどんな風な大人になっていくのかワクワクします。

 

さて、そんなシャーロットがどんどん惹かれていくカーリー。
「彼女」の正体はあっさり判明するのだけど、この展開はまさに王道少女小説という感じでとってもニヤニヤしてしまうものでしたw
シャーロットはいつ彼の正体に気づくのかなぁ。
落ち着いた雰囲気のカーリーが時折見せる独占欲に萌えます。あとシャーロットからの不意打ち(ハグ)に弱いところも。

ただ、正体は分かっても色々なことがまだまだ不明確。カーリーがどうしてシャーロットに執着するのかもわからないですし。
二人の本当の関係性についてだいぶあからさまにほのめかされているけれど、ここまでくるとミスリードなんじゃないかなって思ってしまう。というかミスリードであってほしい・・・・・・。

 

シャーロットとカーリーが本当はどういう関係なのかについては、シャーロットの行方不明の母親がどうもキーマンの様子?
母絡みでは英国スパイ映画の雰囲気がある展開に突入してワクワクしまくりでした。怪盗まで出てきたし!
スパイたちは今後どれくらいシャーロットたちに関わっていくことになるのだろう? シャーロットママの動向も気になります。

 

国も人種も宗教も何もかもが違い、「天国」すら違うシャーロットとカーリー。
血みどろの時代を生きなければならない二人が、何を思い、どこへ辿り着くのか。
青春に煌めくようなラストシーンがとても素敵だったけれど、あの幸せな時間はどこまで続いてくれるのか。
続きがとても楽しみです。さっそく2巻を読まなければ!

 

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