2016年の少女小説を厳選40作と振り返る(その1):私的年間ベストと少女小説的トピック


(仮)花嫁のやんごとなき事情 ~結婚できたら大団円! ~ (ビーズログ文庫)

2016年も残りわずか。
今年もたくさんの面白い少女小説を読むことができ、やっぱり少女小説は良いなぁと改めて感じる年でした。
そんな一年の締めくくりとして、今年読んだ中から特に面白かった作品や少女小説界隈の印象深いトピックを紹介しつつ、2016年の少女小説の思い出を振り返っていこうと思います。

それでは、以下をどうぞ〜(^^)/

 

2016年最も記憶に残った少女小説

2016年最大級の感謝を捧げたい出来事は、大好きなシリーズ「(仮)花嫁のやんごとなき事情」(夕鷺かのう著/ビーズログ文庫)が無事に完結を迎えたこと。
ド庶民の勤労少女が敵国の王子のもとに身代わりで嫁ぎ、円満離婚を目指す偽新婚ラブコメです。
時事ネタやパロディを貪欲に取り入れたコメディに笑い、身代わり花嫁と鬼畜夫のすれ違いラブに悶え、妖精や政敵との戦いを描いた壮大なファンタジーにワクワクしたシリーズでした。
2016年の私的年間ナンバーワン少女小説。大団円で完結した今だからこそ自信をもってオススメしたい作品です。

 

1巻だけでもいいからぜひ試してほしい!

 

2016年に完結したオススメのシリーズ

「(仮)花嫁のやんごとなき事情」の他にも、新刊発売を心待ちにしていたシリーズが次々と完結を迎えた2016年。
その中でも特に最後まで面白かったシリーズを紹介したいと思います。

まずは「翼の帰る処」(妹尾ゆふ子著/幻冬舎コミックス)
左遷された超病弱男性文官を主人公とする、政争と神話のヒストリカルファンタジー。
有能すぎて過労死しそうな主人公ヤエトが生きてゴールにたどり着けるのかをハラハラしつつ、圧倒されるほど壮大で、空が美しい世界観を心ゆくまで堪能できるシリーズでした。

 

平安朝の恋と政争を描いた「なりゆき斎王の入内」(小田菜摘著/ビーズログ文庫)も綺麗に完結。
味方の少ない東宮のもとに入内することになった型破りな元斎王の活躍が楽しく、陰謀渦巻く平安宮廷劇を楽しめる作品でした。平安時代の世界観を隅々に感じるほど細やかな描写は、巻末参考文献の量に裏付けられています。

 

新米神様の日常を描いた現代ファンタジー「神様になりまして、」シリーズ(石田リンネ著/ビーズログ文庫アリス)は全3巻で過不足なく完結。長い時間を生きる神様の悲哀に切なくなりつつ、神と人との関わりから生まれる優しい物語に心があたたまるシリーズでした。

 

残念ながら打ち切りの壁を越えられなかったシリーズも少なくなかったけれど、来年はたくさんの長編シリーズが育つことを祈っています。

 

2016年当ブログ的新作少女小説第1位!

2016年最後の月に飛び込んできた「ドイツェン宮廷楽団譜 嘘つき婚約コンチェルト」(永瀬さらさ著/角川ビーンズ文庫)を、当ブログの新作部門年間ナンバーワンに推したい!
恋と音楽の物語としての完成度が素晴らしく、「少女小説ってやっぱり良い・・・!」と思わせてくれる作品でした。
未熟な天才バイオリニストと、彼女を影に日向に支える意地悪な指揮者のカップルに萌え転がること間違いなし。恋心とシンクロしていく演奏シーンも必見です。

 

ドイツェン宮廷楽団譜と合わせてオススメしておきたいのは「花の乙女の銀盤恋舞」(吉田周著/講談社X文庫ホワイトハート)
初恋をこじらせた青年と、身近すぎて彼の気持ちに気づかない少女。そんな幼なじみカップルが、アイスダンスをモチーフにした競技「氷舞闘」に挑む物語です。

 

音楽とフィギュアスケートの違いはあれど、一つの道に邁進するヒロインの成長と恋の物語として、どちらもとても素敵な少女小説でした。

 

2016年はこんなことがありましたーー印象的な少女小説界隈のトピック

 

武人系気弱嫁と俺様系ヘタレ夫の中華風ファンタジー「瑠璃龍守護録」(くりたかのこ著/ビーズログ文庫)
本編は五龍が守る壮大な世界観を見事に描ききり、大団円で完結しています。
前世を巻き込んだ夫婦の攻防がとても楽しいシリーズでした。
が、なぜか最終巻だけ表紙イラストなし(もちろん挿絵もなし)。
挿絵なしや絵師交代はラノベでは頻繁に起こることですが、表紙がタイトルロゴのみというのは初めて見ました。しかも最終巻。
地味にショックが大きい出来事でした。

 

小学館ルルル文庫の新人賞が中止され、8月を最後に毎月の刊行も途絶えてしまいました(来年2月に1作だけ刊行予定あり)。
そのタイミングで刊行されたのが、完結済みシリーズの新作
ヤンデレ最恐嫁が大活躍する幽霊ファンタジー「幽霊伯爵の花嫁」(宮野美嘉著)、騎士系乙女の純情恋物語「レディ・マリアーヌ」シリーズ(宇津田晴著)、という完結作の続編発売の一報に、ファンが戸惑いと喜びでザワザワしていたことは記憶に新しいものです。ちなみにどちらのシリーズも面白いのでオススメ(最新刊は幽霊伯爵が後日談的外伝、レディ・マリアーヌが真の完結巻でした)

 

また、同じく本編完結済みの「舞姫恋風伝」(深山くのえ著)の短編集が電子書籍限定で発売されたりもしました。

 

どの作家さんもルルル文庫で大活躍されてきた方ばかりで、レーベルの店じまいな雰囲気がとても辛い。
各先生方が、ルルル文庫以外のレーベルでも新作を書いてくれないものかとひっそり願っています。

 

ルルル文庫に続き、ウィングス文庫も新人賞を中止。
昨今の少女小説界隈の厳しさを物語るかのようです。
もっとも、ルルル文庫とは異なり、ウィングス文庫は「ウィングス・ノヴェル」という単行本レーベルに主体を移して毎月の刊行を続けています。
貧乏伯爵家を立て直そうとする新当主と男装執事の奮闘を描いた主従ラブ「青薔薇伯爵と男装の執事」(和泉統子著)など、良作を順調に生み出しているレーベルなので、この調子で頑張ってほしいものです。

 

HoneyWorksによる楽曲シリーズ・プロジェクト(メディアミックス)の一部ですが、ビーンズ文庫からシリーズ化されているから少女小説界隈トピックに入れてもいいのかな?
私は読んでいないので軽く触れるにとどめますが、公式サイトでシリーズ累計140万部突破と知って静かに驚愕。来年は読もう。

 

そういえば、あくまでここ数ヶ月の所感ですが、ビーンズ文庫で高校生の青春恋愛もの(なろう&エブリスタ経由)が徐々に増えつつあるようです。現代劇はビーズログ文庫アリスが果敢に挑戦していますしね。
近年の少女小説はファンタジー異世界が舞台のものが主流だったのですが、もしかしたら来年はもっと現代青春小説が増えるかも?

 

コバルト文庫40周年を機に、売り上げが低迷していた雑誌Cobaltが休刊し、ウェブマガジンへと移行。
私はあまり雑誌を購読する人間ではないものの、それでも昔から断続的に買っていた雑誌Cobaltの休刊はとても寂しく、時代の流れを感じる出来事でした。

 

良作続々!コバルト文庫の連作シリーズ

最近のコバルト文庫は連作形式でシリーズ化する傾向が強く、今年はそれがさらに顕著となっていたように思われます。
同じ主人公の物語を続けるのではなく、同じ世界観で人や場所や時間を変えながら異なる物語を描く作品が多いのです。
どの巻から読んでも大丈夫!なフレッシュさが受けているのか、実際に読んでも面白いからなのか、連作シリーズはどれも重版のお知らせが飛び交い、とても好調な様子。ついでに表紙が洗練された気がします。

なかでも個人的にオススメなのは、様々な特技をもつヒロインが登場する中華後宮ミステリー「後宮シリーズ」(はるおかりの著)
その第三弾「後宮錦華伝 予言された花嫁は極彩色の謎をほどく」は、刺繍が得意な箱入り娘が主人公。後宮入りを目指すはずが王弟の妻となった彼女の恋と、織物や刺繍にまつわる謎解きがとても面白い作品でした。

 

死にかけヒロインが命を削って歴史の激動に立ち向かうヒストリカルロマン「死にかけ」シリーズ(藍川竜樹著)も面白い。
このシリーズは血のつながりが近いので1作目「死にかけ花嫁と革命の鐘」から読む方が物語をより楽しめると思います。死にそうで死なない病弱お姫様(ただしメンタル最強)が、お世話係の青年と共に凜々しく革命に挑む物語です。

 

その他、少女小説レーベルの限界に挑むかのようにエロい色気溢れる「童話」シリーズや、幻想的な世界観が非常に美しい「銀灯師」シリーズなど、今年のコバルト文庫は魅力的な連作シリーズを次々と送り出しています。

ちなみにどちらのシリーズも私のオススメは2作め。
童話シリーズの2作目「王女が秘される童話 南瓜の王女の研究録」(長尾彩子著/集英社コバルト文庫)は、忌まれた腹黒王女と思春期をこじらせた少年異端審問官の婚約&監視ラブ。童話というタイトルの割に色々と際どいです。そして身長同じくらいのカップルが可愛い。

 

銀灯師シリーズの2作目「雪侯爵の銀灯師 みせかけ夫婦と王宮の庭」(白川紺子著/集英社コバルト文庫)は両片想いなのに事情があって想いを伝えられないという偽装結婚もの。こちらは連作短編集となっていて、最後に収録された短編がとても美しい余韻を残してくれます。

 

来年もこの傾向は続くと予想。どんな作品が登場するのか楽しみです。

 

次回はジャンル別のオススメ少女小説を紹介します

想定を超えて記事が長くなってしまいました。
続きは「2016年の少女小説を厳選40作と振り返る(その2)」です。
第二弾では、2017年に最も期待しているシリーズや、悪役令嬢転生やヒロイックファンタジーなど、2016年に読んだオススメの少女小説をジャンル別に紹介していく予定です。
こちらもよろしくお願いします。

 

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