友達いらない同盟/園生凪


友達いらない同盟 (講談社ラノベ文庫)
友達いらない同盟 (講談社ラノベ文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2016年12月刊。
第5回講談社ラノベチャレンジカップ「佳作」受賞作。
クラスから浮いてる者どうしで「同盟」を組もう!という物語。途中までは正直あまり楽しめなかったのだけど、これは最後まで読んで良かった。
読み終わって覚えるのは「なんかすごいものを読んだ」と圧倒される感覚。
最初は苦手意識のあった主人公も、何を考えてるのか良く分からなかったヒロインも、最後にはその不器用さから目が離せなくなってしまいました。生きるってなんて難しいんだろう。
もう少し途中にも起伏がほしかったけれど、それはそれとして今後に期待したい新人作品でした。
たぶんこれは単巻ものかな。次回作が楽しみです。

☆あらすじ☆
俺――新藤大輔は、中学生の時に友達の定義について考えてみた。俺にとっての友達とは何か? するとすぐに答えは出た。こいつになら、まあ、殺されても仕方ない。そう思える相手。俺にとっての友達の基準はそうなり――結果高校のクラスで友達を作ることはできず、中学からの友達が別のクラスに一人だけ。そんな俺に、クラスメイトの少女・澄田が声をかけてきた。「新藤君、わたしと同盟を組んで下さい」同盟とはいったい何を!?

以下、ネタバレありの感想です。

 

クラスに友達がいなくて浮いている者どうしが集まり「同盟」を組むとかいう始まりなものだから、「友達いないという建前で仲間が集まって仲良くするパターンか?」と最初は思っていました。

しかし途中まで読んでいても、この同盟がどういう方向にいくのか、よくわからない。

ノートやCDは貸し借りしているけれど、友達?仲間?というにどこか少しそっけない。
さらに同盟とは無関係の引きこもり後輩のエピソードが頻繁に挟まってくるものだから、ますます「あれ?同盟どこいった??」と首を傾げてしまうのです。

 

そういうわけで、なんかフラフラしたストーリーだなぁと思っていたのだけど、これは主人公・新藤の価値観や人生観を掘り下げていくうえで必要な寄り道だったんですね。
ヒロイン・澄田が「死にたいんだよね」と伝えたあたりで、ようやくこの物語のテーマとするものが見えてきました。まぁそれは私の察しが悪いだけかもしれないけれど。

 

他者との関係が生きていく上での錨のようなものだとしたら、それを持たない澄田がフワフワとたゆたうように死へと流れていくのも、なんとなく理解できるような気がします。
それは新藤がいう「死んでもいいや」という心境とはきっと全く違うんだろうなぁ。
新藤にはなんだかんだで親友や後輩がいて、その存在を精神的な後ろ盾にして自分の好きなような言動を選び取っている。
でもそれは澄田にはできない。
最初は新藤と澄田を似た者同士だと思っていただけにその違いがとても残酷に感じられて、終盤は澄田の絶望に飲み込まれそうになっていました。

 

そんな絶望感に抑圧されていくだけに、ラストの爽やかさに感じるカタルシスは素晴らしい。
新藤が自分の人生を躊躇なく差し出したことで、澄田にとっての錨が生まれたのかもしれない。
手を取って一緒に死んでくれる人がいるなら、その人と一緒にもう少し生きていてもいいと思えるのかもしれません。

 

微妙に自分とテンポの合わない展開が続いて序盤は投げ出しそうになったものの、最後まで読んで本当によかったです。
少し自意識を拗らせた少年少女の、一生懸命生きることを考える姿が心に残る作品でした。
園生凪さんの次回作も期待しています!

 

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