いじわる令嬢のゆゆしき事情 灰かぶり姫の初恋/九江桜


いじわる令嬢のゆゆしき事情 灰かぶり姫の初恋 (角川ビーンズ文庫)
いじわる令嬢のゆゆしき事情 灰かぶり姫の初恋 (角川ビーンズ文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2016年12月刊。
第14回角川ビーンズ小説大賞「奨励賞」受賞作。
シンデレラの意地悪な義姉の正体は、口うるさい世話焼きお姉さんだった!というシンデレラパロディ。
存在感はあるのに微妙に生かせてない恋敵や、いくらなんでも酷すぎる義妹シンデレラなど、色々と粗さが気になる部分が多かった印象。
ただ、童話版の名シーンを面白い切り口でストーリーに突っ込んできて、「あっ、そこにつながるの!」な展開の連続は良かったと思います。
続刊があったら恋愛方面をもっと頑張ってほしいかなー。

☆あらすじ☆
男爵家の令嬢イザベラは、美しくもものぐさな義妹アシュトリーテを立派な淑女に育てるべく日々奮闘中。しかし厳しすぎる言動から、周囲では継子いじめとの不名誉な噂が! そんな中7年ぶりに再会した幼馴染みのフリッツから、王子が妃探しの舞踏会を開くと聞かされる。「リーテならお妃になれる!」と息巻くイザベラだが、自身も恋愛騒動に巻き込まれてしまって……? 世話好き“悪役”令嬢が贈る、恋と波乱のシンデレラストーリー!!

以下、ネタバレありの感想です。

 

フェルローレン男爵家の令嬢アシュトリーテは、義姉イザベラから継子いじめを受けている。

 

という噂が広まっていることも知らず、主人公イザベラは今日も元気にものぐさな義妹アシュトリーテを叱り飛ばすのです。

全ては令嬢としてダメダメなアシュトリーテを立派な淑女に育て上げるため。そうして義父へ報いるため。

 

そんな世話焼きで小言が多くて義理の妹を愛するベラが、第二王子の妃探しをする舞踏会にリーテを参戦させようと意気込むところから始まる本作。

ベラの妹愛は、周囲から誤解曲解された結果、最終的には王子襲来でまさかの死刑か!?という展開まで転がってしまうことに。
そういうストーリーの中で、義姉の継子虐めとか、灰かぶりの由来とか、ガラスの靴などの、シンデレラの名シーンの数々をうまくアレンジして取り入れているのが面白い作品でした。
特に、なぜ事実無根の継子虐めを糾弾されるときにリースは助けなかったのかという理由づけはうまいな、と。リースの性格や、暴行事件、勘違い使用人の暴走などをうまく絡めた終盤の展開は「ああ、なるほどこう繋げていくのか」と感心しました。

 

とはいえ、この展開、カタルシスという意味では微妙なのですが。

 

これだけ世話になってて見殺しにしようとするリースが普通に最低ですからね。大丈夫か、これを王子妃にして。王子様、見る目なさすぎない?
リースに魅力を感じないため、ベラの自己犠牲的な妹愛もしっくりこない。むしろあの場で激怒したヴィヴィの心情のほうに深く共感しました。普通に嫌いになるよ、こんな子。
もう少しリースに愛すべき何かがあればなぁ。バカな子ほど可愛いとは言うけれど、リースの場合はそれ以前の問題です。

 

それはさておき。

 

ベラと幼なじみフリッツの恋は始まりそうで始まらないまま終了。
ベラが鈍すぎる・・・・・・。フリッツが一生懸命ベラを慕う姿は可愛かったので、ぜひとも続編で彼の想いが報われるところを見せてほしいものです。

 

恋愛パートについては、ライバルポジションのクラウスが微妙にもったいない役回りだった気がします。キャラは良いのにストーリーから浮いてるんですよね。当て馬にもなりきれず、メインのシンデレラストーリーとも関わりがなく。クラウス、いらない子だったんじゃないだろうか。

 

色々と粗さはあるけれど、どんどん話を進めていく勢いは買いたい。もっと主人公のラブコメに集中したら良い作品になりそうな気がするんですよね。
新人さんですし、今後に期待しています。

 

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