妖姫のおとむらい/希


妖姫のおとむらい (ガガガ文庫)
妖姫のおとむらい (ガガガ文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2016年11月刊。
放浪癖のある大学生を主人公とした、和風の幻想小説。
時代がかった語り口がよく似合う物語でしたが、個人的には読みづらかったです。
とはいえ、様々な異界へと迷い込む主人公と、彼の食欲の対象となる妖姫が遭遇する不可思議な冒険はなかなか良かったと思います。

☆あらすじ☆
幻想グルメをご堪能あれ。
ある日、比良坂半は旅先で奇妙な空間に迷いこむ。そこで妖の少女と出会い、未知なる食の存在を知る。それからというもの、どうにも変な場所、変な空間に迷いこむ癖ができてしまったようで、以降たびたびそういった場所や者や物と遭遇してしまう。それは旅愁とか郷愁に訴えかける、ちょっと古い時代の景色のように見えて、正確にはそうではない。例えば古書に語られるような妖怪と出会ったり、一見猫の額程度の藪の中で、うろんな器物に迷わされたり、あるいは山奥の奇妙な村落で、幻の沼地を巡る儀式に巻きこまれたり──。妖の少女、妖姫はそんな青年と行を共にして、彼を救ったり救わなかったり。そうして青年は、時々発作的に訳のわからない食欲を妖の少女に催したりもして──。
幻想的な旅と、奇妙な味覚の数々。そして、二人の旅はゆるゆると、続く――。

以下、ネタバレありの感想です。

 

一応これもボーイ・ミーツ・ガールものになるのでしょうか。

 

「同じ場所に長く留まり続けると、徐々に味覚が失われている」という奇病を患う大学生・比良坂半
それに起因する放浪癖を持つ彼は、旅先で出会った不思議な少女・笠縫に強烈な食欲を催してしまう・・・・・・という感じにスタートするわけなんですが。

 

食欲って。

 

言ってることはなにやら官能的にも思えるのに、行動だけみると「ヨダレたらして美少女に迫る男」っていう構図。これはやばい。
半はそれはもう情熱的に笠縫を口説いていくけれど、ストレートな意味で「君を食わせてくれ」ですもんね。ここですでに奇妙な世界観が完成していました。

 

この半の奇行に加え、彼が迷い込む異界とそこで出会う不思議な食物の数々が、物語をさらに奇妙で幻想的に彩っていくのです。

 

全4話の連作短編形式で、どのお話も少しずつ趣が変わっていくのが良かった。個人的には「異界におつかい」的な第二話が好きです。あとは遠野物語のような雰囲気を感じる第四話も捨てがたい。
「妖姫のおとむらい」というタイトルの意味は四話でようやく触れられることになるのですが、もしもシリーズ化するのならこの四話のような感じになるのでしょうか。
どちらにせよ、浮き世離れした旅の物語になりそうでワクワクします。

 

キャラクターもなかなか魅力的で、笠縫と半のおかしな関係は物珍しくて楽しかったです。
彼らの関係には何か秘密がありそうだけど、これについてはほのめかされる程度で終わってしまいました。気になるなぁ。
あとは優しくて甘いお姉さんだと思ってたら、背筋凍るヤンデレ疑惑のあるまつ璃とか。枕くんくんしながら言ってたことの意味が気になりすぎて怖い。

 

そんな感じで設定もストーリーもキャラも良かったのだけど、それはそれとして文章は読みにくかった。
笠縫のしゃべり方は彼女に似合っていて良いのだけど、時代がかった大仰な語り口で地の文が延々と続くと疲れるものですね。
語り口に慣れないからかなー?とも思ったけれど、そもそも読みにくいんだと後半で悟りました。世界観には合っているんだけど、私には合わない・・・・・・。

 

まぁでも好きなタイプの作品だったので、シリーズ化したら続刊も読もうと思っています。

 

スポンサーリンク
 
0

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。