有松恋染めノスタルジー/藍生有


有松恋染めノスタルジー (富士見L文庫)
有松恋染めノスタルジー (富士見L文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2016年11月刊。
ノスタルジックな絞り染めの街・有松を舞台にした、染め物と淡い恋のお話。
何か大きな事件が起こるわけでも日常に謎があるわけでもないけれど、穏やかで優しい雰囲気に心が温まる作品でした。
ちょっと人生迷子中な女性が、口数が少なくて猫みたいな職人さんに惹かれていく心の揺れ動きが繊細に描かれていて、そこがとても素敵。
有松という街にも興味がでてきたし、ぜひシリーズ化してほしいです。

☆あらすじ☆
絞り染めの産地・有松。会社が倒産し祖母の喫茶店を手伝うことになった雪奈は、常連客の絞り染め職人・沢口と知り合う。古き良き伝統が残る街を舞台にぶっきらぼうな絞り染め職人と紡ぐ淡い気持ちの行方は――。

以下、ネタバレありの感想です。

 

物語の舞台となるのは、絞り染めの産地である愛知県有松町。
伝統的な風情のある有松の町並みを主人公・雪奈が歩き回ったり、絞り染め職人・沢口のもとで絞り染めを体験したりと、有松という町への好奇心を刺激する物語だったと思います。

雪奈が挑戦した「雪花絞り」の反物で浴衣を仕立てたりする一連のエピソードとか、彼女が楽しんでいるのが伝わってきて私までなんだか楽しくなってくるほど。ああいうのはワクワクするものですよねw

 

というか、雪花絞りで浴衣作り体験って本当に行われているんですね。著者さんが実際に体験しているときに思いついた話ということでしたが、私もやってみたいなぁ。

 

町並みを、浴衣で彩る。プロジェクト 2016 – 絞りの町「有松」で雪花絞りの浴衣つくり –

 

さて、そんな有松の町と絞り染めについて触れつつ、物語の中心となるのは雪奈と沢口の微妙な距離感。
この作品で私が特に気に入ったのは、雪奈が沢口に惹かれていく繊細に丁寧な心の描写でした。
最初の出会いでハッと目を奪われて、そこからなんとなく彼の姿を目で追って、なんだかおかしな人だなぁと思いつつ、ちょっとずつ言葉を交わして一緒に散歩したりして。
「気になる存在」から彼への恋を自覚するまでの流れがとても自然で良かった。
穏やかな物語でインパクトのある事件があるわけでもないのに、恋心への移り変わりが自然に描けているのは地味にすごいと思うんですよね。素敵でした。

 

ただ、雪奈の事情とか沢口の過去とかも物語的にはやや地味だし、展開も落ち着いていて静かなものだったから、なんとなく物足りなさはあります。好みの問題だけど、もう少し派手な盛り上がりがあってもよかったかな。

 

とはいえ、丁寧に作られた良い作品だと思います。
シリーズ化したらぜひ読みたいし、藍生さんの次回作も楽しみにしています。

 

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「有松恋染めノスタルジー/藍生有」への2件のフィードバック

    1. ちゃーこりんさん、コメントありがとうございます。

      浴衣って清楚に色っぽくて良いですよね♡

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