詐騎士外伝 薬草魔女のレシピ 全3巻/かいとーこ


詐騎士外伝―薬草魔女のレシピ〈1〉 (レジーナ文庫)
詐騎士外伝―薬草魔女のレシピ〈1〉 (レジーナ文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

総評:★★★★☆
1巻:単行本2014年10月刊。文庫版2016年7月刊。
2巻:単行本2015年7月刊。文庫版2016年9月刊。
3巻:単行本2016年2月刊。

「詐騎士」本編から6年後の世界を、薬草魔女を新主人公として描く外伝シリーズ。
本編の続編として楽しめるのはもちろんのこと、外伝単体でも十分に面白い作品だと思います。
個人的には外伝の方が読みやすいし、全3巻の構成が綺麗に整っているので、これだけでもオススメしたいところ。
「いかに美味しく健康に食事を楽しむか」という主人公のモットーのもと、ハーブの豆知識やそれを使った料理がたくさん出てくるのでハーブへの興味がむくむくとわいてきてしまいます。
プロ意識の高い薬草魔女が人々に優しくアドバイスしていくお仕事小説としても面白かったし、失恋少女と腹ペコ青年の初々しくてほのぼのするラブコメとしても楽しい作品でした。

☆あらすじ☆
美味しくなければ意味がない。美味しくても身体に悪ければ意味がない――。そんな理念のもと、美味しい料理で美容と健康を叶える“薬草魔女”。人々から尊敬され、伴侶としても理想的……のはずが、まだ新米のエルファは婚約者に浮気され、ヤケ酒ヤケ食いの真っ最中。そんな時、遠い国ランネルに出来る高級レストランの料理人としてスカウトされた! 心機一転、異国の地で働き始めたけれど、何故か会う人会う人、一癖ある人ばかりで……!? 「詐騎士」本編の六年後、当時のキャラも続々登場! 読めばお腹が空いてくる絶品ファンタジー!

以下、全3巻のネタバレあり感想です。

 

浮気されて婚約破棄した薬草魔女・エルファ
やけ酒しているところをフレーメのゼノン達にスカウトされたエルファは、異国の都に新たにオープンするお店で料理を監修することになる、という感じで外伝がスタート。

 

本編の6年後を舞台にしつつ、新キャラクターを主人公とした新しい物語である本作。
ただしエルファを囲むのは本編からのおなじみメンバーで、本編主人公のルゼも2巻から登場し、懐かしい彼らのその後を知ることができる物語でもあるのです。

 

さて、そんな外伝作品の主人公であるエルファ。
料理人であり、身体や心の健康アドバイザーでもある「薬草魔女」という彼女の立場が、なかなかに面白い魅力を持っていたと思います。
最初はお腹がぺこぺこになる飯テロ系かなーと思っていたのですが、どちらかというと読むと健康に気を使いたくなる感じ。
医食同源的な薬草魔女の考え方が刺激的で(不摂生をやめなきゃ!って衝動にかられる)、エルファの優しい語り口で解説されるハーブの蘊蓄も読んでいてすごく楽しかったです。

 

薬草魔女って、魔術も使えるファンタジー的な「魔女」でもあるけれど、全体の雰囲気的には創作物等でよく出てくる「森の賢女」ってイメージに近いのかな。
自分の知識を惜しみなく伝えて、人をより良い方向に導いていく。お説教もするけれど、そのトーンは柔らかくて偉そうじゃないから素直に耳に入れたくなるのです。
あと、悪人に対しても冷静で平等なスタンスも神秘的で惹かれる。清濁を併せのむ姿が自然で、浮き世離れした立ち位置が印象的な主人公でした。

 

お仕事ヒロインは元から好きだけど、それ以上にエルファの行動や言葉のひとつひとつに彼女の優しさが詰まっていて本当に素敵なんですよね。
こんな良い子がなんで浮気されて捨てられなきゃいかんの・・・・・・と思うと元婚約者に腹が立ちます。それだけに3巻でそのあたりのフォローが行われたのにはとてもスカッとしましたw

 

健気にお仕事に励んだり、ルゼを狙う「小娘ども」の騒動に巻き込まれたりしながら(まだ捕まってなかったのか!)、少しずつ失恋の痛手からも立ち直っていくエルファ。
最初は恋愛ごとに触れるだけで卒倒していた彼女を、ショック療法的に立ち直らせていくのがヒーローのナジカです。

ナジカが一口惚れをして求婚したりと、外伝は本編よりもラブコメ度が増し増し。
ラブコメ好きとしては本編よりもニヨニヨと楽しく読ませていただきました。良質なラブコメは読むと幸せになれるからホント好き。

胃袋鷲掴みされたナジカの唐突なプロポーズには驚いたけれど、その後のアプローチは優しくて大人なものだったこともポイント高いですね。ルゼの教育のたまものか、女性への配慮が行き届いています。

それと、手ずから食べさせてあげるカップルというのが萌える。
まぁ、介助なしに食事がままならないナジカの人生はハードすぎですけどね・・・・・・しかも下手に気配りできるせいで男性にあーんしてもらわないといけないという・・・・・・ギリギリセーフな16歳のうちにエルファを見つけて良かったね・・・・・・!

 

エルファの失恋の傷は思ったより深かったけれど、ゆったりのんびりしたナジカとの交流が彼女を癒やし、そうして次のステップへと進んでいく。全3巻で失恋からの新たな恋という王道ストーリーを過不足なく綺麗にまとめあげていたと思います。お見事でした。

 

そういえば、本編はルゼ視点の一人称で語られているためか、視野が狭くて何が起こってるのか分かりづらいところがあったのだけど(ドライすぎるルゼの性格のせいでもある)、外伝はエルファを視点人物にしつつも三人称で書かれているので物事を把握しやすくなっていました。
全体的なスケールが小規模だったこともあるけれど、読みやすさだけで言うなら本編よりも外伝かなぁ。

 

本編あってこそ最大限に輝く外伝作品ですが、単体でもすごく面白くて大満足のシリーズでした。

 

 

 

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