凶器は壊れた黒の叫び(階段島シリーズ4)/河野裕


凶器は壊れた黒の叫び (新潮文庫nex)
凶器は壊れた黒の叫び (新潮文庫nex)

前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2016年11月刊。
階段島と魔女についての様々なことが明らかになるシリーズ第4弾。
今回も面白かったです。
七草と真辺は、ほんとうに、息苦しくなるくらい眩しいな・・・・・・。

☆あらすじ☆
君が求めたものは、夢か、幸福か。新聞部の創設。柏原第二高校に転校してきた安達は、島で唯一の小学生・相原大地のために部活動を始めることを提唱する。賛成するクラスメイト達だったが、七草はそれが堀を追い込むために巧妙に仕組まれた罠であることに気づく。紐解かれる階段島の歴史と、堀が追い求めた夢。歩み続けた七年間。その果てに彼女が見つけた幸福と、不幸とは……。心を穿つ青春ミステリ、第4弾。

以下、ネタバレありの感想です。

 

階段島に現れた安達。
階段島の外に大地を戻すため、安達が発起人となって新聞部を創設することになるのだが・・・・・・という階段島シリーズ第4弾。

 

魔女とは何か、階段島はどのように生まれたのか、という物語の土台となる部分がようやく見えてきました。
元々ファンタジーな話でしたが、今回はさらに幻想的でおとぎ話のような雰囲気。
このシリーズでそういう雰囲気を出すと、いつにも増して抽象的で哲学的で本題まで遠回りしていくんだなぁ、としみじみ思ったり。
七草たちの話を理解するのに手間取ったうえ、正直今もちゃんと理解できてるのかわからない・・・・・・。

 

なんというか、今回の話って「善い魔女と悪い魔女の戦い」みたい。そこがまたおとぎ話的だなって思うんです。
善悪二元論で簡単に語れる話ではないし、安達が悪人だって言いたいわけでもないけれど、堀の繊細で痛々しいまでの優しさに比べると内心を見せずに全部を奪い取ろうとする安達はなんともいけ好かない悪役然とした態度だったので・・・・・・。

どうして安達はこんなにも攻撃的で露悪的で虚無的なんでしょう?
なんだか無理してるみたい、と真辺は言っていたけれど、もしそうなら安達はどうして無理をしてるんでしょうね。彼女の事情が気になります。

 

堀たちの話を通して色々な事実が明らかになっていくなか、とりわけ意外すぎて衝撃を受けたのが「もう一人の七草」の存在。
まさかの3人目!分裂しすぎだろ!!
とか動揺しているうちに、なんだか話が切ない方向に進んでいって。

「夢と幸せ、どちらかしか選べないなら、どちらを選ぶか」

という問いかけ、読み終わって振り返るとなんとも切ない・・・・・・。

夢 = 魔女としての堀の理想であり、彼女を傷つけるもの。
幸せ = 魔法を安達に奪われても安らかに堀と暮らすこと。魔女ではなく少女としての堀の幸せ。

ってことでいいのかな。
堀と一緒にいた七草が光を求めたことに主人公の七草は苛立ちを覚えていたようだけど、むしろ消えた七草の願いのほうが私には共感しやすい。

 

真辺も七草も自分の望むもの求めるものをはっきり見定めていて、それに向かってまっすぐ突き進むけれど、その生き方は鮮烈に眩しくて、同時にとても息苦しく感じてしまいます。
ああ、だから捨てられたんだよな、とか思ってしまう。

ただ、その在り方にどうしようもなく惹かれてしまうのも事実なんですよね。あまりにも綺麗すぎて、理想の絵画を鑑賞してるみたいです。

 

さて、最後の展開はなかなか面白いものでしたが、ここからどうなるのでしょうか。
隣にいたまま敵対するかもしれない二人の今後に興味津々。
次巻も期待しています。

 

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