君と時計と雛の嘘 第四幕/綾崎隼


君と時計と雛の嘘 第四幕 (講談社タイガ)
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前巻の感想はこちらから


評価:★★★★★
2016年10月刊。
タイムループ青春SFシリーズ完結巻。
SFとしても青春小説としても綺麗に着地したなぁと満足。
そして雛美のエピソードには予想以上に胸を打たれました。
素晴らしいシリーズだったと思います。綾崎さんの次回作も楽しみです。

☆あらすじ☆
織原芹愛の死を回避できなければ、杵城綜士は過去へと飛ばされる。その度に「親友や家族が世界から消失する」という大き過ぎる代償をともなって――。無慈悲に繰り返される時間遡行を断ち切るために、綜士と芹愛は『希望と言い切るには残酷に過ぎる、一つの選択肢』の前で苦悩する。鈴鹿雛美がつき続けた嘘と、隠された過去とは……。衝撃のラストが待ち受ける待望の完結篇!

以下、ネタバレありの感想です。

 

頼りの千歳先輩が消失し、17周目に突入したループ。
ループの突破と消失した人々を取り戻そうとする綜士たちに、千歳はある残酷な提案を残していた・・・・・・という最終巻。

 

この提案、なるほど!としっくりきたのですが(恋バナはフェイクでしたか)、あまりにも無慈悲。
別に今まで雛美に対してそこまで思い入れがあったわけではないけれど、彼女がここまで背負わされるのはあんまりじゃないかな、と思わずにいられませんでした。

 

そのモヤモヤとした心に追い打ちをかけるかのように、切なく描かれていく雛美の「残された時間」。
雛美の慟哭と、それを隠そうとする気丈さが痛々しい・・・・・・。
本当に彼女を犠牲にするのか、犠牲にしたところで問題は解消されるのか。最後まで緊張を強いる展開にハラハラしつつ一気に読んでしまいました。

 

タイムループSFとしては残された細かな伏線を回収しつつ、最後までしっかり捻ってきたのも良かった。
特に綜士と雛美の起死回生の策。あれは救いでした。
まぁ最後の「彼女」をどう見るかは意見が分かれそうだなぁと思うけれど(同一性の問題って難しいですね)、私は雛美の全てが失われずにすんだだけでも嬉しかったです。

 

青春小説としては納得の落としどころで満足。
一方で綜士の恋については、最初は初恋が実ればいいと思っていたんですけど、ちょっと苦い結末だったかな。
ただ、芹愛への告白や和解がなかったことになっているのは惨いけれど、「芹愛への恋心」をここまで丁寧に掘り下げられると、もう解放されてもいいんじゃないかなって思うしかないというか・・・・・・。
ああでもしっかりと和解はしてほしいなぁ。一連の出来事を経て大きな成長をみせたことだし、今の綜士なら芹愛との和解もできるはず。

 

芹愛と綜士の関係が予想よりも寂しい形に終わってしまったものの、「プロローグ」と「エピローグ」にから生まれた読後感によって青春小説として満足できたのだと思います。
自分を犠牲にすると覚悟を決めたことといい、プロローグで語られる恋といい、最終巻にして雛美株が爆上げ。おかげで綜士の初恋よりも雛美の恋が叶わないかな、と願わずにいられなくなりました。

 

でもどちらを選ぶんだろう?
読後は雛美エンドかーとか思っていたんですけど、もしかして違う?グレーな感じ?
ループを抜け出してようやく先に進めた彼らにどんな未来が待っているのか、想像が広がってなんだかワクワクしますw

 

そういえば、最終巻で登場し特に何するわけでもなかった火宮雅
彼女の存在感やエピソードはそれだけで主役を張れそうなくらいだし、火宮と千歳メインの話を読んでみたい気がするけれど、そうすると今度はがっつりタイムトラベルSFになるのかな?
いや、0%を断言しているかそれはないのか。
この2人がどうなるのかはちょっと予想ができない。過去に傷がある変人な天才たちの恋とか、恋愛小説的に面白そうではありますけどねw

 

とても面白い青春SFシリーズでした。
綾崎さんのあとがきまで楽しかったです。内容がシリアスなぶん、あとがきとの落差がw

 

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「君と時計と雛の嘘 第四幕/綾崎隼」への2件のフィードバック

    1. ひげじいさん、コメントありがとうございます。

      とても寂しいですよね・・・・・・

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