翠玉姫演義 宝珠の海の花嫁/柊平ハルモ


翠玉姫演義 ―宝珠の海の花嫁― (富士見L文庫)
翠玉姫演義 ―宝珠の海の花嫁― (富士見L文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2016年10月刊。
商魂たくましいワケあり花嫁が、自分をさらった海賊のザル勘定にブチ切れ。
あれやこれやと口を出していくうちに自分の居場所を掴んでいく、という物語です。
逞しい生き様の主人公が爽快で、不遇な人生を歩んできた少女の大逆転劇としても面白い。
終盤駆け足になるのがすごく惜しいのですが、ぜひシリーズ化してほしい新作でした。

☆あらすじ☆
実家に見捨てられた商家の令嬢、そろばんで悪党どもを””更正””させます!
実家に疎まれ、売られたも同然の政略結婚に向かう途中、義賊集団に攫われた商家の才女・香月。人生諦めモードだった彼女だが、脳筋義賊のザル会計に我慢できず口出したことから、事態はとんでもない方向に転がり!?

以下、ネタバレありの感想です。

 

豪商の令嬢でありながら実父に疎まれ、80歳の老人の第八夫人として嫁ぐはずだった少女・香月
しかしその途中で海賊に攫われた香月は、うっかり彼らのザルすぎる金銭感覚に口だししてしまい、その才覚を見出されることに。そうしてワケありの花嫁だった香月は、ワケありの海賊・緑旗弊のなかで自分の居場所と活躍の場を手に入れていくことになるのです。

 

商魂たくましく商才に優れたヒロインが海賊たちのお財布事情を大改革!という発想がすごく楽しい作品。
暇なら働け!稼げ!の精神でぐいぐいと海賊たちを引っ張っていく香月の活躍が爽快なんです。生きる強さを感じるし、その逞しさがとてもまぶしい。
怜悧な彼女の言動は痛快だし、次は何をみせてくれるんだろうとワクワクしました。

 

母の命を犠牲にして長らえた命、という香月のトラウマがキャラクターに深みを与えていたのも良かった。
自分の居場所というものを無意識に切望しているところに強い彼女の弱さが感じられて、そういう人間的に揺れる部分が非常に好みでした。

 

香月を支える他のキャラクターも魅力的。
おおらかで度量の大きい烈英や、香月に通じる刹那的な雰囲気を感じられるアンドリュー、意外な場面で活躍した忠実な侍女・寧々など、良い人材が揃ってる作品だと思います。それぞれの背景の描き方も物語のなかで効果的でしたしね。

 

導入のインパクトは十分、中盤の展開もワクワクさせ、キャラクターの魅力も備えていた本作。
それだけに、終盤の駆け足感はとても残念でした本当に惜しい。
国盗りっていう壮大な目的の第一歩になるのであれば相応の盛り上がりがほしかった。たしかに香月VS祥の対決は面白かったけれど、うーん、なんだろ、交渉成立の肩すかし感が拭えないというか・・・・・・なんかあっさり認められたなって思って。
あと、知的魅力で押してきたヒロインの決め手が火力のゴリ押しだったのもすごく残念。最後まで口で言いくるめてほしかったなぁ。

 

面白く読んできただけにクライマックスへの期待値が上がりすぎたのかもしれません。
でも挽回できる素地はあるはずだからぜひともシリーズ化してほしいところ。

 

余談ですが、ラストの「夫を失った花嫁であった」って香月が初代の極南公ってことですか?烈英どうした??

 

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