神さまになりまして、オヤスミなさいを言いました。/石田リンネ


神さまになりまして、 オヤスミなさいを言いました。 (ビーズログ文庫アリス)
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前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2016年9月刊。
新米神さま・千鳥の物語を過不足なく描ききって完結。
バトルありの伝奇要素と目頭を熱くさせるシーンによる緩急のつけ方が相変わらず巧みだったし、切なさもあるストーリーはとても楽しめました。
長い時間を生きる神様の悲哀と、人との関わりから生まれる優しさが、面白い切り口で描かれていく素敵な作品だったと思います。

☆あらすじ☆
神さまと人の優しい絆の物語・完結!
先日の“神隠し事件”以降、<守護代>たちの距離が近い。それを不思議に思っていた関東の<守護>千鳥は、帯刀が正式に<守護代>になる決意をしたと聞き、思わず反対してしまう。そんな時、先代さまから「那須に百目鬼が現れた」との報せが。柏と帯刀と共に那須へ向かい、懐かしい先代さまとの再会を喜ぶ千鳥。一方、先代さまは東雲が千鳥に執着する理由に気づき……?

以下、ネタバレありの感想です。

 

ついに顔出しありで登場した先代さま。
彼から百目鬼出没の報告を受け、千鳥たちはその調査をすることになる、という形で進む最終巻。

 

思えば切り口の面白いシリーズだったなぁ、と読み終えてしみじみ感じました。
特に「時代」の描き方が良かった。
古い時代から存在する神さまや怪異を中心に描きながらも、時代は移り変わり、古いものは新しいものの影響を受けていくのでしょう。
古いものが昔ながらの知恵を授けるのではなく、新しいものが今の知恵を古いものに与えるというアプローチが面白かったんですよね。「古いものが古いままではいられない」という描き方が印象的だったというか。そこに「時代」の流れというものを感じさせる作品だったと思うのです。

 

現代っこの帯刀なんかは、まさにその筆頭。
彼の現代的なモノの見方や考え方が千鳥や柏たちを刺激し怪異討伐にも大きなヒントを与えていくわけで、帯刀が何かするたびにビックリしたり感心したりする古い世代の反応が楽しくて毎度ワクワクしていましたw

今回の怪異騒動についても然り。
イメージの移り変わりの件もそうだけれど(「百目鬼」をロリ美少女と連想する人とか、帯刀の交友関係がにわかに気になってきた)、古い伝承をベースにしつつやり方は現代的でも構わないだろ!とばかりにスマホからお経が流れたのには笑うしかないw
さすが現代っこですね!!

 

「時代の流れ」というものを帯刀経由で千鳥が感じていくなかで千鳥の正体について明らかになっていくわけですが、これは正直予想外の真相。
なんというか、ある意味優しさにあふれた出生秘話なのかもしれないけれど、千鳥がそれを知った時にどういう顔をするのか是非とも見てみたいという気持ちの方が強いですw
東雲さん愛されてるぅー!とか茶々入れたい気分。あと、あの人絶対霊体でしょっちゅう寝顔のぞきに行ってるんじゃないか疑惑が。

 

それはさておき。

 

今回のタイトルとあらすじから察してはいたのですが、ラストのお別れシーンはこみ上げてくるものがありました。
ボロボロ泣く感じではなく、静かに静かに目頭が熱くなっていく感じ。
「悲しくはない」けれど「寂しい」といった千鳥の気持ちがすごくよく伝わってくるんですよね。泣きたいとかじゃなくて、ぽっかりとした寂寥感にぎゅっと胸が苦しくなる。
こういう穏やかな切なさが魅力的なシリーズでもあったんですよね。余韻が本当に素晴らしかった・・・・・・。

 

新米神様の物語を全3巻で綺麗にまとめた良いシリーズだったと思います。
これは石田リンネさんの次回作にもとても期待が高まります!
その前におこぼれ姫の最終章も楽しみだなぁ。

 

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