千年紀のレガリア 帝宝審理騎士は働かない/星守涼


千年紀のレガリア 帝宝審理騎士は働かない (ファミ通文庫)
千年紀のレガリア 帝宝審理騎士は働かない (ファミ通文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2016年8月刊。
消えた帝国の宝を奪還する任務を受けた美術館館長と、働かない彼を叱る補佐官女騎士の奮闘を描くファンタジー。
割と大がかりに世界観を広げている割に、1冊で綺麗にまとまっている良作だと思います。
二転三転するストーリーはテンポ良くて楽しかったし、伝えたいテーマをダイレクトに投げてくる感じも好みでした。

☆あらすじ☆
武の名門クルツシルト侯爵家の若き当主ユリエル。没落した家を復興させようとする彼女に下された使命は、帝国国立美術館の館長レインと共に、敗戦によって散逸してしまった「三種の帝宝【トライ・レガリア】」を奪還すること! しかし肝心のレインは下手な絵を描くだけで、まったく働く気がない。ユリエルはレインを叱り飛ばし、どうにか捜査を始めるのだが――その任務は、レインと帝国の秘密に迫るものだった! 千年の謎を解き明かすクロニクル・ファンタジー登場!

以下、ネタバレありの感想です。

 

没落侯爵家の若き女当主ユリエルは、帝国国立美術館の館長レインの補佐として着任。彼と共に戦争の混乱の中で失われた「三種の帝宝」を取り返す任務を遂行していくことになるのです。

 

任務に気乗りしない様子のレインと、帝国への忠誠心から彼の尻を叩くユリエル。
「三種の帝宝」を何冊かかけて取り戻していくのかなぁ、と予想していたのにいきなりサクッと1つめを取り戻してしまったのには驚きましたw やる気ない割にレインの仕事が早いw
でもネコババ伯爵への追及は痛快で、清濁併せ飲むようなオチにも満足。こういうの好きなんだよなぁ、と続きに期待が膨らみました。

 

が、2つめの帝宝奪還作戦から一気に物語が動き出し、帝宝奪還作戦の裏に隠された計画が暴かれ、「帝国の本当の歴史」が明らかになっていくことに。
展開が早い! と焦りつつ、二転三転するテンポの良いストーリーにページをめくるのが楽しくなっていました。
明かされた設定は大がかりなのに、1冊で綺麗にまとめきっているのも好印象。下手に引き伸ばすことなく、かといって駆け足っぽさも薄く、こぢんまりともしていない。この丁度良さは良いですね。

 

敗戦後の帝国にくすぶる内部対立、ユリエルの父の死、レインの過去、そして古代魔法文明。
様々な伏線や設定を交錯させつつ、「権威に依存する価値観の脆さ」を滔々とレインに語らせるのも印象的でした。それを語るのが自身も絵筆をとる美術館の番人であることがまた巧いポジショニングだったなぁ、と思ったり。
彼の絵を理解できるかどうかでレインとユリエルの距離感を表すのも面白い手法でしたしね。

 

ちょっと惜しかったのは、帝宝に隠されたメッセージを読み解くシーンへの伏線が足りなかった点。
「あれはそういう意味だったのか!」という驚きがほしかったです。絵の状態から仕方なかったとはいえ。

 

さて、かなり綺麗に話がまとまったのですがシリーズ化できるかな?
帝宝以外の美術品回収はまだまだこれからだし、続けようと思えば続けられそう。
個人的には序盤のネコババ伯爵への追及劇みたいな雰囲気でシリーズが続いたら嬉しいのですが。とにかく続刊に期待しています。

 

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「千年紀のレガリア 帝宝審理騎士は働かない/星守涼」への2件のフィードバック

    1. ちゃーこりんさん、コメントありがとうございます。

      クオリディア!?
      タイトル的にですかねーw

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