七日目は夏への扉/にかいどう青


七日目は夏への扉 (講談社タイガ)
七日目は夏への扉 (講談社タイガ)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2016年8月刊。
曜日を前後しながら少しずつ元恋人の死の真相に迫っていくタイムリープミステリ。
時間跳躍という設定の使い方は割とオーソドックスだったのですが、全体的に丁寧な構成でSFミステリとして面白かったです。
サッパリした気質の元ヤン主人公も好み。特にラストの畳み掛けるような勢いは秀逸でした。

☆あらすじ☆
学生時代の恋人・森野の訃報。初めて聞くはずのそれをわたしは知っていた。残された証拠から推測すると、森野は自殺したのかもしれない。それも殺人を隠蔽するために。死の真相をさぐるうち、わたしの一週間が崩れだす。火曜日の次の日は月曜日。次は水曜日で……。意味がわからない。けどこれだけは言える。あいつが死ぬのは七日目だ。なら、やるべきことは決まってる――。

以下、ネタバレありの感想です。

 

駆け出しの翻訳家・美澄朱音は、元恋人・森野夏樹の訃報に触れるうちに自分が一週間をバラバラに過ごしていることに気づく。彼が死んだ火曜日が欠けたまま、朱音は不審な点がある森野の死を調べていき・・・・・・という感じにストーリーは進んでいきます。

 

タイムリープを繰り返すなかで、少しずつパズルのピースを埋めていくかのような構成をする本作。
丁寧に置いた伏線を丁寧に回収していく、まさにタイムリープもののお手本みたいな感じでした。その構成に目新しさこそあまりなかったものの、読んでる間は先の読めないミステリを十分に満喫できました。

 

ただちょっと惜しかったのは、失踪した女子高生と森野の関係性が森野の心の闇を表すものだったのに、その森野自身の掘り下げが足りないと感じた点。
森野の虚無感みたいなものってどこから来てるんだろうか。虐待の件かなぁとは思うのですが、そこのとこをもっと詳しく描いてほしかったです。

 

一方で主人公である朱音の掘り下げはしっかりと描ききっていた印象。
善玉の元ヤンみたいなサッパリした気質が読んでいて気持ちよかったです。
特にラストの畳み掛けるような言葉の弾丸が良い。この弾幕には拡声器がよく似合う。
「今日は生きるにはいい日だ!」って叫びがすごく好きです。彼女の前向きな強さがこの一言に込められている感じが良い。

 

そういえば、森野と朱音の関係性はなんだか新鮮でした。
こういうタイプの作品って元恋人の死を救ってヨリを戻す的な方向に進むものだっていう先入観があったんです。だからなのか、朱音の「あのときは好きだったんだ。でも、同じ気持ちにはもうなれないんだ」というセリフがすごく印象に残ってます。
もうすでに終わった恋なんだなぁ、というか。結局、朱音が本当に必死になった理由って溺愛する姪っ子のためですし。森野<姪なところがとても一貫してると言える。
まぁ私はこの二人ってすごくお似合いだと思ってますけどね。終わった恋が新たに始まってもいいじゃない。そこらへんは想像に任されてしまうのでしょうけど、2人のこの先を想像しちゃうなぁ。

 

面白い作品でした。
にかいどう青さんって青い鳥文庫で作品を出されてるんですね。今後もチェックしようと思います。

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