Babel 異世界禁呪と緑の少女/古宮九時


Babel ―異世界禁呪と緑の少女― (電撃文庫)
Babel ―異世界禁呪と緑の少女― (電撃文庫)

評価:★★★☆☆
2016年8月刊。
不思議な本によって異世界に転移してしまった女子大生と、彼女に興味を抱いた魔法士の青年の旅を描く異世界召喚ファンタジー。
まだまだ謎の多い物語ですが、「言葉が通じる」という設定とタイトルの意味深な関係を予感させる世界観がワクワクします。
二人旅の中でそれぞれの知識を分け与えていく二人の距離感も良かった。
熱心なファンのいるWEB小説の書籍化ということですし、今後の展開が楽しみです。

☆あらすじ☆
WEBで読者を熱狂の渦に巻き込んだ珠玉の異世界ロードファンタジー、大幅加筆修正で待望の書籍化!
『小説とかドラマって不思議だと思わない? 異世界でも言葉が通じるなんて』
ごく平凡な女子大生・水瀬雫は、砂漠に立ち尽くしていた。不思議な本を拾った彼女は気づけば”異世界”にいたのだ。唯一の幸運は「言葉が通じる」こと。魔法文字を研究する魔法士の青年・エリクに元の世界の言語を教える代わり、共に帰還の術を探す旅に出る雫。しかし大陸は二つの奇病――子供の言語障害と謎の長雨による疾患で混乱を極めていて……。
自分に自信が持てない女子大生と、孤独な魔法士。出会うはずのない二人の旅の先、そこには異世界を変革する秘された物語が待ち受けていた。「言語」と「人間」を描く、感動のファンタジー登場!

以下、ネタバレありの感想です。

 

拾った不思議な本に飲み込まれるようにして、異世界の砂漠に落ちてしまった女子大生・
そんな彼女を発見し、異世界人だという彼女に興味を示した魔法師・エリクと共に、雫は元の世界に戻る方法を探す旅に出ることになり・・・・・・、という感じで物語はスタート。

 

主人公の雫は好みなヒロインでした。
姉と妹に対してコンプレックスを抱き続けてきただけに、いまいち自分に自信がない雫。姉妹へ劣等感を抱いているけれど、それ以外の悪感情は持っていなさそうなのがドロドロしすぎなくて良かったです。
自分を過信しないから慎重に物事を考えるし、それでいて覚悟を決めたら根性で突き進める強さがある。
優しくて明るい人柄もあって、素直に好感が持てる女の子でした。

 

そんな雫の旅の道連れとなるエリク。
あまり人に興味がなさそうなのに、雫への的確なフォローとかを見てると観察力はもちろんのこと、意外と面倒見が良い性格なんだろうなぁ。
彼は色々と事情を抱えていそうな感じですが、それについては今後明らかになっていくのでしょう。途中で名前が出た王女さまとはどういう関係なんだろう?

 

雫とエリクの微妙な距離感もなかなか良かったです。
雫は日本語やドイツ語などの自分の世界の言語をエリクに教え、エリクは異世界の常識や昔話を雫に教える。
知識を分け与えていく関係ってなんか良いですね。ごく小規模ではあるけれど異世界交流な感じが楽しい。

 

物語の世界観は割とオーソドックスなつくりながら、奥行きをもって丁寧に構築されているのがわかってポイント高い。そして特筆すべきは「誰とでも言葉が通じる」ことが当たり前の世界という点。
タイトルにもなっている「バベルの塔」の逸話や、各地で起こっている言語障害の話など、色々と意味深で不穏な空気を感じさせるところがワクワクします。

 

それから、雫の夢の中で登場する不思議な空間も気になるところ。
雫を異世界へと連れて来た謎の本といい、彼女が夢の中で読んでいる本といい、「本」というのも重要な要素になっているのでしょうか。
そんな異世界に雫がやってきたことにどんな意味があるのか、物語の行方に期待が高まります。

 

さて、二人の旅は今後どうなっていくのでしょうか。
「禁呪」と「緑の少女」に絡む今回の事件は一応解決したけれど(残された黒豹はどうなったんだろう?)、雫の物語はきっとここからが大変になっていくに違いない。姿を消したアヴィエラの暗躍や彼女の持っている本の正体も気になりますしね。
そういえば、メアもこのまま一緒に雫たちの旅に付き合うのかな?

 

次巻を楽しみに待ちたいと思います。

Babel ―異世界禁呪と緑の少女― (電撃文庫)
古宮九時
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス

 

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