ゼロから始める魔法の書/虎走かける


ゼロから始める魔法の書 (電撃文庫)
ゼロから始める魔法の書 (電撃文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2014年2月刊。
第20回電撃小説大賞「大賞」受賞作。
魔女狩りが横行して人と魔女の対立が激化する世界を舞台に、獣人姿の傭兵と美しい魔女の出会いから始まるファンタジー。
とても面白かったです。
魔女嫌いだけど面倒見の良い傭兵と、傭兵に無邪気な好意を寄せる魔女の距離感がたまらなく好み。
展開は割と素直ですが、新しい技術の誕生から始まる移行期の混乱をうまく描いた作品だと思います。
続きを読んでいくのが楽しみ!

☆あらすじ☆
教会暦526年――。世界には魔女がいて『魔術』が普及していた。そして、世界はまだ『魔法』を知らなかった。そんな時代、人々に”獣堕ち”と蔑まれる半獣半人の傭兵がいた。日々、魔女にその首を狙われ、人間になることを夢見る彼だったが、ある日森で出会った美しき魔女がその運命を変える。 「――戻りたいのか? 人間に。だったら傭兵、我輩の護衛になってくれ」 ゼロと名乗る魔女は、使いかた次第で世界を滅ぼす可能性すらある魔法書【ゼロの書】を何者かに盗まれ、それを探す旅の途中だという。傭兵は、ゼロの力で人間にしてもらうことを条件に、大っ嫌いな魔女の護衛役を引き受けるのだった……。2人は【ゼロの書】のカギを握る魔術師 “十三番”を追って王都を目指すのだが――!? 禁断の魔法書をめぐって絡み合うそれぞれの思惑! 気高き魔女と心優しき獣人による極上ファンタジー登場!!

以下、ネタバレありの感想です。

 

物語の舞台となるのは、「魔術」はあるものの、「魔法」を知らなかった世界。
手間暇がかかる「魔術」の常識を根底から覆す便利な「魔法」の存在をきっかけに、元々緊張状態にあった魔女と人間の争いが激化。
そんな状況の中で、魔女が嫌いな「獣堕ち」の傭兵は美しい魔女・ゼロと出会い、獣の姿から人間にしてもらうためにゼロの護衛を引き受けることになる、というところから物語は始まります。

 

獣人やら魔女やら魔法やらが飛び交う王道ファンタジーですが、「新しい技術」の登場によって狂騒する人々の姿を描くところに現実世界にも通じる普遍性を感じたり。
強い武力として魔法を行使する魔女達に、こんな使い方もできるのかと呟く発明者ゼロの姿が印象的でした。
「魔法」を生み出して形として残すには、ゼロは世間知らずすぎたのかも。彼女の無邪気さが切ない。

 

そんなゼロの護衛を務めることになる傭兵。
獣人の主人公ってどうかなー? と思っていたのですが、なかなかモフみのある良いキャラでした。モフりたい。
魔女のことは嫌いだけどゼロのことはだんだん気になってくる傭兵が楽しい。世間知らずなゼロの言動にいちいち反応しまくりなのもニヤニヤしてしまいました。

 

そういう感じにゼロと傭兵の距離感がすごく好みだった本作。
仲良しというわけじゃなけどべったりくっついてる感じに萌える。
最初から好感度MAXなゼロに対して好感度0から始まる傭兵が、共に旅するなかでだんだんとゼロを認めて受け入れていくというのが良いんですよねぇ。「人間になるため」という打算ありきで始まった関係が、打算を超えた尊いものに変化していくというのがたまらなく好みです。

そういえば、美女が獣を人間に戻すって、あれですね。美女と野獣だ。
作中でやたらゼロの美貌が讃えられていましたが、イラスト見た感じは可愛らしい少女にしか見えないのがちょっと違和感だったりして。

 

展開そのものはなかなか素直な運び方だったと思います。
十三番とか最初から「悪の魔術師」って言われてますし。まさしくそれがオチだったわけだ。
ちなみにアルバスの正体については犬くんが出るまで気づかなかった節穴が私です。

 

十三番については最後ちょっとうまくいきすぎな感じはあったものの、この人の行動原理がヤンデレ気味のシスコンであることを考えると彼の思考回路をあまり深く考えてはいけなさそう。
むしろヤンデレシスコンのくせに不始末を自ら収拾しようとしているだけマシなのかもしれませんね。
ゼロが巣立ったことが彼にとって一番の罰だった気がなきにしもあらず。

 

次巻からゼロと傭兵の二人旅になっていくのでしょうか。どんな旅路になっていくのか楽しみです。
そういえば傭兵は結局名乗らなかったけれど、名前は今後も出てこないのでしょうか。
まぁ、そこらへんも楽しみにしておきましょう。

ゼロから始める魔法の書 (電撃文庫)
虎走 かける
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス

 

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