黄金の烏(八咫烏シリーズ3)/阿部智里


黄金の烏 (文春文庫)
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前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2016年6月刊。初出は文藝春秋2014年7月刊。
人の姿と鳥の姿をもつ「八咫烏」の一族を描いた和風ファンタジーシリーズ第3弾。
今回もとても面白かったです。
前2冊が前日譚であったのだと納得するほど、ぐぐっと一気に世界観が広がっています。
大きく広げた風呂敷にワクワクが止まらない・・・!

☆あらすじ☆
人間の代わりに「八咫烏」の一族が住まう世界「山内」で、仙人蓋と呼ばれる危険な薬の被害が報告された。その行方を追って旅に出た日嗣の御子たる若宮と、彼に仕える雪哉は、最北の地で村人たちを襲い、喰らい尽くした大猿を発見する。生存者は、小梅と名乗る少女ただ一人―。八咫烏シリーズの第三弾。

以下、ネタバレありの感想です。

 

前巻ラストで訣別を泣きたいくらい惜しんだ若宮&雪哉の主従コンビ。
この3巻冒頭でサクッと再会を果たしてくれちゃって、気が抜けるやら歓喜するやらで序盤からテンションMAXでしたw

 

もっとも、ふたりの再会は、八咫烏に大きな禍となりかねない「仙人蓋」と、人喰い大猿の脅威があったことから実現したもの。
なので素直に喜ぶどころじゃないのかもしれませんけどね。

 

辺境の村を襲った息を呑むような惨劇、何か秘密を隠していそうな生存者・小梅、そして舞い戻った中央で知る「地下街」の流儀と、不気味な人食い猿が関わる事件の真相。
今回もまた雪哉が挑む冒険は常に彼の勇気を試し、それに見事に雪哉が応えていくという緊張感と爽快感のあるものでした。
謎を大きくまき散らしながらも、終盤で一挙に伏線を回収していく構成は相変わらずお見事でした。

 

そんな緊迫の第3巻でしたが、雪哉の主人公っぽさが前巻に比べると格段に増しているように感じました。
前巻は彼のことを「語り手」だと見ていて、物語の中心にいるのはあくまで若宮だと思っていたんですよね。
でも今回、事態の中心で若宮は動いているけれど、物語そのものの中心はあくまで雪哉。
それはきっと前巻の経験を踏まえて、彼がさらに成長したことを意味しているのではないでしょうか。頼もしさが増していましたし。

 

ただまぁ、頼もしくなった一方で人間不信(八咫烏不信?)をこじらせているのには苦笑い。
その結果があのオチですからね。雪哉の猜疑心が強まる一方で周囲は割と平然としてると思ったら・・・・・・。彼もまだまだ若いってことかw
不意打ちのラブコメっぽさにニヤニヤしたんですけど、この二人、今後どうにかなったりするんだろうか。

 

今回はシリーズの世界観についても大きく掘り下げられていくことに。
「山内」の外の世界の話には正直驚きました。そしてこういう展開、大好物です!
「八咫烏」と書いてニンゲンと読ませていたから、てっきりこの世界には八咫烏しかいないものかと思っていましたよ(天狗は別として)。時代設定はどこらへんなんだろう。

 

世界観の謎については次巻を待つとして、まずは猿との因縁の行方が気になるところ。
若宮の言う「金烏」という言葉の重みも分かり、それが予言する波乱がなんだか怖い感じなんですよねぇ。
未だ味方の少ない若宮の現状を不安に感じていたこともあって、ラストの雪哉の誓いは胸が熱くなりました。
若宮の孤独は宿命的なものかもしれないけれど、信じられる味方が増えれば何かが変わるかも。そうだといいな。

 

そういえば若宮と浜木綿との関係がさっぱり豪快でニヨニヨしていたのですが、解説で怪獣夫婦に似てる的なことが書いてあって「それそれ!超わかる!!」と全力で頷いていました。こういう夫婦大好きです〜。

 

次は雪哉の学校生活になるのかな? 楽しみです!

 

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