フェオーリア魔法戦記 死想転生/旭蓑雄


フェオーリア魔法戦記 死想転生 (電撃文庫)
フェオーリア魔法戦記 死想転生 (電撃文庫)

評価:★★★☆☆
2016年7月刊。
とある宗教戦争の中で戦う少年と少女の物語。
死者を操る「死世学」を軸に、「死とは何か、自意識とは何か、愛とは何か」などの哲学的思考を繰り広げていくファンタジーです。
タイトル的にネクロマンサー大活躍なファンタジー戦記だと思っていたのですが、予想外な方向に物語が深まっていって面食らうハメに。
とはいえ、死世学のもたらす死生観は興味深いものだし、中盤で発覚する仕掛けは驚いたし、内容的にも綺麗に纏まっている読み応えのある1冊だと思います。

☆あらすじ☆
死者の魂を呼び出して、無限の兵器として運用する者。死者の言葉を聞き出して、古代の英知として導く者。死者の想いを利用して、己の欲望を満たす者。―それが死世学者。類い希なる魔力を持ち、たった一人で戦況のすべてを覆す美しき死世学者の少女クレッシェンド・イマジナル。そして彼女が死から喚び起こした最愛の幼馴染みの霊にして、最強の傭兵トトポン。二人は魔法同業組合の発達した黒曜都市共和国にて首都防衛戦に参加する。一般兵から疎まれながらも一騎当千の活躍を果たす彼らだったが、侵略軍の中にも死人兵が現れたことで事態は一変し…。死を操る少女と、不死の傭兵の運命を描く予測不能の魔法戦記ファンタジー!

以下、ネタバレありの感想です。

 

死者を自在に操り、兵器として利用することもできる「死世学」。
物語は、死世学者の少女・クレスと、彼女の最愛の死霊器兵トトポンが傭兵として戦う戦場で思わぬ再会をし、それぞれ真実と過去に向き合っていく姿を描いていきます。

 

序盤からいきなり物語の渦中に突き落とされた感じで、死世学や死霊器兵の説明、戦争の情勢などの把握がちょっと大変でした。
特に「何で戦ってるの?」という部分が個人的に分かりづらくて、物語に集中できるまでに時間がかかってしまいました。

 

そんな導入を経て読み始めた物語ですが、死世学の意味に話が及んでからは徐々にヒートアップ。
特に死世学や死霊器兵に絡めて「死」について話が及ぶシーンは読み応えがありました。
正直、「思考の外適応」とかのアレコレを完全に理解できたとは言えないのですが、漠然とした思考実験をするのではなく「死世学」を前提に「死」という概念を紐解いていくので、かなりイメージがしやすかったです。面白いギミックだと感心しきり。

 

トトポンが自意識に疑問を抱いてしまうシーンもまた同様。
魂を割ったり取り込んだり自在に操る技術が存在することを前提に、「自分は誰なのか」「自分を構成するのは何か」という問題を突き詰めていくという構成が本当に凄い。
そこからトトポンがトトポンと向き合い、彼なりの答えをみつけていくという展開にはなかなかのカタルシスを感じました。

 

そういう哲学的なストーリーの中核となるのはクレスとトトポンの関係。
これについては個人的にちょっと意外な決着でした。
「愛とは何か」「愛しているのは誰か」という哲学的なラブロマンス自体はなかなか興味深いし、そういう流れではあったけれど、置いていかれるトトポンの姿にちょっと寂しさを感じてしまったり・・・・・・。
そうは言っても彼女の背中を押したトトポンの優しい愛は素敵でした。

 

哲学的思考が面白い作品だったと思います。
私がもう少し哲学に興味を持てればもっと楽しめたのかも。
読んだ時間帯のせいもあって問答がどうにも眠くて(´ω`;)

 

ヒロインのクレスが飛び出して行っちゃったんで、続編はないのかな。
次回作も期待しています。

フェオーリア魔法戦記 死想転生 (電撃文庫)
旭蓑雄
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス

 

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