子どもたちは狼のように吠える1/地本草子


子どもたちは狼のように吠える (ハヤカワ文庫JA)
子どもたちは狼のように吠える (ハヤカワ文庫JA)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2016年6月刊。
これは凄かった・・・・・・。
ボーイ・ミーツ・ボーイな復讐譚。
暴力と死で塗り固められた物語はとことん救いがなく、どこまでも堕ちていく少年の運命に思わず眼を背けたくなりました。
最初から最後まで不条理の連続で、何度読むのをやめようと思ったことか。展開のひとつひとつが全力で心を折りにきてる。
そういう物語なので読み終わった後の疲弊感と虚無感は半端ないのですが、正直、めちゃくちゃ面白かったです。

☆あらすじ☆
不法移民の大量流入のため、世界最悪級の犯罪地帯となった日本領サハリン。裕福な日本人家庭に生まれた14歳のセナは、突然父母を惨殺され、ヤクザが子どもたちを玩具にする「学校」に売り飛ばされる。絶望に沈む彼は、そんな逆境を嘲笑う同い年のロシア人移民のニカと出会った―。全ての理不尽な運命と身勝手な大人たちに復讐するため、ふたりは銃を手に立ち上がる!硝煙弾雨のティーンエイジ・ノワール『少年篇』。

以下、ネタバレありの感想です。

 

物語の舞台となるのは、『二度の世界大戦以来日本領だったサハリン』。
主人公は、生まれ育ったサハリンで家族を殺され、ヤクザの洗脳施設「学校」に放り込まれた日本人の少年・セナ
セナは「学校」の地下牢で出会ったロシア人の少年・ニカと「兄弟」となり、ただ一人生き残っているはずの妹の行方を捜すため、彼と協力して「学校」を脱出することを決意する・・・・・・という流れで物語は進んでいきます。

 

前半は、セナとニカがいかにヤクザたちを出し抜いて「学校」を脱出するかを描くスリリングな脱獄もの。
後半は、逃げ出したセナたちがヤクザの手をかいくぐりながら、事件の全貌を暴こうとする復讐譚。

 

そんな二段構えの物語のなかで、罪を犯し、意識を変質させ、裏社会のルールに染まっていくセナの姿にひたすら背筋が凍る想いでした。
淡々と「普通」からズレていくのに、ふとした瞬間に普通の少年っぽさが見えるのが逆に怖い。彼はどこまで堕ちていくのかと思うと、見たくないような見届けたいような、不思議な魅力に取り憑かれてしまうのです。

 

一方、セナの相棒となるニカは最初から最後までニヒルな笑いの似合うキャラクターでした。
カタギに対しては優しい顔を見せたりするけれど、彼は正真正銘の悪党。
ただ、セナはニカにダークヒーロー的な理想像を押しつけていたようだし、それが全て幻想とも言えない振る舞いを見せるところに暗い魅力を感じる少年でした。

 

そんなニカとセナの関係はなんだか不思議なものでした。
セナが思うよりも、ニカはセナに命を助けられたことを恩にきているのか、それともめちゃくちゃ気に入ってるのか。
一見すると息の合ったコンビだけれど、根底にある思想が噛み合わないからあっさり訣別しそうなところが怖い2人。
ニカもセナも、いつ銃口を向け合ってもおかしくない緊迫感をはらんでいてゾクゾクします。
薄氷の上に立つような、綱渡りをしているかのような、命がけのスリルがある関係性。これはちょっとハマってしまいそうですw

 

セナとニカの物語は、最初から理不尽で、途中は悲惨で、最後もやっぱり理不尽で、救いなんてどこにもありませんでした。
彼らがエグい目に遭うたびにページをめくる手が止まってしまうのに、怖いものみたさでまた読み進めてしまうのです。ずっとこれの繰り返し。
読めば読むほどメンタルが削れていく音が頭を響くんですけどね・・・・・・。

 

いやもうこれ1冊で十分です。ほんと満足しました。続きは勘弁してもらおう・・・と思っていたのに、2巻は「青年篇」? 大人になってると?
それは読みたい! セナとかドラッグ漬けになっていそうな嫌な予感がするけれど!!
このコンビは本当に訣別するのかどうかも見届けたい((( ゚д゚ ;)))

というわけで、怖々と2巻を待ちたいと思います。

 

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