後宮錦華伝 予言された花嫁は極彩色の謎をほどく/はるおかりの


後宮錦華伝 予言された花嫁は極彩色の謎をほどく (コバルト文庫 は 6-14)
後宮錦華伝 予言された花嫁は極彩色の謎をほどく (コバルト文庫 は 6-14)

前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2016年7月刊。
「後宮詞華伝」「後宮饗華伝」に続くシリーズ第3弾。
前作の10年後の物語です。今回も面白かった!
毎巻、異なるテーマのもとに夫婦が後宮の謎を解き明かしていくシリーズですが、今回は刺繍や機織りが得意な奥様が主人公。色鮮やかで雅やかな謎の数々は、そこに隠されたほの暗い情念にやはり心が惹きつけられます。
そして、本当は両親のために後宮に入りたかった妻と、密かに彼女を慕う形だけの夫のラブロマンスは、今回も変わらずに秀逸でした。

☆あらすじ☆
赤子のときの予言により、後宮入りを期待されて育った翠蝶。ところが皇帝ではなく皇弟・氷希と結婚させられてしまう。彼は右目に傷痕があり、夜をともにした女性にもうつるといわれている。だが結婚して半年、氷希が翠蝶の臥室を訪れることはいまだなくて・・・・・・!? 翠蝶の、とある秘密を知られてしまったことから氷希との距離が縮まっていくのだが——。すれ違う想いが絡まり合う中華後宮恋物語。

以下、ネタバレありの感想です。

 

「将来は五爪の龍の父を産む」という予言によって両親に後宮入りを期待されていたにもかかわらず、先帝の命によって王弟・氷希と結婚することになった翠蝶
しかし娘の後宮入りを諦めきれない両親の期待に応えるため、また氷希の恐ろしい風評に怯えたこともあり、なんとか皇帝の関心を惹こうと画策する翠蝶。それに気づいた氷希は、期限内に翠蝶が皇帝に召されたら夫婦関係を解消するという賭けを持ちかけて・・・・・・という感じに物語は始まります。

 

皇弟の妻になったのに後宮入りを諦めないとか、こいつら何言ってるの??と思ったのも束の間、

「高家の男は親族の妻妾に横恋慕するきらいがある」

というセリフで腹筋崩壊しました。たしかに・・・! 否定できない・・・!!

 

しかし氷希といったら前作で父親から見放された挙げ句に毒盛られたあの不憫な皇子さま。
せっかくもらった嫁までこんな状況ってあまりにも可哀想だと思ったのですが、その不憫さにまたときめいてしまいました()
しかも兄帝を慕っているだろう妻の正体は、10年越しの想い人。
この人の不憫パラメーターすごいことになってるなぁと、ニマニマ・・・じゃなかったハラハラしつつ彼の恋の行方を見守ることに。

 

一方の翠蝶は、人妻でありながら後宮入りを目指すという設定からどんなふてぶてしい女かと思いきや、刺繍が得意な箱入り純情娘で可愛いヒロインでした。
氷希が髪を下ろしただけで猥褻ってw 大事なところが聞き取れない翠蝶の発言の方が数倍は猥褻ですよね。

 

結婚当初は仮面夫婦としてすれ違っていた翠蝶と氷希。
最初はギスギスした喧嘩腰な関係だったのに、後宮で起こる様々な織物や刺繍絡みの謎に二人で挑んだり、互いの秘密や事情を共有するうちに、少しずつ想いを育てていくのです。この丁寧な恋愛描写がシリーズの魅力だと思います。今回も本当に素敵だった。
氷希が一生懸命つくったパンダのぬいぐるみを翠蝶が自慢げに披露してるシーンとかきゅんきゅんしました。可愛いなぁもう!

出会った頃は氷希の傷に怯えていたはずの翠蝶が、最後には痛みを共有したいとまで思うようになるとか、変化していく想いの描き方もお見事。
終盤の盛り上がりもドラマチックで良かったし、きちんとハッピーエンドに着地したので大満足でした。

 

さて、今回もまた前2作の主人公カップルが脇役として登場。
前作であまりにも不幸な末路に心が痛くなった恵兆王夫妻は、5人の孫に恵まれているようでホッと安心しました。淑葉も娘を失った悲しみから立ち直れたようで本当に良かった。緋雪の旦那様と子どもたちの登場シーンは心が和みました。
浪山候は前作で抱いたイメージとはちょっと違ったけど、一途で素敵なお父さんだったなぁ。緋雪との思い出を語るシーンはほっこりしつつも切なくなりましたが。

 

そして個人的に読む前から怖々と気になっていた皇帝夫妻。
今もしっかりバカップルだったのはちょっと笑いましたw
でもまぁ、圭鷹の後宮事情はちょっとしょんぼり。
彼は皇帝だから鈴霞以外に妻を持つのは仕方ないと分かってはいるのですが、少女小説だとそこらへんをご都合主義的に書くものが多いので(そして私はご都合主義万歳のひと)。
そこらへん軽く流すかと思いきや、圭鷹の後宮事情をしっかり描きましたねー。
「後宮をもたないという選択肢」に圭鷹が触れたシーンは悲しくなりました。
圭鷹が鈴霞だけに執着しているのを好ましく思いつつも、皇帝に愛されない後宮の女たちの存在に切なくなるし、さらにラストの向麗妃の話で精神的に大ダメージ。
このエグくてグロテスクな人間関係こそ、後宮の伏魔殿たる所以だよなってゾッとします。翠蝶はこんな場所になんか行かなくてよかったよ、ほんと。

 

さて、このシリーズはまだ続くのかな?
次は誰がメインとなるのでしょうか。順当にいくと鈴霞の息子かな?それとも緋雪の双子?
テーマも気になります。書、食、織物ときましたが、次はどんな特技をもつヒロインになるのか。
期待して待ってます!

 

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