緋色の聖女に接吻を 白き翼の悪魔/葵木あんね


緋色の聖女に接吻を-白き翼の悪魔- (ルルル文庫)
緋色の聖女に接吻を-白き翼の悪魔- (ルルル文庫)

評価:★★★★☆
2016年6月刊。
純愛×復讐なゴジックファンタジー。とても面白かったです。
教皇となって神に復讐しようとする女枢機卿と、彼女を想いながら命がけで彼女の傍にいる悪魔。
二人の恋の行方を描きつつ、教皇選挙に絡んで相次ぐ不審死の謎を追うミステリー調な展開もあり、最後までドキドキしながら楽しく読めました。
とりわけ、ヒロインと悪魔の掘り下げ方はすごく丁寧で良かった。誇り高いヒロインと健気な悪魔の純愛に心ときめく物語でした。

☆あらすじ☆
「生きたければ誓え。命が尽きたら、俺のものになると」
死の間際、悪魔と契約することで生き延びた少女・アリーチェ。彼女は復讐をとげるため、その手段として史上初の女教皇となることを誓う。アリーチェは悪魔の力を借りながら着々と力をたくわえ、ついには枢機卿として教皇候補にまで上り詰める。アリーチェと契約した悪魔・バルキネスの正体は、天界を追われた元天使だった。聖なる印「神の接吻」をもつ人間の命を手に入れれば天界に戻れるが、できないまま期限が過ぎれば悪魔のまま消滅してしまう。だが、その印の持ち主であるアリーチェを愛してしまったバルキネスには、彼女を殺すことはできなくなっていた。アリーチェもまた、バルキネスへの気持ちをうすうす自覚しながらも、素直になれないままだった。そしていよいよ始まった教皇選挙。しかしそのさなか次々と枢機卿が不審な死をとげる。バルキネスとともに事件の真相を探ろうとするアリーチェ。だが、真相に気がついたとき、アリーチェの身にも魔の手が及ぼうとしていた・・・。
運命に逆らい強く生きようとする少女と、 美貌の悪魔の恋の行方に胸躍るファンタジー・ロマンス!

以下、ネタバレありの感想です。

 

幼い自分の苦境も、他の信じる者たちすらも救わなかった神に強い復讐心を抱く少女・アリーチェ
そんなアリーチェを助け、彼女と契約を結んだ悪魔・バルキネス
物語は、女教皇となり、神の名を騙ることで自ら人々を救うことによって神に復讐をするという野望の実現を目指す二人の恋と戦いを描いていきます。

 

物語の舞台となるのは、神の名の下に人を導くどころか、腐敗し堕落した退廃の都。
登場する聖職者たちはなかなかの腐りっぷりであるため、その中にあって(しかも悪魔を従えているにもかかわらず)なおも清廉なアリーチェの存在が一際目を惹きます。
彼女の語る復讐や憎悪は字面こそ負のインパクトが強いけれど、その目的も手段もどこまでも清く正しいものなんですよね。
選挙工作だってするけれど、行動のひとつひとつに信念と誇り高さが見えるのが素敵。凜々しくて格好いいヒロインでした。

 

そんなアリーチェの影となって彼女を支えるバルキネス。
元天使とはいえ、ビジュアルの悪魔っぽさからかけ離れた献身っぷりにきゅんきゅんしましたw
彼の初恋の話といい、「神の接吻」を奪うかどうかの覚悟といい、なんて健気すぎる純愛・・・・・・!
もうちょっとイジワルな感じを予想していたのに、序盤から糖度爆発な溺愛っぷりにニヨニヨが止まりません(ノv`*)

 

アリーチェとバルキネスの恋の行方はともかく、その結末として用意されているのはどちらかの喪失。
一体どんなクライマックスが待っているのかとハラハラしつつ、その一方で謎めく枢機卿連続不審死事件の真相も気になりながら最後まで夢中で一気読みしてしまいました。
思いがけず交わる親子の物語や、事件の真犯人のサイコパスっぷり、そしてバルキネスの運命など、緩急の付け方が素晴らしいストーリーだったと思います。とても面白かった!

 

ちなみに、マイナスというほどではないのですが、教会内の権力闘争を描く割に登場人物の年齢が若すぎるのはちょっと気になりました。
アリーチェの18歳枢機卿はもちろんですが、対立候補もことごことく若すぎて。ラノベや少女小説だと珍しいことではないのですが「枢機卿」「教皇」という役職のせいで引っかかってしまったのかも。
ミケーレとジュストはもうちょっと年上でも良かった気もするんですよね(特にジュストは、明らかになる事情を考えると「お前いくつの時から・・・!」ってなりました)

 

気になったのはそこくらいで、とても楽しめる作品でした。
葵木さんの次回作も楽しみに待ってます。

 

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