一華後宮料理帖/三川みり


一華後宮料理帖 (角川ビーンズ文庫)
一華後宮料理帖 (角川ビーンズ文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2016年7月刊。
面白かった!!
「シュガーアップル・フェアリーテイル」の三川みりさんが描く、飯テロ×中華後宮ファンタジー。
貢ぎ物として入れられた大国の後宮で、料理の腕だけを頼りに困難を乗り越えていく小国の姫君の物語です。
食文化の違いに戸惑ったり感動したり、後宮モノならではの愛憎劇が見えたり、恋を知らない食学博士とのロマンスがあったりと、色々と楽しめる要素が盛り沢山。
個人的には三川さんの原点回帰的な作品だと思いました。職人の誇り高さがとても好ましい。
後宮小説的にも恋愛小説的にも、今後の展開が楽しみなシリーズです。

☆あらすじ☆
『おいしい』――その一言が私の居場所になる。故国で神に捧げる食事を作っていた理美は、大帝国崑国へ貢ぎ物として後宮入りすることに。その際、大切な故郷の味を奪われそうになった所を食学博士の朱西に助けられる。彼の優しさに触れた理美は再会を胸に秘め、嫉妬渦巻く後宮内を持ち前の明るさと料理の腕前で切り抜けていく。しかし突然、皇帝不敬罪で捕らえられてしまって? 「食」を愛する皇女の中華後宮ファンタジー!!

以下、ネタバレありの感想です。

 

主人公は、和国で「美味宮(うましのみや)」と呼ばれる役職につき、姉斎宮のために食事を作ってきた皇女。
物語は、大帝国・崑国の後宮に貢ぎ物として入ることになり、新たに雪理美という名を与えられた彼女の波乱に満ちた日々を描いていきます。

 

最近流行りの飯テロ小説。
そして中華後宮が舞台だと聞いて、てっきり中華料理がメインだと思っていたのですが、どちらかというと本作は「中華と和食の食文化の違いと融合」をテーマとしているように感じられました。和食文化が結構出てくるんですよね(漬け物の美肌効果詳しく)

 

一方では美食の象徴のような食材が、他方では奇天烈で侮辱的なものに見えたり。その繊細すぎる味が慣れない人間には無味に感じたり。
また、同じ食材を使っているのに風土の違いが味の再現を邪魔したり。
冒頭から食文化の違いに苦労させられる理美は、物語が進むにつれて、その文化の違いを文字通り命がけで乗り越えなければならなくなるのです。

文化の違いというのは、面白いものではあるけれど軋轢を生むモノでもあるんですよね。
まぁ出汁の味わいとか今でも日本人以外は慣れないだろうしなぁ。繊細すぎて私もたまに良く分かんないし(バカ舌)

 

食文化の違いから自身の運命を賭けるハメになった理美ですが、その起死回生の一手に彼女が選んだものがとても優しくて好ましく感じました。
文化の違いを無理に分かってもらうのではなく、両者を溶け込ませてどちらの良さも引き立てる。素晴らしい発想だと思います。
食への真摯な姿勢と優しい心遣いが感じられて、理美自身のこともまた好きになりました。

 

そんな理美ですが、少女小説的な恋のお相手は食学博士の朱西になるのかな?
恋知らずというか、鈍感気質なだけの気もする朱西。
理美のたまに暴発する言語能力に律儀にツッコミを入れる朱西がとても楽しかったです(理美の「味音痴様」にはめちゃくちゃ笑った。こういうときに限ってなぜ朱西がいないw)
二人の関係についてはまだまだこれからという感じですね。
皇帝・祥飛の存在が二人の関係にどういう波風をたてるのか、それともガッツリ三角関係となっていくのか、今後の展開がとても楽しみです。

 

飯テロ、ラブロマンスと面白い作品でしたが、もちろん後宮小説ならではのドラマも秀逸。
皇帝の抱える闇を、理美の作る料理で解きほぐしていくという構成の安定感は流石です。
その闇の中に込められた愛憎を生んだドロドロとした後宮の人間模様に読み応えを感じつつ、その結末の穏やかさにほっこりとした気持ちになりました。

 

理美自身の後宮での苦労は今後もっと描かれていくのかな?
宗貴妃といい、理美の料理の腕もあるけれど割と穏便に(?)後宮生活がスタートしましたからね。もうちょっと嫉妬渦巻く泥沼劇になっても楽しいかもしれない。

 

おそらくシリーズ化するだろう本作。
恋の行方がとても気になりつつ、理美がこれからどんな料理を披露してくれるのか楽しみです。
あと何気に抜群の存在感を発揮していた理美の姉皇女の本編登場も楽しみにしてますww

 

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